このページの本文へ移動

エンロール (巻き込み)

メルマガ再録 (2008年5月26日) 第66号


本当にエンロールを成功させるには、用意周到な準備と熱い情熱と、必ず目的を達するという継続性と、成功するまであきらめないフォローが必要だということです。

           < エンロール >

1.はじめに

 なんで今このテーマなのかは自分でも分かりませんが、なんかそう思っ
たので、天の声に従って今回のテーマは「エンロール」とします。
 エンロールって、知っている人は知っているが、知らない人は知らない
言葉でしょう。(当たり前)
 では、そのあたりから始めましょう。

2.エンロールとは?

 enrollで英和辞典で調べると「登録する」「名簿に載せる」「記
録する」「包む」「巻く」と言う意味です。
 私は「勧誘活動」というニュアンスのことが載っているのではと思って
探してみたのですが、ありませんでした。
 私には、この言葉には、マイナスイメージとプラスイメージが付きまと
っていると感じでいます。
 マイナスイメージとしては、セミナー業界用語として「勧誘活動」を指
すような感じで、少しダーティな感じを持っています。
 自己啓発セミナーなどで、次の友人を紹介するという時に「君は何人エ
ンロール(紹介/勧誘)するかコミットメントしなさい。それがあなたの
ブレイクスルーなのですから!」なんてな使い方をします。
 このセンテンスにぞっとするあなたは経験者?!
 参考までに、「セミナーを受けると、こんな良いことがある」、そのよ
うな誘い方の事を、釣り針に魚を引っかける様なところからセミナー関係
者は「フック」と呼んで、エンロールとは区別している、とありました。
 プラスイメージとしては、「目標を達成していくために、皆をエンロー
ルして(巻き込んで)行きましょう」ってな感じで使います。
 今回は、このプラスイメージをメインに考えて行きたいと思います。

 余談ですが、「エンロールメント・マネジメント」という言葉もありま
すが、これは入学から社会人として巣立つまで一人ひとりの個性を捉えて、
トータルにサポートする全人教育の考え方ということなので、今回の内容
とは関係ないみたいです。

3.上手なエンロール

 エンロールを上手くやるためにはどんな要素が必要か考えてみました。
 1.確固たる目的意識
 2.対象となる項目の明確な理解
 3.対象となる項目の最終型のイメージ保有
 4.エンロールストーリーの構築
 5.強固な普及意志
 6.逆境に負けない忍耐力
 7.やり抜く勇気
 8.理解させるための情熱
 9.説明・説得のための傾聴とトークマニュアル
 10.相手の理解度の確認
 11.リアクションとフォロー
 エンロールを上手くやるためには要するに、そのことを十二分に理解し、
熱意を持ってあきらめない精神で徹底していくということが大切なことだ
ということです。
 またエンロールとは、「人が何かの魅力や価値を感じ、自分で決めて自
分から物事に主体的、積極的に取り組む状態」「自分の立場をとることで、
相手と自分がどうなりたいかということを伝えることだ」とも言えます。
 自分はこうだからという主張がまず大切と言うことですね。

4.コミットメント

 コミットメント(commitment)という言葉があります。
 コミットメントの直接の意味は、「約束、義務、責務、債務、かかわり
あい」など、訳語を使うと意味が限定的になるため、カタカナ語として使
用されることが多いです。
 「コミットメントは、達成すべき目標であり、未達成の場合は具体的な
形で責任をとるもの。コミットメントのない変革は頓挫する。つまりコミ
ットメントは、目標と達成責任を明確にすることで、社員の挑戦志向、変
革志向を高めようとしているのです。」という説明がありました。
 コミットメントという言葉には、宣言と約束という内容がペアになって
いるという認識が必要だということですね。
 それで、会社を1個人と考えると、会社方針も自己宣言なわけです。
 自己宣言すると、すべきことが明確になります。
 そうすると、それを達成しなければならないというサイクルがスタート
します。そこから、エンロールの必要性が発生します。

5.具体化

 では、エンロールの実践面をシミュレーションしてみましょう。
 そうですね、テーマを「経営理念の徹底」とし、前項「3.上手なエン
ロール」で出てきた項目を参照して考えます。

<1>確固たる目的意識・明確な理解・最終型のイメージ保有
 まず、エンロールするためには、経営理念の徹底はなぜ必要なのか、そ
うすることによって何がどうなるのか、誰にとってどの様に変わり、何が
メリットで、デメリットなのか、説明する自分は完璧に理解し、何を聞か
れても答えることが出来るかなどについて、きっちり準備できていること
が必要です。
 それらを分かりやすく書面にして、説明にブレがないようにすべきです。
 「わしはええねん」と分かったように思っている人がいますが駄目です。
 そんなことを言っている人は書面の強さを知らないからです。
 必ず書面にして下さい。

<2>エンロールストーリーの構築
 エンロールストーリーとは、上記<1>で決めた内容を説明する時の、
対象者、説明順序、サブ資料、シチュエーション(場面)、などの前提条
件と全体の流れの把握が資料化できていることです。
 この全体感がないと、どこかで歯車が違ったときに元に戻せなくなるの
で絶対に必要な進行台本です。
 個人個人においてシミュレーションが必要です。
 一律のストーリーはありません。必ず各人にマッチした、マイナーチエ
ンジが必要です。

<3>強固な普及意志・勇気・情熱・忍耐力
 必ず納得してもらい、行動を共にしてもらえるためにエンロールすると
いう強い意志を持つことが大切です。
 さらに、反対意見やいろいろな困難に打ち勝っていく勇気と情熱と忍耐
力がないと、成功はありません。
 ま、表向きはそうなんですが、ちょっと裏に廻って根回しと言う日本的
手法を使うことも、よろしいかと思いますが・・・
 この項の裏付けとしては、<1>のことが心底理解できていれば、必ず
このエネルギーは湧いてきます。
 迷った時は原点に戻る。
 それがまた新たなるパワーとなって、継続の勇気となるのです。

<4>説明・説得のための傾聴とトークマニュアル・相手の理解度の確認
 さて、いよいよ対面エンロールです。
 説得・納得の対面会話で重要なのは、初めから余り気負わないことです。
 殺気をみなぎらせると相手は殻に閉じこもってしまい、聞く耳を持って
くれません。そこで、ゆるい感じで相手の近況などの話題から入り、気持
をやわらげるところからスタートします。
 そして、言葉尻をつかんで、少しづつこちらの言いたい内容に持って行
きます。
 これって、なかなか現場では難しいものです。だから、事前に予習が必
要です。
 この話題を振って食いついてきた時に、こちらの言いたい本題に絡む話
題に誘うといったテクニックです。
 これは見え見えにならないようにしっかり仕組んでおかないといけませ
んね。そういうストーリーをトークマニュアルとして、まとめておくこと
が必要です。
 他の人と面談した時には、進行状況をメモし、それをヒントに改良を重
ねていくことが、このマニュアルを充実・進化させていくことになります。
 話をしていて、こちらが言っていることに対して理解度がどれくらいか
試しに質問してみるのもいいですよ。
 「経営理念のキーワードはなんでしたかね?」「皆がこの理念を覚えら
れたらどんなサロンになれると思う?」「今までの話の中で一番印象に残
っている項目は何かな?」などなど
 お互いが、聞く一方や、話す一方にならないようにしましょう。
 反復したり、感想を言ったり、確認したりすることで認識は数段向上し
ます。そんなことを交えながら、相手の理解を得て、エンロールしていき
ましょう。

<5>リアクションとフォロー
 エンロール終了後のフォローです。
 エンロールすべきことは、事の大小にかかわらず日常茶飯事発生します。
 ですので、次のエンロールすべきことを前提に、環境を整えておくこと
です。
 つまり、やりっ放しにしないと言うことが大切です。
 前回のことを「うまくいっている?」とか「大丈夫か?」とか「問題な
いか?」などとコーチングテクニックを使って、さりげなくアフターケア
することです。
 自己重要感を演出して、「あなたは大切な存在ですよ!」ということを
アピールすることです。
 これが出来ていると、協力姿勢が得られるので、次回も必ず上手く行く
ようになります。

6.最後に

 結局エンロールとは、巻き込みの作業ではありますが、単に思いつきで
やっていては成果が出ません。
 本当にエンロールを成功させるには、用意周到な準備と熱い情熱と、必
ず目的を達するという継続性と、成功するまであきらめないフォローが必
要だということがお分かりになったと思います。
 相手の心理を読み、それにマッチした言葉を選び、最終的には納得して
そのことに参画してもらうというプロセスは、何においても重要な要素を
含んでいます。
 皆さんも、このことを念頭において実践してみて下さい。
 では、また次回お会いしましょう!

comments powered by Disqus

▲このページの先頭へ戻る