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人間力向上(後編) (人の根っこ作り)

メルマガ再録 (2008年10月27日) 第76号


前半テーマは、素直力、勤勉さ、思考力・向上心・勉強力、責任感、集中力、意志力・継続力、判断力・決断力。後編は、協調性、表現力、行動力、計画性、統率力・リーダーシップ、指導力、自主性。

         < 人間力向上(後編) >

1.はじめに

 前回は、人間力向上の前編として次の大項目について書きました。
 [前編]
  ( 1)素直力
  ( 2)勤勉さ
  ( 3)思考力・向上心・勉強力
  ( 4)責任感
  ( 5)集中力
  ( 6)意志力・継続力
  ( 7)判断力・決断力
 今回はその後編として、以下のテーマを考察します。
 [後編]
  ( 8)協調性
  ( 9)表現力
  (10)行動力
  (11)計画性
  (12)統率力・リーダーシップ
  (13)指導力
  (14)自主性
 今回も長くなりそうです。
 気を引き締めてお読み下さい。

2.(8)協調性

 「自分勝手」「共有出来ない」
 そんなスタッフをちょくちょく見かけます。
 なぜそうなのでしょう。
 今までそんな学校、家庭環境で育ってきたのでしょうね。
 しかし、そのままにしておくことは出来ません。
 で、その対策としてのポイントを考えました。
 ・全員参加のイベントを実行する。
 ・納得させる。
 ・気付かせる。
 ・相手のことも理解するように教える。
 ・意見交換する。
 ・皆で話し合う。
 ・全員で目標を作る。
 ・ルール(ガイドライン)を分からせる。
 ざっと、こんな感じのキーワードが役に立ちそうですね。
 いわゆる気付き教育が必要です。
 その意味では、サークル活動やワークショップを通しての共同体験がい
いですね。
 特に共に苦しみ、感動体験を共有するというのが近道でしよう。
 だから、そんなことを仕組んだレクレーションやゲームを多用して協調
性を養っていくようにして下さい。

3.(9)表現力

 「自分からは決して意見を言わない」「人前で必要以上にものが言えな
い」「意見を求められて指名されても黙ってしまう」
 慣れてないから言えないというレベルをはるかに超えて、ものが言えな
いスタッフがいます。
 どうしたらいいでしょうか?
 確かに、勤続年数が増えるとそれなりに言える様にはなります。
 しかし、今の瞬間に最低限自分の意思表明は出来るようにしないと、お
客様との会話さえ困ってしまいます。
 特に美容室はサービス業なので、それでは困ったものです。
 結果的には時間が解決するものだと思いますし、そういうスタッフが店
内にいることで優しくもなれますが、早く一人前にしゃべれることに越し
たことは無いですよね。
 ということで、ポイントを考えて見ました。
 ・言わない、言えない理由を考えてみる。
 ・本人が囚われている内容を聞きだして、解決してあげる。
 ・店以外でもコミュニケーションの場を設定し、しゃべれるムードを作
  って上げる。
 ・日頃から理解・尊重して上げる。
 ・質問したり、話題を振って話をさせる。
 ・責任を持たせて、報告させる。
 ・発言のルールを作る。
 ・対等な立場でものが言えるようにする。
 ・会議の仕方を工夫する。(ブレーンストーミングやバズセッション等
  を利用する)
 ざっとこんな感じのことが考えられます。
 いずれにしても、周囲の皆で支え合ってその本人の成長を見守ってあげ
ることが大切ですね。

4.(10)行動力

 「実行しない」「実行できない」「報連相できない」
 取り掛かりが遅い、行動が鈍い、言うべき時に言えない、期待通りの結
果が得られないということはよくありますね。
 その底に流れる問題点はなんでしょうか?
 私は、イメージ不足だと思います。
 行動にはイメージが先行しないと、上手く行くはずがありません。
 イメージしていないと、いきなりそのことが眼前に現れて、咄嗟に対処
することになります。
 心積りができていないものに上手く対処・対応することは至難の技です。
 ということは、つまり、行動に先立つイメージ作りをいかにさせるかと
いう命題に置き換えて考えることが出来ます。
 それであればその物事のロープレなどを多用し、シミュレーションをさ
せる、反復練習をさせる、人前で発表をさせるなどの工夫が考えられます。
 もっと細かくは以下のアイデアを参考にして下さい。
 ・義務感を与える。
 ・期限を決めてさせる。
 ・達成感を味あわせる。
 ・言われながらでもさせる。
 ・手帳、ノートを利用させる。
 ・俊敏(しゅんびん)さを身に付けさせる。
 ・メモを取らせる。
 ・出来ないところを見つける。
 ・有言実行させる。
 ・その事の意味をわかってもらう。
 ・チェック/アドバイスする。
 ・言いやすい雰囲気を作ってあげる。
 ・伝達のつながりを確認する。
 ・グループメンバーで企画させる。
 ・要するに、「するか」「しないか」であることを認識させる。
 ・「くそったれ、やったらええんやろ!」と良い意味の居直りの意識を
  持たせる。
 いかがですか? ヒントにはなりますよね。

5.(11)計画性

 「計画を立てられない」「物事を段取りよく出来ない」「イレギュラー
に対処できない」
 初級者には1~3ヶ月、中級者には1年、上級者には3~5年の計画を
立てさせるというのがサロン内の計画つくりのセオリーです。
 出来る範囲の出来る限りの計画を精密に立てさせることによって、実績
の精度が向上します。
 「計画は未来の先取り」であることを認識させ、適切なデータを駆使し
て計画させるように指導しましょう。
 以下のようなキーワードが参考になるでしょう。
 ・事前のデータ、情報を知る。
 ・目標に対する方向付けをする。
 ・ミスを気付かせる。
 ・自分の中だけで廻っているので段取りが悪いことを気付かせる。
 ・企画、計画を立てる方法を知らないので教える。
 ・計画を作らせる。
 ・「夢」からのブレイクダウンをさせて気付かせる。
 ・改善点を一緒に考える。
 ・幅広く話し合う。
 ・意識の弱さを注意する。
 ・シミュレーション、シナリオライティングする力を付けさせる。
 段取りを上手くできるようになれば一人前で、次のステップに進めます。
 段取りも、イレギュラーへの対処も、経験を積むことが一番ですが、行
動力の項でも取り上げた「イメージする力」と「シミュレーションする力」
を身に付ける様に指導すれば、即効性が発揮できます。

6.(12)統率力・リーダーシップ

 「リーダーになりたがらない」「陰に隠れようとする」「まとめ方がわ
からない」
 チームを引っ張っていくには何が重要なことかが分かっていない。
 技術者からスライドしてサロンの幹部・オーナーになったという人は大
方、この悩みを抱えています。
 当然でしょう。
 そういう勉強をしていませんからね。
 しかし、習わなかったからと言って、出来ないでは済みません。
 そこで、この統率力のポイントを考えてみましょう。
 何のために仕事をしているのかを考えれば自然に分かりますよね。
 「お客様のきれい」のために仕事しているんですよね。
 そしてスタッフには、働きやすい環境を作ってあげて伸び伸び仕事をし
てもらいたいわけですよね。
 それをストレートに伝え、それが出来た時はさらにどんな環境を作って
いこうかと言う夢を語っていけばいいわけですよね。
 そうです。
 それで良いんです。シンプルです。
 しかし、原点を忘れて、目先のことばかりを追いかけるようになればど
こかの歯車がギクシャクして、円滑に行かなくなります。
 その「原点に戻る」ということを考え直してください。
 そうすると、全てがはっきり見えてくるでしょう。

7.(13)指導力

 「下の面倒をみない」「指導が適切でない」
 自分が出来ることと、指導するということは別物なんですね。
 下のアシスタントの育成にかかわることは、自分もそうしてもらったよ
うに美容室としては自然の流れです。
 技術しかり、接客しかりですが、指導の仕方が分からないという先輩を
見ます。
 確かに、インストラクターという一つの分野があるように、指導という
ものも一つの技術であることは言えると思います。
 しかし、上手に教えようとか、早く仕上げてやろうとか思わずに、自分
が教えてもらったまま素直に教えればそれでいいのです。
 また、もっと上のクラスになり、指導しなければと思うと逆にヘマをや
ってしまうことがあります。
 だから、余り窮屈に考えるのではなく、自然にやればいいわけです。
 教育より共育、指導より志導を考えて、本人の力を出し切るためのサポ
ート役として、部下を支えていくようにしましょう。

8.(14)自主性

 「自分からしたがらない」「言われてもしぶしぶしかしない」
 自主性は、全ての項目のスタートであり、エンドです。
 自主性がなければ何も始まりません。
 自主性がなければ全て受身になります。
 一度、全て受身でやってみて下さい。
 面白くないですよ。
 嫌々になりますよ。
 やらされ感満タンですよ。
 そんな生き方って、つまらないですよ。
 自分から何かをやっていくという姿勢が発揮された時が、生きているっ
て実感できる瞬間(とき)です。
 人は誰もが良い気分で生きて行きたいのです。
 生きているというライブな感覚が欲しいのです。
 それが味わえないから、ひきこもったりするのです。
 だから、そんなスタッフの気配を感じたら、ステージに押し上げること
です。
 楽しくやろうと、舞台に上げることです。
 初めはシャイに振舞っていても、徐々に慣れてきて、きっと楽しさが分
かってきます。
 「今、この瞬間にこれをしておかないと後から後悔するよ」ってささや
いて上げて下さい。
 周囲がこんな優しい幹部、上司なら、きっと素晴らしいサロンが出来上
がるでしょうね。
 そんなサロン創りを期待しています。

9.最後に

 何をするにも、その本人の志向性・指向性・思考性がしっかりしていな
いと積み上がりません。
 ここに書いていることからさらに各店でコア(本質的)な部分に入り込
んで対策することを望みます。
 しかし、なんか、結構最後の方は自分の世界にはまった感じがありまし
た。
 まっいっか!

 では、また次回お会いしましょう!

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