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丁寧に生きる (心をこめる)

メルマガ再録 (2009年4月27日) 第88号


丁寧に生きると言うことは「人生観」です。丁寧に生きると言うことは「仕事観」です。今一度、自分の生き方を見直してみてはいかがですか?

          < 丁寧に生きる >

1.はじめに

 今回は、「丁寧に生きる」という言葉を考察してみます。
 この言葉は、九州小国町の陶芸家/北川八郎先生からお聞きした言葉で
す。
 何気ない言葉ではありますが、大変深いものがあると思います。
 それを分解して、役立つものにするのが今回のメルマガのテーマです。

2.丁寧の語源

意味:注意がゆき届き、念入りであること。
   言動が礼儀正しく、心がこもっていること。
語源:丁寧は、金属製の楽器に由来する。
   昔、中国の軍隊で警戒や注意を知らせるために鳴らした楽器を「丁
   寧」と言った。そこから注意深くすることを「丁寧」と言うように
   なった。

3.沸騰都市にみる丁寧なる生き方

 以前、NHKスペシャルの「沸騰都市」という番組で「バングラデシュ/
ダッカ」の巻を見ました。
 そして先日「沸騰都市のそれから」という続編の番組をやっていました。
 1年で風景がまるで違ってしまった世界各都市の状況を伝えていました。
 その内容についての記事がありましたので、アレンジして引用します。

 不況の連鎖は、「分散投資」を飲み込む容赦のなさで世界中を覆ってい
ることがあらためてよく分かりました、
 使われなくなった工作機械が安値で売られていくドバイ。
 トラファルガー広場でのロシアフェスティバルが中止になったロンドン。
 今夜のおかずを手に入れようと埠頭で釣り糸をたれる人が連なるイスタ
ンブール。
 一方で「商売の調子はいいよ。不景気って何の話?」と忙しそうな最貧
国バングラデシュのマーケット。

 ドバイ、ロンドン、イスタンブールに見るように、一時のバブル景気に
乗せられて行け行けでやっていた都市は、今回の金融危機などの激震によ
り、すっかり崩壊してしまいます。
 が、丁寧にしっかりと地に足をつけてやってきた都市の作戦は、そうい
うことに左右されず、地道ですが、スローに確実に成長し続けています。
 丁寧に生きるとはこういうことを言うのだと、あらためて思いました。

 さらに後日談として、景気が底を打つと、それまでじっとしていた投資
家達がまた動き出し、プロジェクトを始動させ、かた活況を呈するように
なって行きます。
 経済活動、生産活動とはこうしたように生き物のようにうねっているん
だなあとあらためて感じました。

4.日常を大切にする

 とあるブログからの引用です。
<ここから>
 金子由紀子著「毎日をちょっぴり丁寧に暮らす43のヒント」、この本
と出会ったのはタイムリーだった。
 43のヒントが書かれているのだが、すべてに共通するのは、自分の日
常こそ大事にしようという精神だ。
 つまり、特別なことを企画するのではなく、日々の暮らしを心地よくす
ることが一番大事だというのだ。
 衣食住の根幹に沿って、ごく当たり前のことながら、忙しいからという
理由で手を抜いてきたようなことにも触れられている。
 思っていても、どこから手をつけたらいいやら迷ううちに月日が経って
いたのも事実。
 ここに書かれているような生活を実践されていらっしゃる方々は、ブロ
グ仲間に多いと思う。だから、いまさら必要ないといえばないのかもしれ
ないけれども、私には、まさに自分が考えている時期に出会った貴重な本
だ。
<ここまで>
 う~~ん、読みたくなりましたね、この本。
 丁寧に生きるとは、自分を大切にするということにも通じますね。

5.「雑に生きる」から学ぶ

 逆に、「雑に生きる」ということを考えてみれば、何かヒントがあるか
も知れません。
 雑とは、散らかって整然としていない様子でしょう。
 雑に生きるとは、自分の言動・行動に責任を持たず、やりっぱなしにす
るという状態ですね。
 つまり、先を急ぐ余り、しっかり足元を固めず、次のことに目移りして
しまい、結局は何も得られないということになります。
 雑の反対語は丁寧と言うことでしょうから、丁寧に生きるとは、整然と
していて、責任を持ち、しっかり地に足をつけて進むということに他なり
ませんね。
 進歩をあせると、ろくな事はありません。
 あせると物事は大雑把になり、すべきことを見逃しミスを連発します。
 平常心で、1つ1つを吟味しながら丁寧に仕事すれば、そんなことはあ
りません。

6.やりっ放しにしない

 丁寧に生きる上で大切なことは、やりっ放しにしないことです。
 1度あることは2度ある、2度あることは3度あると考えて、一つの教
訓を次に生かしていくことが大切です。
 やりっ放しにする人は、大抵1度切りと考えています。
 終わったからそれでええやん、と考えます。
 丁寧な人は、必ずそのことがまたあると考え、しっかり受け止めて、教
訓にします。
 極端に言えば、マニュアル化します。
 そうして、ひとつひとつ物事に対し取り組んでいくと、先々大きな差が
生まれてくるのです。
 これが、効率と言うものに変化します。
 丁寧に生きるとはその時は遅いようですが、加速度が付いてきて、結局
はスピーディで間違いがなく、凄く賢く生きるということにつながります。
 あせりは禁物です。
 やりっ放しにしないという良いくせを付けて、あせりを封じ込める努力
をしましょう。

7.返事をきっちりする

 メールでの返事をきっちり返す人と、そうでない人の差は大変大きいで
しょう。
 また、お世話になっている人に、時々近況報告をする人と、しない人と
の差も大きいものがあります。
 緊急事態の時だけお願いしてくる人と、悪いことも良いこともきっちり
と報告してくれる人との信頼性は大きく違います。
 どちらが良いかはわかりますよね。
 しかし、それができていない人が余りにも多くいます。
 それを指摘すると鬱陶(うっとう)しいと嫌がられたりしますが、本来、
出来ない人がいけないのであって、嫌がられる筋合いはありません。
 まっ、言い方もありますがね。

 FAXでの返事も同じです。
 FAXの場合、FAXで返事をするのはたいそうです。
 相手の携帯かパソコンメールアドレスを知っていれば、それで「FAX
確認しました」の返事で良いでしょう。

 何か頼まれごとをしてそれが完了したときの報告も、きっちりすべきで
す。そういう基本が、丁寧に生きるのベーシックです。

8.記録する

 丁寧に生きるとは、丁寧に仕事するということでもあります。
 会議などで話し合ったことは後日のために記録を残す。
 イベントがあれば写真を加工して皆に配布する。
 セミナーに参加すればレポートを作成する。
 本やDVDを見れば感想文を作成する。
 お客様からの依頼事項には、次回提案書にしてプレゼンする。
 記録や資料はきっちりファイリングして取り出せるようにする。

 こういうことは、確かに面倒くさいことです。
 しかし、それを地道にやり続けることが、丁寧に生きるということです。
 一度に多くを望まない。
 私はそうしています。
 野望を持っても出来なければ悔しいだけです。
 それより、積み上げ型で行く方が私には性にあっています。
 スローかもしれませんが、結局は早いのかも?
 多分、今の時代に求められている「心の時代」とはそんなことの実践で
はないでしょうか?

9.準備する

 予習は大事です。
 議題と資料をしっかり準備し進行まで考えて行う会議と、準備もなしに
寄って来て、「今日の議題は何かありますか?」という会議の効果・効率
性はどうでしょう?
 前者が優れているのは言うまでもありませんよね。
 出来ていますか?
 会議のアウトプットを先に考えていないからこんなことが起きるのです。
 準備の状態がそのまま結果になってしまいます。
 本当にしっかりした結果を求めるなら、準備に時間を掛けましょう。

10.復習する

 復習するとは、結果を再確認する意味もありますが、ここではノウハウ
を積み重ねるということにポイントを置きましょう。
 現場の意見や結果は大変貴重なものです。
 それを右から左に受け流すことはしてはいけません。
 受け流していては何も残らないからです。
 ではどうするか?
 ナレッジとして積み上げ、全員でシェア(共有)していくことです。
 積み上げる方法としては、1つのテーマに対して集中して話し合うこと
です。総花的に話していると、結局何も残りません。
 一点に集中することです。
 そうすれば、深く検討できます。
 その中に、「キラッ!」と光る原石の意見があります。
 それを見逃してはいけません。
 それは、丁寧に聞いていないと聴き逃してしまうからです。
 丁寧に生きるとは、丁寧に観察する(観る、聴く、感じる)と言うこと
です。

11.急がば回れ

 英語では、「ウォーク・ドント・ラン」です。
 昔、ザ・ベンチャーズの曲にありましたね。
<引用です>
 「急がば回れ」という言葉は、いろんな場面で耳にしますね。
 急ぐときには、危険がある近道を通るよりも、多少遠回りになっても
安全、確実な道を通るほうが結果的に早く到着する。だから、確実な方法
をとりなさい。」というのが「急がば回れ」の意味ですね。
 では、この言葉の語源はなんでしょう。
 室町時代の連歌師に、柴屋軒宗長(さいおくけん そうちょう)という
人がいました。
 その人が詠んだ歌にこのようなものがあります。
 ”もののふの 矢橋の船は速けれど 急がば回れ 瀬田の長橋”
 「もののふ」というのは武士のことで、「矢橋の船」というのは「矢橋
の渡し」と呼ばれていた、東海道の草津宿(滋賀県草津市矢橋港)~大津
宿(大津市石場港)の琵琶湖を横断する湖上水運のことです。
 そして、「瀬田の長橋」というのは日本三大名橋のひとつ、「瀬田の唐
橋」のことです。
 当時は、京都に行くときは、矢橋から船に乗って琵琶湖を横断するほう
が、瀬田の唐橋経由の陸路より速かったのですが、比叡山から吹き降ろす
「比叡おろし」という突風で、遭難する船も多かったのです。
 そこで、武士が京都へ駆けつけるとき、速いけど危険がともなう海路よ
りも、安全で確実な「瀬田の唐橋」を回って行くべし、というわけです。
 ここから、「急がば回れ」という慣用句になったわけですね。
 いくら速いといっても、遭難してたんじゃあ意味が無いですからね。
<ここまで>
 あせらない、あせらない。
 手っ取り早いことには、リスクが付きまとうということです。
 丁寧に行きましょう。

12.最後に

 丁寧に生きると言うことは、人生観です。
 丁寧に生きると言うことは、仕事観です。
 今一度自分の行き方、生き方を見直してみてはいかがかな?

 では、また次回お会いしましょう!

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