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偉い人って? (努力を惜しまない人)

メルマガ再録 (2008年4月28日) 第64号


自分の考える「偉い人」ってどんな人ですか? 子供の頃言われた「偉い人になるんだよ!」って言葉がずっと頭にあり、曖昧なまま今まで来ました。この「偉い人って?」について考察しています。

           < 偉い人って? >

1.はじめに

 皆さん、自分の考える「偉い人」ってどんな人ですか?
 お金持ちな人?、地位が高い人?、特別な能力がある人?、皆から慕わ
れている人?
 子供の頃言われた「偉い人になるんだよ!」って言葉がずっと頭にあり、
曖昧なまま今まで来ました。
 今回は、この「偉い人って?」について考察してみます。

2.偉いとは?

 「偉い」を広辞苑で引くと、「優れている」「人に尊敬されるべき立場
にある」と出てきました。
 個人的には、「賢い」とか「皆から認められている」とかという単語が
頭に浮かびます。
 しかし、こんなに多様性というか、漠然とした言葉はないですね。

 例えば、偉い人の定義を次のように考えたとしましょう。
 「高所に立って全体を見回し、自分の意見を入れつつ全体の調和が取れ
る様にし、目的とする方向に引っ張っていける人」
 しかし、これだとリーダーの要件みたいですよね。
 一方、職人さんの生き方はどうでしょう? 誠に偉いですよね。何者に
も左右されない、裏打ちされた技術経験と鋭い感性と勘の世界。これはこ
れで凄いものがあります。
 では、普通の人はどうでしょう? 日常を一生懸命に生きている人たち。
その生き様に対して、偉いとか偉くないとかコメントできる立場にはない
ですよね。
 こう考えてくると、偉いとは、職業や立場ではなく、考え方や姿勢、努
力のプロセスなどが重要な要素なのではないかと思えます。
 つまり、大人たちが「偉い人になりなさい」と言う意味は、「偉くなる
努力を惜しまない人でありなさい」と言っているのではないでしょうか?

3.偉い人になるには?

 では、そういう「努力を惜しまない人」になるにはどうすればよいので
しょう。
 まず、その本人にとって「偉い」の方向性、志向性が定まらないといけ
ないでしょう。
 闇雲に突っ走るのではなく、一つの指標に向かって進む上での努力でな
いと意味がないでしょう。
 しかし経験上、この「方向性」は初めからはなかなか定まらないという
か、見つからないというのが正直なところです。
 それを見つけるには、今やっていることをしっかり地に足をつけて頑張
ることによって自然と見えてくるものです。

 次に、「努力」ですが、積もる方法を知っておくことが大切です。
 いくらやっても成果が出ないというのは、その積み重ね方を知らないか
らです。
 例えば、カタログを3つに折るという作業があったとします。
 まず大切なのは、この作業を短時間で仕上げようとする方向性です。そ
して、この作業を効率よくやり遂げようとする気持です。
 ではまず、漠然と1つやってみます。
 次は、折目の目印を探し、それをめがけて折ります。上手く行くまでそ
の目印を探します。それが探せたら「折る」という作業は意外と簡単でス
ピードアップします。さらに慣れが加わり、さらに早く出来る様になりま
す。
 この「折りの目印を探す」というところが重要ポイントです。
 普通はそれだけで終わってしまいますが、さらに作業環境を考えます。
 右から取って折って、左に置く方が早いか、左から右へ受け流す(?)
方が良いか、前から下へが効率が良いかなど作業配置を考えます。
 それを探すことで、格段のスピード差が生まれます。
 その様に、仕事全てのことに神経を配って効率を考え、工夫を凝らして
いくということが本当の努力&工夫です。

 と考えると、偉い人になるには、まずはこの様に、「方向性をしっかり
持ち、努力&工夫を重ねられる人」という定義が一つ考えられます。

4.リーダーにおける偉い人

 第2項で少し書いた「高所に立って全体を見回し、自分の意見を入れつ
つ全体の調和が取れる様にし、目的とする方向に引っ張っていける人」と
いうリーダーの要件内容について、もう少し考えてみます。

 ではまず、「高所に立って全体を見回し」ということについてですが、
リーダーは、全体像をいつも注視して把握していないと目的とする方向に
は導けません。アンテナを四方八方にめぐらして情報を入手し、それをし
っかり解釈して自分のものにしている。そんなことを常日頃からやってい
ることで、この項目はクリヤー出来ます。

 次は「自分の意見を入れつつ」と言うことについてです。
 あからさまに自分の意見を言うと、人はアマノジャクなので、反対しか
ねません。ということで、相手に同調しつつ、自分の側に引き込むという
心理的かつ話術的技術が必要です。
 それには、相手の言うことを良~く聴くことです。
 相手が何を言おうとしているのか、論点の中心(コンセプト)は何なの
かをしっかり把握し、それをまず理解します。
 そうすれば、真っ向反対でも必ずどこかに同調する部分が見つかります。
 核(コア)を聞き出せれば、機能分析を利用して、共通点を見つけ出す
ことが出来ます。そうすることにより、改善の方向に向かう案(フレーム)
が見つかるものです。
 すぐ自分の意見が通らなくても、自分が念じる信念の強さによって、結
果的にはそうなってくることが多いですね。
 日頃からしっかりしたコミュニケーションが取れて、全く問題のない意
見交換が出来ている人はこの項目は問題ないということですね。
 是非そうあって欲しいものです。

 次は「全体の調和が取れる様にし」です。
 これには、全員の賛同が得られる意見、つまり誰が見ても、聞いても「
そうだな」と思える考え方、意見を言うことが必要です。
 これには、俗に「正しい」事が言えるようにすることです。
 「正しい」ということは、社会においては数学みたいに1つの答えがあ
るのではなく、相対的なものであって、その時のシチュエーションによっ
て正しくもあり、そうでないという時もありと難しいものです。
 つまり、その場で、全ての人が「そうだな」と感じる意見が共通意見で
あり、一般的に言う「正しい」意見です。
 この「正しい」「正しくない」を突き詰めていくと哲学的なところに行
ってしまうので、ここでは「その場では正しい意見」ということにしてお
きましょう。
 しかし、本当に凄いリーダーは、それ以上の力を発揮します。
 凄いリーダーは、その場で求められているアウトプット(結果)をしっ
かり見据え、確実にその場をそちらに導ける知恵を持っているということ
です。
 ある時は妥協し、ある時は目的・目標に向かってしっかりした意見でも
って牽引できる、それこそが真のリーダーであり、偉い人でしょう。

 こう考えると、2つ目の定義は、「皆をまとめ上げ、目標とする方向に
引っ張って行ける人」と考えても良いでしょう。

5.泰然自若

 ここで1997年1月6日(11年も前の文章ですね)に書いた資料を
思い出したので、再現してみます。
 これは、当時、悩める若きオーナーに向けて書いた渾身の作です。

<ここから>
 最高のリーダーとしての心構え「泰然自若」
 (泰然自若とは、落ち着いていて動じない様子のこと。)
STEP1「熟考」
 ・対象の話題に対し、誰よりも熟考しなければならない。
 ・必ずコンセプトに基づいた思考をする。
STEP2「意志確立」
 ・そして自分の意見を確立させる。
STEP3「聴く」
 ・相手の意見を姿勢を正して、言いたいことの真髄(核)を聴く。
STEP4「発言」
 ・自分の意見は、全体感(妥当性)を持って発言する。
STEP5「意見交換」
 ・意見が食い違う場合は、その話題のコンセプト部分(核)に入り込ん
  で、信念を持って意見交換~意思疎通する。
STEP6「決断」
 ・決定に関しては、再度本質的な考え方と照らし合わせて最終決断する。
STEP7「納得性」
 ・その話題で先に知らせておくべき人に、決定までの背景を説明し、納
  得してもらう。
STEP8「周知徹底」
 ・決定したことで全員に知らせるべきことは、ベストタイミングを図っ
  て周知徹底する。
STEP9「説明」
 ・説明することを恥ずかしがってはならない。
 ・また気負いがあってもいけない。
 ・説明の順序は、まず第一に「なぜそうするのか」という本質的にこと
  を説明する。
 ・その後に、対象事項を相手の目を見て説明する。
<ここまで>
 こんな感じですね。
 荒削りですが、今見てもなかなか力が入っていますね。

 3つ目の定義は、「偉い人は動じない」ということでしょう。
 中国の故事で「木鶏」も同じことを言っているわけですね。

6.価値観について

 最後に、価値観について考えてみます。
 各自が持っている価値観は、人それぞれ違います。
 自分の価値観を持っていて、さらに相手のことも考えて、包括的に判断
出来る人って、素晴らしい包容力がありますよね。
 そんな人って、「偉い人」って感じがしませんか?
 その発想は、基本的には人間愛(ヒューマニズム)から来るものだと思
います。
 それとは反対に、自分の価値観を押し付けて来る人って嫌ですよね。
 散々グチを言った後、「ねえ、そう思わない?」ってなセリフを聞くと、
すっかりしらけてしまうのは私だけでしょうか?
 偉い人は、そんな時「あなたはそう思っているかもしれないけど、こん
見方もあるのよ!」って一発かましたることも、相手に気付かせる意味で
は必要ですよね。
 価値観は、その本人の根底にある考え方や見方から発生するものなので
簡単に変えることが出来ませんが、気付きをどんどん与えることで、少し
づつ変化していきます。
 この様に、偉い人は、価値観のすり合わせも自然と出来る人でしょう。

 4つ目の定義は、「偉い人とは、自分の価値観を押し付けず、包み込ん
でくれて、価値観のすり合わせが出来る人」ということでしょう。

7.最後に

 では、各項の偉い人定義をまとめてみましょう。
 1.「方向性をしっかり持ち、努力&工夫を重ねられる人」
 2.「皆をまとめ上げ、目標とする方向に引っ張って行ける人」
 3.「動じない人」
 4.「自分の価値観を押し付けず、包み込んでくれて、価値観のすり合
   わせが出来る人」
 と、今の自分が思う偉い人の要素をリストアップしましたが、これが全
てであるとは決して思っていません。
 まだまだ、あるでしょうね。
 しかし、この4つだけでも、「もっともっと磨かないとなあ」と反省し
きりです。
 読者の皆さんも、自分が考える偉い人を列挙してみて下さい。
 何かヒントがあるかも?ですよ!

 では、また次回お会いしましょう!

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