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アイスブレーキング (緊張ほぐしのためのアクティビティ)

メルマガ再録 (2007年12月10日) 第55号


集合セミナーなどで初対面の人達と会話をする必要が生じた時、かなりの緊張が伴います。このアイスな(凍りついた)状態をブレーク(打開)する方法について考察しています。

          < アイスブレーキング >

1.はじめに

 研修会などでの初対面の人とはどうしても固くなって、自由な雰囲気で
話も出来ないし、意見も出せないですよね。
 多分、大抵の方は、この冷たい雰囲気から逃れたいと思うでしょうね。
 私は「2分で10年来の友人になれる」をキャッチフレーズにしている
のであまり問題はないですが、、、、
 アイスブレーキングとは、「緊張ほぐしのためのアクティビティ」と訳
されます。(アクティビティとは、目標やねらいを持った最小単位の行動
のことです。)
 私が考えるところ、アイスブレーキングには大きく分けて「自分の緊張
をほぐす」ということと、「その場の緊張を緩和する」という2つの方向
性がありそうです。
 ということで、今回は、このアイスな(凍りついた)状態をブレーク(
打開)する方法について考察してみます。

2.自己紹介

 まず「自分の緊張をほぐす」ということで、自己紹介の場面を考えてみ
ます。
 自己紹介は当然初対面の時なので緊張しますね。
 なぜ緊張するかというと、これまたしかり、ホメオスタシス(自己防御
反応)のせいでしょう。
 いつもの仲間なら緊張しないのに、見知らぬ人がいると緊張する。とい
うことは、初対面の相手がどんな人で、何を考えているか分からないとい
う不安が、こちらに構えさせてしまうからでしょう。いわゆる気が許せな
い状態ですね。
 商談の場合は、名刺を渡してすぐ仕事の話に入ります。
 それでは緊張から入るのでミスマッチしてしまうことが多いでしょう。
 だから、すぐに打ち合わせに入るのではなく、少し世間話などをすれば
緊張がほぐれます。が、これは相手を見てしないと「余計な時間を取りた
くない」というオーラを出している人には気をつけないといけません。逆
効果になるからです。
 友人・知人・尊敬する人など共通の人物の話題などはブレークには最適
です。出来れば事前に人脈などの情報を得ていればGOODでしょう。

 挨拶がやたらと上手な人がいますね。
 その人を良く観察すると、「つかみの笑い」が必ず入っています。これ
がなかなか難しい。万人が笑えるウイットに富んだ人の挨拶は本当に惹き
つけられます。
 私もそんな挨拶が出来たらいいなと思ってはいますが、これは本当に知
識と教養と経験がないとなかなか出来るものではありません。まだまだ単
純な挨拶になってしまうのは勉強不足です。
 特に、英国系の皇室など(チャールズ大使の挨拶をTVでみましたが)
は必ずウイットから入ります。気が利いたウイットは知性をうかがわせま
すからね。是非、習得したい技術です。
 こんなウイットの情報がありましたら、教えて下さい。

 自分の名前を言うときは、言い慣れているものだから「タニグチタカシ
です」と一気に言ってしまいます。
 これは駄目なんだそうです。一気に言われても覚えられない。だから、
姓と名の間で一呼吸置くのです。
 「タニグチ(一呼吸)タカシです」というのとでは、随分違います。
 やってみて下さい。

3.ワークショップでのアイスブレークゲーム

 初対面の方とのワークショップ(研修会)などでリーダーが雰囲気を和
らげたり、和ませたりするのにアイスブレークゲームを行うことが良くあ
ります。なかなか面白くて、一挙に打ち解けますよね。
 そのアイスブレークゲームの例を2~3上げてみましょう。
(1)グーとパーゲーム
 参加者に、どちらかの手をパーにした状態で前に出し、もう片方の手を
 グーにした状態で胸に当ててもらいます。リーダーが「せーの」と掛け
 声をかけたら、左右の手を入れ替えます。この時、手前に出している手
 が常にパーになっているかがポイントとなります。一定回数を行ったら、
 今度は手前に出す手をグー、胸に当てる手をパーにして入れ替えます。
(2)タイタコゲーム
 参加者には、2人1組のペアをつくった後、「宣戦布告のしるし」であ
 る左手で握手をしてもらいます。その上でじゃんけんをし、片方がタイ、
 もう片方がタコになります。リーダーがタイかタコとコールをするので、
 「タイ」と言われればタイの人がタコの人の手の甲を、握手している手
 と異なる手で叩きます。タコの人は叩かれないように空いている手で防
 ぎます。
(3)名刺交換ゲーム
 →参加者に1枚小さな紙を配ります。参加者には会場を自由に動きまわ
 ってペアになれる人を探し、その人とじゃんけんをします。じゃんけん
 に勝ったら、勝った人は自分の紙に負けた人の名前を書いてもらいます。
 名前が5人集まったらゴールです。

 とまあ、こんな感じです。
 研修会以外に、朝礼やミーティングの前に実行してテンションを上げる
と言うのもいいでしょうね、
 私がいつもやっているのは前にも書きましたが、GOOD&NEWです。
 直近に起こった良い出来事を輪になって報告します。悪いことしかなく
ても、そこからの学びを報告します。
 要するに、その報告内容を共有することで、一気に打ち解けられるとい
うことです。

4.逆境はチャンス

 「初対面の集団において、周囲は基本的に冷ややかである」という定義
から初めなければなりません。
 どの様に打ち解けたらよいのか分からなくて、ドギマギしているからで
す。どうしたらいいか分からないのです。
 ここにヒントとチャンスがあります。
 裏返すと「この場を温かくし、話し合える雰囲気を作ることが出来たら
その人は間違いなくその場のリーダーになれる。」ということです。
 どうですか?
 逆境はチャンスですよね。
 だから、その場でアイスブレークする手法を発揮することが出来たら、
信頼感を集めることが出来るので、すなわちリーダーへの近道だというこ
とが言えます。素晴らしいではありませんか!
 そんな効果のあるアイスブーク手法は是非身につけたいテクニックです
ね。

5.ゲームに頼らないアイスブレーク

 「ゲームに頼らないアイスブレーク」って、結局は話術ですよね。
 その話術のポイントは、私は「お互い人間である。話せば分かる。」と
いう原則からスタートすることだと思っています。
 たとえば、その女性の名刺の名前が「千恵」であれば、この名前を何か
にちなんで褒めます。
 「千恵さんですね。千の恵みを与えるんですね。道理でふくよかな顔立
ちだと思いました。」とか、「千恵さんですね。親戚に千恵ちゃんがいま
すが、千恵という名前は美人が多いですね。」なんてね。

 良く使うのが、「名前当てましょうか?」なんて言います。
 当たるわけはないのですが、過去のデータでよく似た人がいたら、その
人の苗字や名前を言います。
 相手は「違います。」と言います。
 続いて「それじゃあ。田中さん?」「違います。」「吉田さん?」「違
います。」なんてやっている内に相手のリアクションによって、その人の
感じがつかめてきます。
 最後に「私のデータベースに追加したいので教えて下さい。」と言って
謝ると「村上です。」と会話になり、一つ壁を越えた感じになります。

6.子供とのアイスブレーク

 壁を乗り越えるのは、自分のプライドを捨てて、自分から歩み寄ること
です。
 たとえば、気難しそうな子供がいたとします。
 その子と対話するということにチャレンジしてみて下さい。
 子供は初対面ではなかなか気を許さないですよ。
 ただ話し掛けただけでは相手ペースになり、なかなか寄り付けません。
 通常の大人だと、ベタベタと寄って行き「○○ちゃん、大人になったら
何になりたいのん?」とか聞きます。
 多分子供は心の中で「そんなもん、今から分かるわけないやろ!」と鼻
で笑っています。もうここで負けです。
 だから、こっちから行っては駄目です。
 私流にはこうです。
 まず、無視します。そうです。まず無視から始めます。
 無視すると、相手は警戒心を解きます。
 次に、ちらっとその子を見て、気にします。
 相手はふいを突かれて、防御するタイミングを失い、反応しかけますが
「あかん、あかん」と思って、閉じこもります。
 こちらは、また無視します。
 またふいをついて相手の目を見ます。
 また、反応しかけて閉じこもります。
 しかし、この時点ではかなり気になる存在になっています。
 今度は、タイミングを遅らせて、見ます。
 多分、その時は相手はこちらを気にして見ています。
 そこですかさず、面白い顔をします。
 また閉じこもります。
 またタイミングを遅らせて見ます。
 今度も変な顔をします。
 そうすると、ニコッとします。
 この時点でアイスブレーク成功です。
 この後、すぐに話しかけず、手だけで合図したり、じゃんけんしたりし
ます。
 それが出来るようになれば、手招きすれば相手から寄ってきます。
 こう考えると、目~態度~手振り~会話という辛気くさい手順ですが、
何か真理があるのではないでしょうか?

7.ノーボーダー

 相手とのコミュニケーションを取ろうとしたら、「いい格好をしない」
「気取らない」「斜に構えない」などの注意が必要です。
 要するに、納まっていては駄目です。
 「本当に分かり合いたいなら自分から相手を知りに行く」というスタン
スが大切です。
 それには自分のバリア&ガードを外すことです。そうしないと入りたく
ても入って来れません。
 ボーダー(境界線)を作らない=ノーボーダー精神が必須です。
 そうすると、本当に気持ちよく良く入ってきてくれます。
 さらに良いことに、それは本音で来てくれます。
 そうすると、話が早いです。
 早く仲良くなれます。

8.最後に

 アイスブレークは大きく分けて「自分の緊張をほぐす」という課題と、
「その場の緊張を緩和する」という2つの方向性がありそうだと冒頭に書
きましたが、やはりそんな感じでしたね。
 「相手も同じ人間である」と大きく構えた時に、そのアイス(氷)は薄
くなって溶け去って行くのでしょう!
 そんな心構えで人に接すると自分が大きくなったように感じ、きっと上
手くいくと思いますよ。

 では、また次回お会いしましょう!

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