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仕組み作り (達成への近道)

メルマガ再録 (2008年12月22日) 第80号


仕組みとは、目的を達成するための一連のストーリー(構造・プロセス・システム)の構築です。仕組みがきっちり出来ていないと、すぐに挫折してしまいます。

           < 仕組み作り >

1.はじめに

 商売には商売のルールがあるように、何かを継続的に実行しようとする
場合、必ずそこにはしっかりした仕組みが必要です。
 仕組みがきっちり出来ていないと、すぐに挫折してしまいます。

 「始める前に仕組みを考える」
 当然のことの様ですが、意外に皆さん、このことについて甘くしか捉え
ていません。
 「答えを早く知りたい」「成果を早く出したい」という欲求が、先走り
するからです。
 ゆっくり落ち着いて考えれば当然必要な要素をホッポリ出して、目先の
ことしか見ていない。これがダメになる要素の第1歩です。

 今回は、いろいろなパターンを通して、「仕組み作り」について考察し
てみます。

2.「仕組み」の定義

 そもそも仕組みとは何でしょう?
 意外に即答しにくいわけですが、自分なりの「仕組み」の定義です。
 「仕組みとは、目的を達成するための一連のストーリー(構造・プロセ
ス・システム<*>)の構築である」

 (*)CKEN自分辞典No.61「システム」よりの引用です。
  「システムとは、仕組まれた構造と動きを言う。一定の品質を保とう
  とすると、システムが正常に稼動していないと維持できない。システ
  ムは生き物で、常に改変・メンテナンスが必要。それがなされていな
  いとシステムはすぐにダウンしてしまい、陳腐化する。」

3.仕組みと達成の位置づけ

 こんな式を考えてみました。
 達成率=仕組み率×準備率×達成意欲
 仕組みは、あくまでも構造であり、シナリオであり、実行の前にある環
境です。
 その前提の状況をしっかり準備し、熱意をもって実行することで達成率
が向上します。
 自分の経験からしても、仕組みが甘く、準備が不十分だと、いくら頑張
っても期待した結果は得られません。
 こんな相談を受けたこともあります。
 「どうすれば、経営改善しますかね?」
 ・・・人のことなら簡単に言えます。
 「まず、仕組みを作らないと・・」
 つまり、儲かる前提条件を机上で作るということです。それが出来ない
限り、いくら努力しても無理です。分かりきっていることなのですが、意
外に自分では見失ってしまうものです。
 儲かる条件・要素を机上で必死で作り上げ、準備を整え、達成意欲を持
って臨めば、成果は必ず出ます。

4.仕組み作りの各種パターン

 では、次の5つのパターンで仕組みを考えてみましょう。
 (1)製造業「モノ作りの仕組み」
 (2)会社「組織を円滑に動かす仕組み」
 (3)美容室「ファン作りの仕組み」
 (4)商売「儲かる仕組み/売れ続ける仕組み」
 (5)現場「成果を出し続ける仕組み」

5.(1)製造業「モノ作りの仕組み」

 量産品におけるモノづくりの仕組みとは、受注、設計、材料仕入、量産
化の技術、製造/生産、検査、出荷、配送、集金のルールが確立されてい
ることです。
 その他、人材、倉庫、設計図面、製造図面、生産記録(エビデンス)、
追跡記録(トレーサビリティ)など、付帯する資源の管理も大切です。
 これらの一連の要素が、しっかりした関連を持って、要求品質を保ちな
がら一定量を生産し続けるシステムを作り上げることが、量産のモノ作り
の仕組みです。
 しかし、一品対応や、特殊品や、匠の技に依存するモノ作りもあります。
 熟練のワザや、匠の技術でしかなしえない分野の仕事もあります。
 モノ作りにおいて、永年の技術修得によって得られたワザは、属人的な
ものなので、簡単には伝授できません。後継者はまた永い年月を掛けてそ
の技術を受け継ぐということになります。
 結局、そういった技術の世界では、匠の技術そのものがモノ作りの仕組
みそのものということになります。
 最近、またモノ作りの楽しさ、素晴らしさが見直されています。
 最初から最後まで一連の仕事をやり通してモノを作り出すという動作・
作業は、人間が本来持っている本能をかき立てるので、きっと面白いので
しょうね。

6.(2)会社「組織を円滑に動かす仕組み」

 組織を円滑に動かす仕組みには、次の要素があります。
 コンセプト(目的)、行動指針、売上目標、職務分掌、営業組織、営業
外組織(会議の組織)、人材、コミュニケーション(意思疎通)の場、コ
ミニユケーショのツール、リレーション(関連性)、エンパワーメント(
権限委譲)、ファシリテーション(効率的会議技法)、報連相、OJT(
現場教育)、OFFJT(集合教育)等々
 これらの一つ一つについては、過去の本メルマガで取り上げてきました
ので、詳細は省略します。
 ここで大切なのは、これらの要素が有機的に、かつホロン的に関連活動
していて、滞りがないことです。
 セクショナリズム(*)にこだわったり、協力関係を拒むような場面が
見られたら、まずこれを取り除くことが先決です。

 (*)セクショナリズム(Sectionalism;部局割拠主義)とは、集団・
  組織内部の各部署が互いに協力し合うことなく、自分たちが保持する
  権限や利害にこだわり、外部からの干渉を排除しようとする排他的傾
  向のことをいう。

 良く聞くのが、「会社の方向性が見えない。何をしようとしているのか
わからない。」という下のスタッフからの意見です。
 これに対処するには、スタッフ個人の夢と会社の目的がリンクするよう
にしかっり話し込み、夢を共有するように働き掛けましょう。
 組織力が最大限発揮できれば、きっと競争力の強い、素晴らしい会社に
なります。

7.(3)美容室「ファン作りの仕組み」

 美容室においては、サービス業という特性から、人材にかかるウエイト
が高い職種です。
 そんな中でのファン作りの仕組みを作るには、「店作り」と「人作り」
と「お客様作り」が3大要素でしょう。
 店作りは、サロンコンセプトの発信ですね。当然、しっかりしたサロン
コンセプトの浸透と表現が必須の条件です。
 人作りについては、1にも2にも、教育・共育・協育です。コンセプト
に基づいた人材を作っていくことが何よりの繁盛の近道です。
 お客様作りについては、どのサロンも意識してはやっていないようです
が、お客様を教育してサロンナイズするということです。つまり、お客様
をサロンのベクトルに合わせるように方向付けていくと言うことです。担
当スタイリストにおいても同じことが言えます。
 これが出来れば、お客様は熱烈ファンになられます。
 こんな仕組みを完成させたいものです。

8(4)商売「儲かる仕組み/売れ続ける仕組み」

 儲かる仕組み、売れ続ける仕組みのキーポイントは何でしょうか?
 失客がなく、お客様がお客様を連れて来るという、自動巻きみたいな仕
組みがそうなんでしょうね。
 「そんなラッキーなことはあり得ない!」と頭ごなしに言うのではなく、
一度そんな観点で考えてみましょう。
 定着率100%。失客率0%。紹介率100%。カラー比率100%。
パーマ比率100%。トリートメント比率100%。店販購買比率100
%。来店サイクル30日以内。給与全員100万円。
 「ありえへん!」という声がビシバシ聞こえてきますね。
 しかし、そんな発想で考えてみればいいのです。
 考えるだけは、誰にも迷惑は掛かりません。
 お客様を「集める仕組み」ではなく、「集まる仕組み」が必要といわれ
ます。
 そのためには、サロンのコンセプトが全ての人に、愛され、認められ、
衆知されることです。そして、またそれを具現化できる設備やスタッフが
揃っていることが肝心です。
 そんな観点から、全く違う発想で仕組みを考えてみることも有効な手段
だと思いますよ。

9.(5)現場「成果を出し続ける仕組み」

 成果を出すには、成果が何なのか、何をもって成果とするのか、という
ことををしっかり認識することから始まります。
 成果=アウトプットです。そして、インプットは何か、プロセスは何か
を見極めることです。
 この考え方は、本メルマガ「ホッパー図」で解説しました。
 成果を出し続けるには、現状を改善・改革していくというイノベーショ
ンする力を最大限発揮することです。
 ベンチマーキング手法で、異業種などからいろいろなアイデアを引っ張
って来るのも良いでしょう。
 また、バイオミメテクスで、自然界からヒントを得るのも良いでしょう。
 いずれにしても、その間には、全て人が介在します。
 だから、人材を磨き上げることが一番重要な要素であるわけです。
 センスを研ぎ澄まし、アイデアを実現化していくという自主活性型の人
作りが、成果を出し続ける仕組みの最大のポイントであることは、誰もが
認めるところでしょう。

10.最後に

 仕組みとは構造と動きのデザインです。
 構造がしっかりしていないと、家もすぐに倒れてしまいます。
 長持ちする家を作るには、しっかりした構造で、しっかりした技術で家
を建てることです。
 会社も、美容室も同じです。
 皆さんも、しっかりした基礎、しっかりした枠組み・骨組み、しっかり
した建築方法で、びくともしない会社・美容室を作って下さい。

 では、また次回お会いしましょう!

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