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ミスティーク (神秘性、最上級のサービス要素)

メルマガ再録 (2008年12月8日) 第79号


「えっ?なんでそこまで知ってるの?」「なんでここまでサービスしてくれるの?」とお客様が不思議がられるくらい行き届いたホスピタリティサービスを提供することです。

         < ミスティーク(神秘性) >

1.はじめに

 ミスティークとは、神秘性のことです。
 仕事に神秘性?
 似つかわしくない言葉と感じますよね。
 しか~~し、それが、最上級のサービス、ホスピタリティを表現するの
に必要なキーワードなのです。
 今回は、それを検証してみたいと思います。

2.ミスティークとは

 予約して初めて行ったお店で、「谷口様、いらっしゃいませ」と言われ
たら「えっ!なんで?名前知ってるの?」とビックリしますよね。
 また、受付だけでなく、その店のスタッフ全員から名前で呼ばれたら、
もう「?????」ですよね。
 そうなんです。
 その、「なんで?」という不思議な感じが神秘性(ミスティーク)とい
うことなのです。
 しかし、ミスティークにも弱点があります。
 「そこまで知っていて欲しくない」「私的な情報が皆に共有されている
のは不愉快だ」「ベタベタされる感じで嫌だ」という人もいるからです。
 そのあたりについては、サロン側の判断と言うことになります。
 しかし、それを乗り越えてでも、考えてみる価値のあるテーマです。

3.ミスティークの前に

 ミスティークを考える前に、まずはスタッフのレベルを知る必要があり
ます。
 感動できない心のままでは、何をしてもだめです。
 そういう体質は、サービス業としては辛いものがあります。
 なので、「感動できない心」を「感動できる心」に変化させる作業がま
ずは必要です。

4.感動体質教育

 「感動できる心」を習得させるには、感動体質教育とも言うべきプログ
ラムを考えて、それを繰り返し実施していくことです。
 そうして、感受性の向上に努めることが大切です。
 そのプログラムのアイデアとしては次の様な例があります。
(1)感動本を読む
   これは、涙を誘う物語などの本をチョイスし、それらを各人で読ん
   で、その感想を発表したりと言うことをします。これはいわゆる寺
   子屋形式というもので、なかなか効果的です。
(2)感動セミナーを受ける
   感動するお話を聞きます。そしてそれについてのレポートを書いて
   発表してもらい、共有します。
(3)感動話を朗読する
   ミーティングの前などに感動話を朗読します。心が浄化されて優し
   いミーティングになり、スタッフの心が感動体質に傾いてきます。
(4)対話する
   サロンでの感動に対するテーマの対話を増やすことです。
   お客様との感動体験を共有します。
 上記の様な内容を一連のプログラムにして取り組みます。
 感動本などを読むと、お客様にその話をしたくなるので、お客様にも優
しいサロンの印象が積み重なってきます。
 ということで、スタッフもお客様も感動についての体質、土壌、気運が
徐々に高まってきます。

5.事例研究

 次は、実践へのステップです。
 感動できる体質は出来てきたが、何をどの様にしたら良いのかが具体的
に分からないので、次はその部分を勉強します。
 その勉強の仕方のプログラムには次の様なものがあります。
(1)より上質なサービスをベンチマーキングする
   優秀といわれている同業種、またサービス業としての異業種に出向
   いて、そこのサービス、接客、技術など、全てを体感、観察してき
   ます。そして、その情報を店内全員と共有します。
(2)ビデオ研究する
   DOIT!などの優秀企業を映像で研究します。
   ポイントは、説明なしでまず映像をみてもらい、それから少人数グ
   ループで、感じた内容に付いてディスカッションすることです。
   いろいろな視点があり、意見交換することで気付きが多く得られま
   す。

6.おもてなしの心を育てる

 今まではマニュアルのサービス、指示された接客、少し上達して、次回
につなげるための提案、お声掛け程度だったものが、この様にして感動で
きる体質が定着し、やり方までを学ぶと、ここからは自然に行動が変わっ
てきて、お客様に喜んで頂きたい、感動を与えたいという感情が芽生えて
きます。
 そうなると、個人でその発想を具体化する、例えばお客様のカルテを見
て、お客様の趣味に合った新聞の切り抜き情報などを用意するなどのアイ
デアを実行するようになります。
 そうすることにより、お客様は大変喜ばれます。
 そうすることが度重なると「お客様に喜んで頂けることが自分たちの喜
びである」という究極のホスピタリティ思想が定着してきます。
 これらの行動、考え方は、もうミスティークの原点と言えるものです。
 ミスティークとは、お客様のためにという想いが形(言葉、行動、物)
として提供することで、スタッフ(サロン)の想いがお客様に伝わること
です。

7.サロンミスティーク

 個人としてのサービス、ホスピタリティがしっかり発揮できる様になっ
たとしましょう。
 しかし例えば、Aさんは凄く思いやりがあるのに、Bさんはそれほどで
もないという場合、サロン全体のサービスレベルの評価は、Bさんの評価
点が基準になるので、低い点でしかありません。
 これを補うには、スタッフ間のリレーション(関係性)が重要です。
 スタッフ間のチームワークが良くないサロンって、イメージ良くないで
すよね。
 ということは、チームワークのレベルを引き上げて、全員でミスティー
クを発揮するということが究極のサービスになるわけです。
 つまり、本当のミスティークを発揮するには、個人プレイでは限界があ
り、サロン全体でこの問題に取り組まないといれないということです。
 これでお分かりのように、サロンミスティークは究極の接客サービスな
訳ですが、相当にレベルの高いことが分かりますね。
 そうそう、心理学を学んだ人に聞きました。
 お客様のちょっとした所作を見てそれを読んでする先読みのサービスは
まだホスピタリティの域ですが、潜在意識レベルでのサービスもあるとい
うことです。
 つまり「そこまで気を遣ってくれているのね」という先の先を読んだ、
お客様本人も気付いていないサービスに神秘性(ミスティーク)を感じる
というわけですね。

8.評判~神話作り

 ミスティークが発揮されると、サロンのお客様は必ず誰かにお話されま
す。自分の期待を超えたサービスは黙っていられないのです。
 だから、家族や親戚、近所の友人に必ずしゃべります。
 そうすると、近所のうわさになります。
 そうすると・・・評判になります。
 そうすると・・・そうです、そのサービスを一度味わいたくて、来店さ
れることになります。
 サロンではこの機会を逃さず、磨いたミスティーク力で、サービス力を
発揮します。
 すると、また一人ファンが増えて、紹介が発生します。
 このように、天使のサイクルが回り出すのです。
 こんなミスティークの中でも、究極の思いやりがうわさとなり、神話と
なります。
 こうなればもう勝ちパターンです。
 物的なものは真似され、安くされて終わってしまいますが、このミステ
ィークはそう簡単には真似できません。
 感動体質を培うプロセスは、サロン固有のものだからです。
 そういう価値のあるミスティークを作り上げることが、サロンにとって
これからの重要キーワードであることが分かって頂けましたか?

9.まとめ

 接客レベルを次の様に定義してみました。
  低感動・・・マニュアル接客
  中感動・・・マスタートーク接客
  高感動・・・ホスピタリティ接客
  超感動・・・ミスティーク接客
  劇感動・・・サプライズ接客
 この、劇感動(サプライズ接客)は、意図的にやるとちょっと嫌味にな
ることが多いので、超感動(ミスティーク接客)の一部の突出した部分と
考えた方が良いでしょう。
 サプライズは派手ですが、ホスピタリティはベーシックです。
 ミスティーク・サプライズは、ホスピタリティという氷山の海上に突き
出している一部分と考えると分かりやすいかもしれませんね。
 それぞれの接客レベルを一段づつ上るには、その段階にすべきことをし
っかりこなしてからでないとお客様に失礼がありますので、その点を良く
考えてレベルアップに努力して下さい。

10.最後に

 人間の心理はシンプルです。
 自分の居心地の良いところに行こうとします。
 そのポイントを押さえて、ミスティーク力を身に付け、繁栄サロンを作
って下さい。
 そう、「戸が笑うサロン創り」・・・スタートです。

 では、また次回お会いしましょう!

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