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リンクの達人 その2 (ヒントを得る)

メルマガ再録 (2009年1月26日) 第82号


今回のリンクテーマは「6.チャンイーモー、7.孟子、8.ガラスの法則、9.コンビニ」です。

          < リンクの達人 その2 >

1.はじめに

 さて、前回のテーマは「リンクの達人 その1」で、次の5つの題材を
取り上げました。
   1.ワークシェアリング
   2.那覇マラソン
   3.ミステリーショッパー
   4.ツノちゃんハートマーク
   5.中小企業定年退職者の再雇用
 私の顧問先でも、リンクをテーマに勉強をしました。
 皆でリンクアイデアを探すのはなかなか楽しい作業ですよ。
 あなたの店でもやってみて下さい。

 そんな中で分かったことがあります。
 これは、強制的に数多く発見する必要があるということです。
 数を多く出さないといけないということで、何でも良いのでリンクさせ
ようという意識が働き、視点が変わってくるのです。
 これって、体質になったら、凄いことが生まれますよ。
 何でもネタですからね。
 人生、こんな美味しいことはないって思えてきますよ。

2.「リンクの達人」とは

 前回を読んでいない人のために、少し説明します。
 リンクの達人とは、「アナロジカルシンキング」「ベンチマーキング」
の様に、何かを見て、それを自分または会社に生かすというアイデアをイ
マジネーションすることです。
 単純に表面的にパクる(利用する)のではなく、きっちり実用できる形
にして落とし込むことが大切であることは言うまでもありません。
 こちらがリンクする視点・能力をしっかり持って、大いに頂いちゃいま
しょう。
 では今回は「その2」として、また数個のテーマを考察してみます。

3.今回のリンクテーマ

   6.チャンイーモー
   7.孟子
   8.ガラスの法則
   9.コンビニ

4.「6.チャンイーモー」

<説明>
 ご存知、中国の大巨匠映画監督です。
 昨年夏の北京オリンピックの総指揮監督として活躍されたことは記憶に
新しいでしょう。
 先日、メイキングシーンとインタビューをまじえた映像をTVでやって
いました。
 その準備の凄さたるやビックリギョウテンでした。
 チャンイーモーさんにとって、もしこれが失敗に終れば、自分の手腕が
問われるだけでなく、国家の威信にもかかわる一大事です。
 そのプレッシャーたるや物凄いものがあったことは想像にた易いでしょ
う。
 何年も前から映画撮影を断り、オリンピックのこの演出1本に絞り込ん
で集中されました。
 「妥協は許さない」「よいアイデアはどんどん使う」「思いついたらや
ってみる」・・・こんな現場でのやり取りは、真剣そのものです。
 開会式で、活版印刷の活字が上下する演出で、演技が終って中から人が
顔を出して手を振るシーンがありましたね。
 全く正確な動きで、見ているものを不思議の世界に引き込みました。
 チャンイーモーさんは、あの演出が一番気に入っているそうです。
 全員イヤホンをつけてその指示通りに動くわけです。
 ちょっと考えられない演出を見事にこなし、私たちには記憶に焼きつく
開会式となりました。
<活用>
 この事例から何を学び、何をリンクできるのか考えました。
 まずは、そのテーマに対する目的・期限が決まっていると目標ターゲッ
トが明確になるので、せざるを得ないという士気が高まる。
 これをサロンに置き換えると、発表の場を事前に作ることをすべきとい
うことでしょう。
 そういう場が事前に用意されていると、火事場のくそ力が発揮されて、
飛躍的な成長が見込めるというものです。
 また、リーダーの姿勢にも学ぶところが多いですね。
 困った時にいつも、目的意識が強いチャンイーモーさんが素晴らしい意
見を出すのです。
 これを見ていると、「責任感は目的意識の強さに比例する」ということ
が見えてきました。
 これを活用するには、「なぜ」「なぜ」という他問自答、自問自答を常
に繰り返し、認識を深めるという行為を習慣付けることですね。
 行動の原動力は、その認識が溢れた途端に、強力なパワーとなって推進
するのでしょうから。
 もう一つは、実行のチームワークですね。
 凄いアイデアがあってもそれが実現できないのでは意味がありません。
 チャンイーモーさんが出したアイデアをすぐに具体化、具現化するチー
ム力が際立っていました。
 美容室でも、方向を示すリーダーの下がしっかりしていて、チームワー
クが良ければ、そのサロンの成長のスピードは確実で早いでしょうね。

5.「7.孟子」

<説明>
 孟子曰く「天の時は地の利にしかず、地の利は人の和にしかず。」
 TV番組の「ROOKIES」で言っていたセリフです。
 気になったので調べたら、孟子の言葉でした。
 孟子は言う。
 「天の時は地の利にしかず、地の利は人の和にしかず。本城が三里(約
1.2km)、外郭を加えた総構が七里(約2.8km)の城があるとし
よう。これを包囲して攻撃しても勝てないときがある。だが包囲戦をして
いる間には、必ず天の与えたチャンスがいつかはあったはずだ。なのに勝
てないのならば、その理由は天の与えたチャンスは地の利(「地形の勢い」
という意味だが、もっと一般的に「トータルな客観的状況」と考えてもい
いかもしれない)を覆すことができない、ということだ。さらに、城壁が
高いわけでもなく、堀が深いわけでもなく、兵も精鋭でなくて武器も強力
でなく、その上兵糧も充分でない。それなのに敵が包囲を解いて退却せざ
るをえないのならば、その理由は地の利は人の和を覆すことができない、
ということだ。ゆえに、『人民を留め置くのに国境を封鎖する必要はない。
国を守るのに山谷の険阻を頼みにする必要はない。天下を威服させるのに
兵の精鋭と武器の強力は必要ない』と言われるのだ。仁義の道を得ている
者には助けが多い。一方仁義の道を失った者には助けが少ない。助けが少
なくなった極みには、親戚までもが離反する。一方助けが多くなった極み
には、天下までもが従う。天下が従う者が、親戚までも離反する者を攻め
る。必勝だ。だから、君子は戦わないのを尊ぶが、いざ戦えば必ず勝つ。」
 まとめてみると「天の時(チャンス)をうまく掴んでも、地の利を覆す
ことはできない。地の利(トータルな客観的状況)を充分に利用しても、
人の和(人の心の団結力)を覆すことはできない。」
<活用>
 サロン作りにおいては、かなり耳の痛い話のようですね。
 「助けが少なくなった極みには、親戚までもが離反する。」という箇所
を解釈すると、スタッフが辞めていくのはスタッフのせいではなく、国す
なわちサロンの助けが少なくなっているということですよね。
 これには大変重要なキーワードがあります。
 サロンにおける「助け」とはなんでしょう?
 いくら国境の壁を高くしても、国の助けが少ないと逃げる者は逃げると
いうことを認識して、良く考えてみて下さい。
 ここでいう「助け」とは、安心して働ける環境であったり、技術の修得
の場であったり、人間的成長の場であったり、発表の場であったりという
「場の提供」といえるのではないでしょうか。
 それからチームワークの重要性も説いていますね。
 天の時より、地の利より、人の和(チームワーク)が一番強いと言って
いるわけですから、そういう店作りをすべきと言うことです。
 売上、売上と言って店の成長を目指すのか、チームワークを作っていく
ことを優先していくのかはオーナー次第です。
 長い目で見て、どんなサロン創りをすべきか、よ~く考えてみましょう。

6.「8.ガラスの法則」

<説明>
 「ガラスの法則」って私のオリジナルワードですが、こんな体験はあり
ませんか?
 部屋の掃除をして、ガラスを磨きます。
 A面を磨いていて汚れが取れないので、これはきっとB面に付いた汚れ
なのだと思い、B面を拭いてみるが汚れは落ちない。よく見てみると汚れ
はやっぱりA面に付いていた。
 あるでしょ! こんな経験。
<活用>
 これって、すぐに相手のせいにする自分と似てませんか?
 私はこの感覚を、鏡の法則ならぬ「ガラスの法則」と呼んでいます。
 鏡は反射でモノを写しますが、ガラスは素通しで、向こう側が見えます。
 それだけに汚れがどちらに付いているのかが分かり難くて厄介です。
 こちら側の汚れを相手のせいにして、こちら側を磨かない。
 自分が間違ったり、行き届かなかったりすると、すぐに間に入った人に
「なんでわからんかったんや」と言いたくなります。
 これでは自分の成長がないわけです。
 相手も、「なんでそんなにきつく言われなあかんねん」ということで、
身に付きません。
 そういう時は、ぐっとこらえて怒らず、自分の至らない部分を分析して
ここを直そう、次回はこうしようと考えて実行することです。
 そうすると、間に入っている人もそれを見習って、成長できるというこ
とです。
 「相手のせいにしない」・・・いつもガラスを見て、そう思って下さい。

7.「9.コンビニ」

<説明>
 コンビニ売上が百貨店を抜いたというNEWSが一面に出ていました。
その理由
(1)たばこ自動販売機の成人識別カード「タスポ」がなくても買えるコ
   ンビニに立ち寄る中高年層が増えた。
(2)その人たちがコーヒーなどの「ついで買い」をするようになった。
(3)弁当・飲料も好調。
(4)1人単価600円という気軽に行って買える便利さがある。
(5)おにぎり、おでんなど和食メニューもある。
(6)ATM、公共料金のお金の出し入れもできる。
(7)チケット等の購入も出来る。
(8)スーパーしか置いてなかった野菜、生鮮食品、洗剤などもあるので、
   高齢者も利用できる品揃えが増えてきた。
(9)小分けの商品揃えもある。
(10)ポストがあり、郵便を投函できる。
 ファミリーマートは、「ファミマフレッシュ」で低温保存の生肉も販売
品目に入れていく予定で、内食に向う需要を喚起すると意気込んでいます。
 コンビニは文化さえも変えていく力を持っているようです。
 「遠くのスーパーより近くのコンビニ」の意識も定着してきました。
 またそれに答えようとしてコンビニ側も進化しているという相乗効果で
まだまだ発展していくコンビニに学ぶ点は多いと思います。
<活用>
 これらの事例を見ていると、コンビニはリンクの宝庫ですね。
 コンビニが生き残っている最大の要素は皆さんもお分かりのように、変
化に即応しているからです。
 進化論を唱えたダーウィンは著書「種の起源」で、「この世に生き残る
生き物は、最も力の強いものか? そうではない。最も頭のいいものか?
そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」と言っています。
 私たちのサロン業界において、どうでしょう。
 そこまで、変化を気にして対応しようとしているでしょうか。
 「デザイン志向の業界だから、サロンの主張が優先する」という硬い考
えはありませんか?
 良いものを考えて提案しても、受け入れられないでは意味がありません。
 そこは柔軟な姿勢が大切でしょう。
 主張と変化への対応のバランスを考えて、もっと市場を見る目、分析す
る目、対策・対応できる力を持ちましょう。

8.最後に

 自分辞典でもそうでしたが、だんだん文章が長くなるんですよね。
 で、今回は、4テーマしか書けませんでした。
 次回も、しつこく、リンクの達人その3をお届けします。
 皆さんも、是非これをやってみて下さい。
 しっかり物事を観察して、自分の仕事に活かせる目が養えますよ!

 では、また次回お会いしましょう!

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