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リンクの達人 その3 (ヒントを得る)

メルマガ再録 (2009年2月9日) 第83号


今回のテーマは「10.デジタルフォトフレーム、11.家電芸人、12.松下幸之助さんの眼鏡、13.サンパイプ」です。

          < リンクの達人 その3 >

1.はじめに

 「リンクの達人」とは、「アナロジカルシンキング」「ベンチマーキング」
の様に、何かを見てそれを自分または会社に活かすというアイデアをイマ
ジネーションすることです。
 単純に表面的に真似るのではなく、きっちり実用できる形に落とし込む
ことが大切であることは言うまでもありません。
 こういう視点を持つと、世の中全てがネタです。
 リンク能力を向上させるために、日々努力して、リンク人間に仕上がっ
て下さい。

2.今回のリンクテーマ

 さて、前回と前々回では次の9つの題材を取り上げました。
 その1
   1.ワークシェアリング
   2.那覇マラソン
   3.ミステリーショッパー
   4.ツノちゃんハートマーク
   5.中小企業定年退職者の再雇用
 その2
   6.チャンイーモー
   7.孟子
   8.ガラスの法則
   9.コンビニ
 今回、その3では、次のテーマを考察します。
  10.デジタルフォトフレーム
  11.家電芸人
  12.松下幸之助さんの眼鏡
  13.サンパイプ

3.「10.デジタルフォトフレーム」

<説明>
 デジタルフォトフレームとは、SDカードなどに入れた画像や映像デー
タを、メディアを差すだけで液晶画面に表示してくれるディスプレイです。
 パソコンは不要です。
 スライドショーにすれば、アルバムをめくるようにより一層の臨場感が
味わえます。
 さらに、BGMとしての音楽と写真を同時に再生することができるし、
本体裏側にスピーカーがあり、ボリュームはリモコンで調整できます。
 ディスプレイ装置は以前にもありました。
 それは、LED発光装置の様に、ただのバック照明にOHPフィルムを
乗せて透過するものでした。
<活用>
 パッと閃いたのが、サロンのいろいろな場面での活用です。
 カウンセリング時や、待合、セット面でお待ちの方に、以下の内容など
を自動で次々に写し出し、お客様に見て頂くということです。
 1.最新の流行のヘアースタイル
 2.最近のスタッフの練習風景
 3.サロンの仲間でレクレーションをした風景
 4.新しい店販商品の情報
 5.お手入れ方法のアドバイス
 6.感動話
 7.お勧めの本
 8.今後のキャンペーン予定   その他
 この装置は、工夫次第でもっともっと活用できると思います。
 この中身(コンテンツ)を作る作業をスタッフですることによってサロ
ンの活性化につながると思われるので、是非活用してみればどうでしょう。

4.「11.家電芸人」

<説明>
 家電芸人って知ってます?
 TVのアメトークという番組でパネラーとして出てくる、ペナルティ・
ヒデ、関根勤、土田晃之、チュートリアル徳井、劇団ひとり、TKO木本、
品川祐の7人の“家電芸人”が家電製品の魅力について語るものです。
 特にホスト役の雨上がり決死隊の宮迫が実際に大手量販店に買い物に行
くシーンで、皆が駄目出しするところは大いに笑いました。
 劇団ひとりは、「もう家電の買い方には人生が出るんだから!」とかな
んとか涙ながらに語るところなんか、腹を抱えました。
<活用>
 そんな家電芸人さん達ですが、彼らのモノを見る観察力は凄い。
 またそれを積み重ねた薀蓄(うんちく)には素晴らしいものがあります。
 好きであることの大切さ、真剣な取り組み、分かり易い解説とトーク等
がリンクのポイントとなるでしょう。
 ここで落とし込まないといけないテーマは、「観察力」「薀蓄」「表現
力」に集約されます。
 観察して自分のものにし、それを積み上げて自分独自のスタイルでノウ
ハウを構築する。そしてそれを熱意を持って伝える。
 これって、全ての仕事に共通のものだと思います。
 これって結局「インプット~プロセス~アウトプット」のホッパー図の
極意と全く一緒です。
 ということで、自分の得意分野を作って、薀蓄タラタラやって下さい。
 そうそう、先日なんか、私の勉強会仲間だった美容師のD君、完璧に家
電美容師でした。自負するだけあって、それはそれで、やっぱり凄いと感
心しましたね。(聞いてると、ちょっとくどいですが・・・)

5.「12.松下幸之助さんの眼鏡」

<説明>
 先日、顧問先のオーナーと二人で、松下記念館を見学しました。
 私の家からは歩いて3分の距離にあります。
 見学に行きたい人は言って下さい。案内します。
 今回、出口付近にある新聞広告記事をちょっと読みました。
 うろ覚えで書きます。
 ”幸之助さんは日頃から眼鏡を掛けておられます。幸之助さんが外国に
行くという記事が掲載されたところ、とある眼鏡屋さんから手紙が来まし
た。「松下さん、今掛けておられる眼鏡は似合っていません。その眼鏡を
掛けて外国に行ったら、日本にはそんな眼鏡しかないのかと言われます。
それではよろしくありません。だから私どもの眼鏡をご使用下さい。」と
言う内容ものでした。”
 幸之助さんは、なんというプロ根性かと思い、その方の眼鏡を着用され
ることになったそうです。
<活用>
 どうでしょう。
 そこまで言うか!の世界ですよね。
 この眼鏡屋さんの様に、自信を持って本当にお勧めできる姿勢は、相手
を納得させるということですね。
 納得すれば、その商品を使われることになるのです。
 ということは、カウンセリングでも店販品のお勧めでも、納得性を追及
することが大切だということですね。
 そのためには、自店の取扱商品にまず自分が惚れ込み、他のものとの比
較においても、お客様には絶対これが良いんだと言う姿勢でお勧めすると
納得して買っていただけるということに近づくでしょう。
 幸之助さんは、全く知らない眼鏡屋さんに言われてもそうでしたが、お
客様の耳元でささやき掛けることの出来るサロンスタッフのことなら、な
おさら聴かれることでしょう。
 もっともっと、自信を持ってプロ意識で話しかけてみて下さい。何かが
変わるでしょう。

6.「13.サンパイプ」

<説明>
 サンパイプで検索すると、電気用配管部品(ステンレス製電線管用付属
品、電線管路材、電気設備資材)と出てきますがこれではありません。
 私の言いたいのは、日中の自然な光を屋根の高さから下の部屋へ効果的
に送る革命的な方法、これがサンパイプといわれるものです。
 地球温暖化を意識し、エネルギーを使わずにすべての建物に光をもたら
すこのシステムは、見事にLOHAS発想の商品です。
<活用>
 さて、どうでしょう。いいですよね。
 工業、科学に頼らず、自然を上手く取り入れる技術はナイスですね。
 昔から、天窓やサンハウス、テラスという発想はありましたが、自然光
を階下まで、あるいは階上まで送っていくという、こういう飛びきりのア
イデアは素晴らしいですね、それもエネルギー不要で。
 これをリンクすると、まずは「発想の転換」でしょう。
 それから、モノを「送る」という機能、つまりここでは「反射する」と
言う作用を使っていますが、これが何かに使えないか考えましょう。
 それから暗いものを「照らす」、今まで暗くて見えなかったものを見え
るようにするという働きを考えてみたいですね。
 疎遠のお客様に光を当てる、沈んでいるスタッフの心を明るくする、会
社の方針を明確にする、評価の仕組みを文章化して明示する、等々。
 いろいろなアイデアのヒントをくれるサンパイプ・・・実物を見てみた
いものですね。

7.最後に

 やればやるほど、このリンクの達人ははまりますよ。
 ちょっとやばいかも。
 このリンク(リング)は無限ループかも。
 抜け出せない?!

 では、また次回お会いしましょう!

リンクの達人 その2 (ヒントを得る)

メルマガ再録 (2009年1月26日) 第82号


今回のリンクテーマは「6.チャンイーモー、7.孟子、8.ガラスの法則、9.コンビニ」です。

          < リンクの達人 その2 >

1.はじめに

 さて、前回のテーマは「リンクの達人 その1」で、次の5つの題材を
取り上げました。
   1.ワークシェアリング
   2.那覇マラソン
   3.ミステリーショッパー
   4.ツノちゃんハートマーク
   5.中小企業定年退職者の再雇用
 私の顧問先でも、リンクをテーマに勉強をしました。
 皆でリンクアイデアを探すのはなかなか楽しい作業ですよ。
 あなたの店でもやってみて下さい。

 そんな中で分かったことがあります。
 これは、強制的に数多く発見する必要があるということです。
 数を多く出さないといけないということで、何でも良いのでリンクさせ
ようという意識が働き、視点が変わってくるのです。
 これって、体質になったら、凄いことが生まれますよ。
 何でもネタですからね。
 人生、こんな美味しいことはないって思えてきますよ。

2.「リンクの達人」とは

 前回を読んでいない人のために、少し説明します。
 リンクの達人とは、「アナロジカルシンキング」「ベンチマーキング」
の様に、何かを見て、それを自分または会社に生かすというアイデアをイ
マジネーションすることです。
 単純に表面的にパクる(利用する)のではなく、きっちり実用できる形
にして落とし込むことが大切であることは言うまでもありません。
 こちらがリンクする視点・能力をしっかり持って、大いに頂いちゃいま
しょう。
 では今回は「その2」として、また数個のテーマを考察してみます。

3.今回のリンクテーマ

   6.チャンイーモー
   7.孟子
   8.ガラスの法則
   9.コンビニ

4.「6.チャンイーモー」

<説明>
 ご存知、中国の大巨匠映画監督です。
 昨年夏の北京オリンピックの総指揮監督として活躍されたことは記憶に
新しいでしょう。
 先日、メイキングシーンとインタビューをまじえた映像をTVでやって
いました。
 その準備の凄さたるやビックリギョウテンでした。
 チャンイーモーさんにとって、もしこれが失敗に終れば、自分の手腕が
問われるだけでなく、国家の威信にもかかわる一大事です。
 そのプレッシャーたるや物凄いものがあったことは想像にた易いでしょ
う。
 何年も前から映画撮影を断り、オリンピックのこの演出1本に絞り込ん
で集中されました。
 「妥協は許さない」「よいアイデアはどんどん使う」「思いついたらや
ってみる」・・・こんな現場でのやり取りは、真剣そのものです。
 開会式で、活版印刷の活字が上下する演出で、演技が終って中から人が
顔を出して手を振るシーンがありましたね。
 全く正確な動きで、見ているものを不思議の世界に引き込みました。
 チャンイーモーさんは、あの演出が一番気に入っているそうです。
 全員イヤホンをつけてその指示通りに動くわけです。
 ちょっと考えられない演出を見事にこなし、私たちには記憶に焼きつく
開会式となりました。
<活用>
 この事例から何を学び、何をリンクできるのか考えました。
 まずは、そのテーマに対する目的・期限が決まっていると目標ターゲッ
トが明確になるので、せざるを得ないという士気が高まる。
 これをサロンに置き換えると、発表の場を事前に作ることをすべきとい
うことでしょう。
 そういう場が事前に用意されていると、火事場のくそ力が発揮されて、
飛躍的な成長が見込めるというものです。
 また、リーダーの姿勢にも学ぶところが多いですね。
 困った時にいつも、目的意識が強いチャンイーモーさんが素晴らしい意
見を出すのです。
 これを見ていると、「責任感は目的意識の強さに比例する」ということ
が見えてきました。
 これを活用するには、「なぜ」「なぜ」という他問自答、自問自答を常
に繰り返し、認識を深めるという行為を習慣付けることですね。
 行動の原動力は、その認識が溢れた途端に、強力なパワーとなって推進
するのでしょうから。
 もう一つは、実行のチームワークですね。
 凄いアイデアがあってもそれが実現できないのでは意味がありません。
 チャンイーモーさんが出したアイデアをすぐに具体化、具現化するチー
ム力が際立っていました。
 美容室でも、方向を示すリーダーの下がしっかりしていて、チームワー
クが良ければ、そのサロンの成長のスピードは確実で早いでしょうね。

5.「7.孟子」

<説明>
 孟子曰く「天の時は地の利にしかず、地の利は人の和にしかず。」
 TV番組の「ROOKIES」で言っていたセリフです。
 気になったので調べたら、孟子の言葉でした。
 孟子は言う。
 「天の時は地の利にしかず、地の利は人の和にしかず。本城が三里(約
1.2km)、外郭を加えた総構が七里(約2.8km)の城があるとし
よう。これを包囲して攻撃しても勝てないときがある。だが包囲戦をして
いる間には、必ず天の与えたチャンスがいつかはあったはずだ。なのに勝
てないのならば、その理由は天の与えたチャンスは地の利(「地形の勢い」
という意味だが、もっと一般的に「トータルな客観的状況」と考えてもい
いかもしれない)を覆すことができない、ということだ。さらに、城壁が
高いわけでもなく、堀が深いわけでもなく、兵も精鋭でなくて武器も強力
でなく、その上兵糧も充分でない。それなのに敵が包囲を解いて退却せざ
るをえないのならば、その理由は地の利は人の和を覆すことができない、
ということだ。ゆえに、『人民を留め置くのに国境を封鎖する必要はない。
国を守るのに山谷の険阻を頼みにする必要はない。天下を威服させるのに
兵の精鋭と武器の強力は必要ない』と言われるのだ。仁義の道を得ている
者には助けが多い。一方仁義の道を失った者には助けが少ない。助けが少
なくなった極みには、親戚までもが離反する。一方助けが多くなった極み
には、天下までもが従う。天下が従う者が、親戚までも離反する者を攻め
る。必勝だ。だから、君子は戦わないのを尊ぶが、いざ戦えば必ず勝つ。」
 まとめてみると「天の時(チャンス)をうまく掴んでも、地の利を覆す
ことはできない。地の利(トータルな客観的状況)を充分に利用しても、
人の和(人の心の団結力)を覆すことはできない。」
<活用>
 サロン作りにおいては、かなり耳の痛い話のようですね。
 「助けが少なくなった極みには、親戚までもが離反する。」という箇所
を解釈すると、スタッフが辞めていくのはスタッフのせいではなく、国す
なわちサロンの助けが少なくなっているということですよね。
 これには大変重要なキーワードがあります。
 サロンにおける「助け」とはなんでしょう?
 いくら国境の壁を高くしても、国の助けが少ないと逃げる者は逃げると
いうことを認識して、良く考えてみて下さい。
 ここでいう「助け」とは、安心して働ける環境であったり、技術の修得
の場であったり、人間的成長の場であったり、発表の場であったりという
「場の提供」といえるのではないでしょうか。
 それからチームワークの重要性も説いていますね。
 天の時より、地の利より、人の和(チームワーク)が一番強いと言って
いるわけですから、そういう店作りをすべきと言うことです。
 売上、売上と言って店の成長を目指すのか、チームワークを作っていく
ことを優先していくのかはオーナー次第です。
 長い目で見て、どんなサロン創りをすべきか、よ~く考えてみましょう。

6.「8.ガラスの法則」

<説明>
 「ガラスの法則」って私のオリジナルワードですが、こんな体験はあり
ませんか?
 部屋の掃除をして、ガラスを磨きます。
 A面を磨いていて汚れが取れないので、これはきっとB面に付いた汚れ
なのだと思い、B面を拭いてみるが汚れは落ちない。よく見てみると汚れ
はやっぱりA面に付いていた。
 あるでしょ! こんな経験。
<活用>
 これって、すぐに相手のせいにする自分と似てませんか?
 私はこの感覚を、鏡の法則ならぬ「ガラスの法則」と呼んでいます。
 鏡は反射でモノを写しますが、ガラスは素通しで、向こう側が見えます。
 それだけに汚れがどちらに付いているのかが分かり難くて厄介です。
 こちら側の汚れを相手のせいにして、こちら側を磨かない。
 自分が間違ったり、行き届かなかったりすると、すぐに間に入った人に
「なんでわからんかったんや」と言いたくなります。
 これでは自分の成長がないわけです。
 相手も、「なんでそんなにきつく言われなあかんねん」ということで、
身に付きません。
 そういう時は、ぐっとこらえて怒らず、自分の至らない部分を分析して
ここを直そう、次回はこうしようと考えて実行することです。
 そうすると、間に入っている人もそれを見習って、成長できるというこ
とです。
 「相手のせいにしない」・・・いつもガラスを見て、そう思って下さい。

7.「9.コンビニ」

<説明>
 コンビニ売上が百貨店を抜いたというNEWSが一面に出ていました。
その理由
(1)たばこ自動販売機の成人識別カード「タスポ」がなくても買えるコ
   ンビニに立ち寄る中高年層が増えた。
(2)その人たちがコーヒーなどの「ついで買い」をするようになった。
(3)弁当・飲料も好調。
(4)1人単価600円という気軽に行って買える便利さがある。
(5)おにぎり、おでんなど和食メニューもある。
(6)ATM、公共料金のお金の出し入れもできる。
(7)チケット等の購入も出来る。
(8)スーパーしか置いてなかった野菜、生鮮食品、洗剤などもあるので、
   高齢者も利用できる品揃えが増えてきた。
(9)小分けの商品揃えもある。
(10)ポストがあり、郵便を投函できる。
 ファミリーマートは、「ファミマフレッシュ」で低温保存の生肉も販売
品目に入れていく予定で、内食に向う需要を喚起すると意気込んでいます。
 コンビニは文化さえも変えていく力を持っているようです。
 「遠くのスーパーより近くのコンビニ」の意識も定着してきました。
 またそれに答えようとしてコンビニ側も進化しているという相乗効果で
まだまだ発展していくコンビニに学ぶ点は多いと思います。
<活用>
 これらの事例を見ていると、コンビニはリンクの宝庫ですね。
 コンビニが生き残っている最大の要素は皆さんもお分かりのように、変
化に即応しているからです。
 進化論を唱えたダーウィンは著書「種の起源」で、「この世に生き残る
生き物は、最も力の強いものか? そうではない。最も頭のいいものか?
そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」と言っています。
 私たちのサロン業界において、どうでしょう。
 そこまで、変化を気にして対応しようとしているでしょうか。
 「デザイン志向の業界だから、サロンの主張が優先する」という硬い考
えはありませんか?
 良いものを考えて提案しても、受け入れられないでは意味がありません。
 そこは柔軟な姿勢が大切でしょう。
 主張と変化への対応のバランスを考えて、もっと市場を見る目、分析す
る目、対策・対応できる力を持ちましょう。

8.最後に

 自分辞典でもそうでしたが、だんだん文章が長くなるんですよね。
 で、今回は、4テーマしか書けませんでした。
 次回も、しつこく、リンクの達人その3をお届けします。
 皆さんも、是非これをやってみて下さい。
 しっかり物事を観察して、自分の仕事に活かせる目が養えますよ!

 では、また次回お会いしましょう!

リンクの達人 その1 (ヒントを得る)

メルマガ再録 (2009年1月12日) 第81号


リンクとは、何かを見て、それをヒントとして取り込んで、自分または仕事に生かせるように噛み砕いて落とし込むことです。簡単に言うと「パクる」ことです。初回の内容は、「 1.ワークシェアリング、2.那覇マラソン、3.ミステリーショッパー、4.ツノちゃんハートマーク、5.中小企業定年退職者の再雇用」です。

         < リンクの達人 その1 >

1.はじめに

 「リンクの達人」とは、臥龍(角田識之)先生が本気塾で使っておられ
る造語ですが、これはいけると思い、使わせて頂くことにしました。
 私は先生から直接この指導を受けたわけではないので要領は違うかも知
れませんが、以下、私なりの解釈で説明します。
 「リンク」とは、私の言う「アナロジカルシンキング」、俗に言う「ベ
ンチマーキング」のことです。
 何かを見て、それをヒントとして取り込んで、自分またはサロンに生か
せるように噛み砕いて落とし込むことです。
 簡単に言うと「パクる」です。
 しかし、表面的にパクるのではなく、きっちり応用できる形にして落と
し込むことが大切であることは言うまでもありません。そうでないと上滑
りになって逆効果になるので注意が必要です。
 リンクとは、アナロジカルシンキングの、本質・機能を重視して利用す
るというよりももっと気軽に「あっ!これ使えるかも?」という様な感じ
でヒントにして、つなげていくという発想法です。
 こちらがリンクする視点・能力を持っていれば、見るもの聞くもの全て
ヒントです。
 ということで、リンクの達人を目指して実例を挙げてみます。
 気が付くもの手当たり次第という感じなので、脈絡はありません。
 そんなんあり?、無理やりやなぁ?というものもあるでしょうが、頭を
柔軟にして読んで下さい。
 ひょっとしたらマジ使えるかも?というヒントがいくつかあれば幸いで
す。

2.今回のリンクテーマ

 1.ワークシェアリング
 2.那覇マラソン
 3.ミステリーショッパー
 4.ツノちゃんハートマーク
 5.中小企業定年退職者の再雇用

3.「1.ワークシェアリング」

<説明>
 現在、金融危機のせいで世間は大混乱の状況です。派遣などの臨時雇い
はもちろんのこと、正社員のリストラも相次いでいます。
 社員を辞めさせず、経営危機を乗り越えるという考え方の中に、ワ-ク
シェアリングという考え方があります。
 ワークシェアリングとは「従業員同士で雇用(仕事)を分け合うこと」
です。
 臥龍先生のメルマガに以下の文章がありましたので引用させて頂きます。
 「これを聞いた松下幸之助氏は「解雇は絶対にだめだ」と反対し「ひと
りも解雇せず、工場での労働時間を半分にし、賃金は減らさない代わりに、
休日を返上してでも全従業員全員が力を合わせ、在庫を売り切る」という
方針を示します。この方針を伝え聞いた従業員の士気は文字通り燃え上が
り、その旺盛な販売力に支えられた「大量生産コストダウン」で、さらに
市場を拡大したのです。」
 これって逆境に強い思考法ですよね。
 減った仕事量を現状の人数で再配分して組み直す。解雇はしない。
 但し、全体としての収入は減っているので、その方も会社全体で見直し
て我慢するという考え方です。
 松下幸之助さんは、ワクシェアリングをするだけに留まらず、さらに逆
境をバネにして会社の成長につなげたというお話は、さすがに経営の神様
としか言いようがありませんね。
<活用>
 バグジーの久保先生は言います。
 「私のサロンでは、スタイリストは手が空いていたらアシスタントの仕
事をどんどん手伝います。昔のように、「後はやっといてな」と言って奥
でタバコを吸っているというサロンは繁盛しません。今は、仕事を全員で
こなすという姿勢が必要です。」
 皆様のサロンでも、仕事の分担、責任範囲、会議のあり方などを再考し
てみてはいかがですか?

4.「2.那覇マラソン」

<説明>
 京都の美容室クンクンルーホー(KKLH)が、スタッフ全員15名で
12月の繁忙月にもかかわらず、那覇マラソンに参加しました。
 前日、当日、翌日の3日間は店を閉めなければなりません。12月の忙
しい時期に、ちょっと信じられないイベントを敢行したものです。
 当日のビデオを見せてもらったのですが、お客様の寄せ書き一杯の旗(
のぼり)を持ったミヤティ(オーナー夫人)の姿を見て感動しました。
 寄せ書きをされるということは、お客様からの直接の応援です。
 つまり、頑張ってきてねというメッセージです。
 実際に走ったスタッフの声を聞くと、やはり「お客様の応援や関係者の
支援が大きな支えとなり、完走できました」ということでした。
 帰ってからも、ブログでの各人感想報告や、お客様が来店されての会話
が弾む弾む。もうみんな、英雄扱いです。そのためだけに来店されるお客
様も多くあったそうです。
 本当に愛されているサロンなんだなあと、感心しきりです。
<活用>
 これを見て感じたのは、「サロンを休まない」ことが大事なのではなく、
お客様は、そのサロンが何をしようとしているのか、サロンの姿勢、志向
性を見ていて応援されるのではないかということです。
 つまり、このKKLHに見る例として、感動は共有するものであり、皆
で作り上げていくものなんだなあと思いました。
 当然、ここまでのサロンになるには前振りがかなりあったはずです。
 その前振りを考え、実行し、小さいイベントを企画し、実行し、徐々に
大きなイベントに持って行くというプロセスをここで学ぶべきだと思いま
す。
 信用が集まり信頼になり、お客様は熱烈ファンになって行きます。
 ここに一つの成功店事例を見ることが出来るのではないでしょうか!

5.「3.ミステリーショッパー」

<説明>
 ミステリーショッパー調査とは、「訓練された調査員」や「一般の消費
者」がお客さまの立場で、実際にサービスを体験することにより、現場で
の改善課題を明らかにしようとするものです。いわゆる「覆面調査」の一
分野です。
 ミステリーショッパー調査には下記の特長があります。
 当該サービスに精通した調査員が担当することにより、各拠点ごとの具
体的な改善課題が明らかになります。
 一般の消費者(弊社のモニター)を使用することにより、より消費者に
近い視点からサービス水準を評価することもできます。
 調査を開始するにあたっては、予備調査をおこない評価基準を統一する
ので、各拠点のサービス水準が客観的に把握できます。
 定期的に実施することでサービス水準の時系列比較が明らかになります。
 また、競合他社比較も可能です。
 モニタリング結果を表彰制度などにいかすことで、各拠点間に良い意味
での競争意識が芽生え、サービス水準の全体的な向上がはかれます。
<活用>
 これはもうその通りで、美容室として必要なことでしょう。
 覆面調査なしに、自店のサービスレベルを他店と比較することは大変困
難です。
 そんな時に、このミステリーショッパーを活用することで自店の分析が
出来ます。
 サロン側がお客様に直接するアンケートなどは、なかなか正直に答えて
もらえないという傾向があるので、この調査の方が正味の内容を知ること
が出来ます。
 また、生身でやってもらえて、プロ、または素人の目で感想が聞けるの
で、改善課題を見つけるには良い方法だと思います。
 そんな会社ともお付き合いがあるので、要望の節はお知らせ下さい。

6.「4.ツノちゃんハートマーク」

<説明>
 熊本県西原村の観光施設「阿蘇ミルク牧場」で、額にハート形の模様が
あるホルスタイン牛「ツノちゃん」(雌、4歳)が人気を集めています。
 入園者から「ハートマークがある牛はなんという名前?」と指摘され、
施設側も気付きました。
 今年の干支の丑(うし)にちなんで、年賀状用の写真にと人だかりが出
来たそうです。
 広報担当者は「ツノちゃんの担当になった後、結婚した飼育係もいる。
触るといいことがあるかも知れません」とPRしています。
<活用>
 ほんわかした話題ですね。
 ただ牛がいただけでは話題になりませんが、たった額(ひたい)の部分
にハートマークの白い柄があるだけで、テレビざたになるわけです。
 こんなことやったら無理やりでもありかと思います。
 以前、小説で読んだのですが、道路にしみがあり、それがキリストの処
刑の時のシルエットに似ているということで、勘定高い連中が、それを観
光地にしてしまうというものでした。
 そんなことを考えると、何かにこじつけて、それをアピールしまくれば
宣伝になるということかもしれません。
 要するに、その強烈な根性があるかないかでしょう。
 あなたのサロンのネタ探し、やってみては?

7.「5.中小企業定年退職者の再雇用」

<説明>
 先日、NHK-TVの再放送の「ルソンの壺」で東海バネ工業(渡辺良
機社長)を取り上げていました。
 どんなバネでも1個からオーダーメードで作るという「多品種微量生産」
で業績を伸ばしてきたという経営方針にも感心しましたが、さらに驚いた
のは、技術を持って定年退職した人を技術指導のために再雇用していると
いうことです。
 しかも、その人には若手に技術を教えるだけで、絶対に生産にタッチし
てはいけないというのです。それが社長の方針だからです。
 余談ですが、「ルソンの壺」はモノ作りに関係している方には必見の番
組ですね。プロジクトXの小型版みたいな感じです。
 http://www.nhk.or.jp/luzon/schedule/backnum/index.html
<活用>
 これはもうリンク見え見えですね。
 そうです。美容経験者を再雇用するということです。
 現場に入ってもらうというのもいいですが、この会社のように技術を教
えるだけの目的で採用するというのもありだと思います。
 問題なのは、技術、特にスタイルは日進月歩で、一度現場を離れた美容
師さんの泣き所は、流行に付いていけていないということです。
 であれば、ベーシック技術や接客マナー、心構え、フロント業務、バッ
クヤードでの仕事などを手伝ってもらうというのもありだと思います。
 経験者だから教える必要もないし、手際は良いわけです。
 そうすれば、ベテランのノウハウが継承できていくことになるでしょう。
 そんな候補者をリストアップしておくと、いざと言うときに役に立ちま
すよ、必ず!

8.最後に

 このリンクの達人は、また何回かのシリーズで書いてみます。
 やりだしたらこれって無限にありますよね。
 どれだけ本当に活用・実用する気があるかですね。
 洒落心で一つ、やってみては?

 では、また次回お会いしましょう!

仕組み作り (達成への近道)

メルマガ再録 (2008年12月22日) 第80号


仕組みとは、目的を達成するための一連のストーリー(構造・プロセス・システム)の構築です。仕組みがきっちり出来ていないと、すぐに挫折してしまいます。

           < 仕組み作り >

1.はじめに

 商売には商売のルールがあるように、何かを継続的に実行しようとする
場合、必ずそこにはしっかりした仕組みが必要です。
 仕組みがきっちり出来ていないと、すぐに挫折してしまいます。

 「始める前に仕組みを考える」
 当然のことの様ですが、意外に皆さん、このことについて甘くしか捉え
ていません。
 「答えを早く知りたい」「成果を早く出したい」という欲求が、先走り
するからです。
 ゆっくり落ち着いて考えれば当然必要な要素をホッポリ出して、目先の
ことしか見ていない。これがダメになる要素の第1歩です。

 今回は、いろいろなパターンを通して、「仕組み作り」について考察し
てみます。

2.「仕組み」の定義

 そもそも仕組みとは何でしょう?
 意外に即答しにくいわけですが、自分なりの「仕組み」の定義です。
 「仕組みとは、目的を達成するための一連のストーリー(構造・プロセ
ス・システム<*>)の構築である」

 (*)CKEN自分辞典No.61「システム」よりの引用です。
  「システムとは、仕組まれた構造と動きを言う。一定の品質を保とう
  とすると、システムが正常に稼動していないと維持できない。システ
  ムは生き物で、常に改変・メンテナンスが必要。それがなされていな
  いとシステムはすぐにダウンしてしまい、陳腐化する。」

3.仕組みと達成の位置づけ

 こんな式を考えてみました。
 達成率=仕組み率×準備率×達成意欲
 仕組みは、あくまでも構造であり、シナリオであり、実行の前にある環
境です。
 その前提の状況をしっかり準備し、熱意をもって実行することで達成率
が向上します。
 自分の経験からしても、仕組みが甘く、準備が不十分だと、いくら頑張
っても期待した結果は得られません。
 こんな相談を受けたこともあります。
 「どうすれば、経営改善しますかね?」
 ・・・人のことなら簡単に言えます。
 「まず、仕組みを作らないと・・」
 つまり、儲かる前提条件を机上で作るということです。それが出来ない
限り、いくら努力しても無理です。分かりきっていることなのですが、意
外に自分では見失ってしまうものです。
 儲かる条件・要素を机上で必死で作り上げ、準備を整え、達成意欲を持
って臨めば、成果は必ず出ます。

4.仕組み作りの各種パターン

 では、次の5つのパターンで仕組みを考えてみましょう。
 (1)製造業「モノ作りの仕組み」
 (2)会社「組織を円滑に動かす仕組み」
 (3)美容室「ファン作りの仕組み」
 (4)商売「儲かる仕組み/売れ続ける仕組み」
 (5)現場「成果を出し続ける仕組み」

5.(1)製造業「モノ作りの仕組み」

 量産品におけるモノづくりの仕組みとは、受注、設計、材料仕入、量産
化の技術、製造/生産、検査、出荷、配送、集金のルールが確立されてい
ることです。
 その他、人材、倉庫、設計図面、製造図面、生産記録(エビデンス)、
追跡記録(トレーサビリティ)など、付帯する資源の管理も大切です。
 これらの一連の要素が、しっかりした関連を持って、要求品質を保ちな
がら一定量を生産し続けるシステムを作り上げることが、量産のモノ作り
の仕組みです。
 しかし、一品対応や、特殊品や、匠の技に依存するモノ作りもあります。
 熟練のワザや、匠の技術でしかなしえない分野の仕事もあります。
 モノ作りにおいて、永年の技術修得によって得られたワザは、属人的な
ものなので、簡単には伝授できません。後継者はまた永い年月を掛けてそ
の技術を受け継ぐということになります。
 結局、そういった技術の世界では、匠の技術そのものがモノ作りの仕組
みそのものということになります。
 最近、またモノ作りの楽しさ、素晴らしさが見直されています。
 最初から最後まで一連の仕事をやり通してモノを作り出すという動作・
作業は、人間が本来持っている本能をかき立てるので、きっと面白いので
しょうね。

6.(2)会社「組織を円滑に動かす仕組み」

 組織を円滑に動かす仕組みには、次の要素があります。
 コンセプト(目的)、行動指針、売上目標、職務分掌、営業組織、営業
外組織(会議の組織)、人材、コミュニケーション(意思疎通)の場、コ
ミニユケーショのツール、リレーション(関連性)、エンパワーメント(
権限委譲)、ファシリテーション(効率的会議技法)、報連相、OJT(
現場教育)、OFFJT(集合教育)等々
 これらの一つ一つについては、過去の本メルマガで取り上げてきました
ので、詳細は省略します。
 ここで大切なのは、これらの要素が有機的に、かつホロン的に関連活動
していて、滞りがないことです。
 セクショナリズム(*)にこだわったり、協力関係を拒むような場面が
見られたら、まずこれを取り除くことが先決です。

 (*)セクショナリズム(Sectionalism;部局割拠主義)とは、集団・
  組織内部の各部署が互いに協力し合うことなく、自分たちが保持する
  権限や利害にこだわり、外部からの干渉を排除しようとする排他的傾
  向のことをいう。

 良く聞くのが、「会社の方向性が見えない。何をしようとしているのか
わからない。」という下のスタッフからの意見です。
 これに対処するには、スタッフ個人の夢と会社の目的がリンクするよう
にしかっり話し込み、夢を共有するように働き掛けましょう。
 組織力が最大限発揮できれば、きっと競争力の強い、素晴らしい会社に
なります。

7.(3)美容室「ファン作りの仕組み」

 美容室においては、サービス業という特性から、人材にかかるウエイト
が高い職種です。
 そんな中でのファン作りの仕組みを作るには、「店作り」と「人作り」
と「お客様作り」が3大要素でしょう。
 店作りは、サロンコンセプトの発信ですね。当然、しっかりしたサロン
コンセプトの浸透と表現が必須の条件です。
 人作りについては、1にも2にも、教育・共育・協育です。コンセプト
に基づいた人材を作っていくことが何よりの繁盛の近道です。
 お客様作りについては、どのサロンも意識してはやっていないようです
が、お客様を教育してサロンナイズするということです。つまり、お客様
をサロンのベクトルに合わせるように方向付けていくと言うことです。担
当スタイリストにおいても同じことが言えます。
 これが出来れば、お客様は熱烈ファンになられます。
 こんな仕組みを完成させたいものです。

8(4)商売「儲かる仕組み/売れ続ける仕組み」

 儲かる仕組み、売れ続ける仕組みのキーポイントは何でしょうか?
 失客がなく、お客様がお客様を連れて来るという、自動巻きみたいな仕
組みがそうなんでしょうね。
 「そんなラッキーなことはあり得ない!」と頭ごなしに言うのではなく、
一度そんな観点で考えてみましょう。
 定着率100%。失客率0%。紹介率100%。カラー比率100%。
パーマ比率100%。トリートメント比率100%。店販購買比率100
%。来店サイクル30日以内。給与全員100万円。
 「ありえへん!」という声がビシバシ聞こえてきますね。
 しかし、そんな発想で考えてみればいいのです。
 考えるだけは、誰にも迷惑は掛かりません。
 お客様を「集める仕組み」ではなく、「集まる仕組み」が必要といわれ
ます。
 そのためには、サロンのコンセプトが全ての人に、愛され、認められ、
衆知されることです。そして、またそれを具現化できる設備やスタッフが
揃っていることが肝心です。
 そんな観点から、全く違う発想で仕組みを考えてみることも有効な手段
だと思いますよ。

9.(5)現場「成果を出し続ける仕組み」

 成果を出すには、成果が何なのか、何をもって成果とするのか、という
ことををしっかり認識することから始まります。
 成果=アウトプットです。そして、インプットは何か、プロセスは何か
を見極めることです。
 この考え方は、本メルマガ「ホッパー図」で解説しました。
 成果を出し続けるには、現状を改善・改革していくというイノベーショ
ンする力を最大限発揮することです。
 ベンチマーキング手法で、異業種などからいろいろなアイデアを引っ張
って来るのも良いでしょう。
 また、バイオミメテクスで、自然界からヒントを得るのも良いでしょう。
 いずれにしても、その間には、全て人が介在します。
 だから、人材を磨き上げることが一番重要な要素であるわけです。
 センスを研ぎ澄まし、アイデアを実現化していくという自主活性型の人
作りが、成果を出し続ける仕組みの最大のポイントであることは、誰もが
認めるところでしょう。

10.最後に

 仕組みとは構造と動きのデザインです。
 構造がしっかりしていないと、家もすぐに倒れてしまいます。
 長持ちする家を作るには、しっかりした構造で、しっかりした技術で家
を建てることです。
 会社も、美容室も同じです。
 皆さんも、しっかりした基礎、しっかりした枠組み・骨組み、しっかり
した建築方法で、びくともしない会社・美容室を作って下さい。

 では、また次回お会いしましょう!

ミスティーク (神秘性、最上級のサービス要素)

メルマガ再録 (2008年12月8日) 第79号


「えっ?なんでそこまで知ってるの?」「なんでここまでサービスしてくれるの?」とお客様が不思議がられるくらい行き届いたホスピタリティサービスを提供することです。

         < ミスティーク(神秘性) >

1.はじめに

 ミスティークとは、神秘性のことです。
 仕事に神秘性?
 似つかわしくない言葉と感じますよね。
 しか~~し、それが、最上級のサービス、ホスピタリティを表現するの
に必要なキーワードなのです。
 今回は、それを検証してみたいと思います。

2.ミスティークとは

 予約して初めて行ったお店で、「谷口様、いらっしゃいませ」と言われ
たら「えっ!なんで?名前知ってるの?」とビックリしますよね。
 また、受付だけでなく、その店のスタッフ全員から名前で呼ばれたら、
もう「?????」ですよね。
 そうなんです。
 その、「なんで?」という不思議な感じが神秘性(ミスティーク)とい
うことなのです。
 しかし、ミスティークにも弱点があります。
 「そこまで知っていて欲しくない」「私的な情報が皆に共有されている
のは不愉快だ」「ベタベタされる感じで嫌だ」という人もいるからです。
 そのあたりについては、サロン側の判断と言うことになります。
 しかし、それを乗り越えてでも、考えてみる価値のあるテーマです。

3.ミスティークの前に

 ミスティークを考える前に、まずはスタッフのレベルを知る必要があり
ます。
 感動できない心のままでは、何をしてもだめです。
 そういう体質は、サービス業としては辛いものがあります。
 なので、「感動できない心」を「感動できる心」に変化させる作業がま
ずは必要です。

4.感動体質教育

 「感動できる心」を習得させるには、感動体質教育とも言うべきプログ
ラムを考えて、それを繰り返し実施していくことです。
 そうして、感受性の向上に努めることが大切です。
 そのプログラムのアイデアとしては次の様な例があります。
(1)感動本を読む
   これは、涙を誘う物語などの本をチョイスし、それらを各人で読ん
   で、その感想を発表したりと言うことをします。これはいわゆる寺
   子屋形式というもので、なかなか効果的です。
(2)感動セミナーを受ける
   感動するお話を聞きます。そしてそれについてのレポートを書いて
   発表してもらい、共有します。
(3)感動話を朗読する
   ミーティングの前などに感動話を朗読します。心が浄化されて優し
   いミーティングになり、スタッフの心が感動体質に傾いてきます。
(4)対話する
   サロンでの感動に対するテーマの対話を増やすことです。
   お客様との感動体験を共有します。
 上記の様な内容を一連のプログラムにして取り組みます。
 感動本などを読むと、お客様にその話をしたくなるので、お客様にも優
しいサロンの印象が積み重なってきます。
 ということで、スタッフもお客様も感動についての体質、土壌、気運が
徐々に高まってきます。

5.事例研究

 次は、実践へのステップです。
 感動できる体質は出来てきたが、何をどの様にしたら良いのかが具体的
に分からないので、次はその部分を勉強します。
 その勉強の仕方のプログラムには次の様なものがあります。
(1)より上質なサービスをベンチマーキングする
   優秀といわれている同業種、またサービス業としての異業種に出向
   いて、そこのサービス、接客、技術など、全てを体感、観察してき
   ます。そして、その情報を店内全員と共有します。
(2)ビデオ研究する
   DOIT!などの優秀企業を映像で研究します。
   ポイントは、説明なしでまず映像をみてもらい、それから少人数グ
   ループで、感じた内容に付いてディスカッションすることです。
   いろいろな視点があり、意見交換することで気付きが多く得られま
   す。

6.おもてなしの心を育てる

 今まではマニュアルのサービス、指示された接客、少し上達して、次回
につなげるための提案、お声掛け程度だったものが、この様にして感動で
きる体質が定着し、やり方までを学ぶと、ここからは自然に行動が変わっ
てきて、お客様に喜んで頂きたい、感動を与えたいという感情が芽生えて
きます。
 そうなると、個人でその発想を具体化する、例えばお客様のカルテを見
て、お客様の趣味に合った新聞の切り抜き情報などを用意するなどのアイ
デアを実行するようになります。
 そうすることにより、お客様は大変喜ばれます。
 そうすることが度重なると「お客様に喜んで頂けることが自分たちの喜
びである」という究極のホスピタリティ思想が定着してきます。
 これらの行動、考え方は、もうミスティークの原点と言えるものです。
 ミスティークとは、お客様のためにという想いが形(言葉、行動、物)
として提供することで、スタッフ(サロン)の想いがお客様に伝わること
です。

7.サロンミスティーク

 個人としてのサービス、ホスピタリティがしっかり発揮できる様になっ
たとしましょう。
 しかし例えば、Aさんは凄く思いやりがあるのに、Bさんはそれほどで
もないという場合、サロン全体のサービスレベルの評価は、Bさんの評価
点が基準になるので、低い点でしかありません。
 これを補うには、スタッフ間のリレーション(関係性)が重要です。
 スタッフ間のチームワークが良くないサロンって、イメージ良くないで
すよね。
 ということは、チームワークのレベルを引き上げて、全員でミスティー
クを発揮するということが究極のサービスになるわけです。
 つまり、本当のミスティークを発揮するには、個人プレイでは限界があ
り、サロン全体でこの問題に取り組まないといれないということです。
 これでお分かりのように、サロンミスティークは究極の接客サービスな
訳ですが、相当にレベルの高いことが分かりますね。
 そうそう、心理学を学んだ人に聞きました。
 お客様のちょっとした所作を見てそれを読んでする先読みのサービスは
まだホスピタリティの域ですが、潜在意識レベルでのサービスもあるとい
うことです。
 つまり「そこまで気を遣ってくれているのね」という先の先を読んだ、
お客様本人も気付いていないサービスに神秘性(ミスティーク)を感じる
というわけですね。

8.評判~神話作り

 ミスティークが発揮されると、サロンのお客様は必ず誰かにお話されま
す。自分の期待を超えたサービスは黙っていられないのです。
 だから、家族や親戚、近所の友人に必ずしゃべります。
 そうすると、近所のうわさになります。
 そうすると・・・評判になります。
 そうすると・・・そうです、そのサービスを一度味わいたくて、来店さ
れることになります。
 サロンではこの機会を逃さず、磨いたミスティーク力で、サービス力を
発揮します。
 すると、また一人ファンが増えて、紹介が発生します。
 このように、天使のサイクルが回り出すのです。
 こんなミスティークの中でも、究極の思いやりがうわさとなり、神話と
なります。
 こうなればもう勝ちパターンです。
 物的なものは真似され、安くされて終わってしまいますが、このミステ
ィークはそう簡単には真似できません。
 感動体質を培うプロセスは、サロン固有のものだからです。
 そういう価値のあるミスティークを作り上げることが、サロンにとって
これからの重要キーワードであることが分かって頂けましたか?

9.まとめ

 接客レベルを次の様に定義してみました。
  低感動・・・マニュアル接客
  中感動・・・マスタートーク接客
  高感動・・・ホスピタリティ接客
  超感動・・・ミスティーク接客
  劇感動・・・サプライズ接客
 この、劇感動(サプライズ接客)は、意図的にやるとちょっと嫌味にな
ることが多いので、超感動(ミスティーク接客)の一部の突出した部分と
考えた方が良いでしょう。
 サプライズは派手ですが、ホスピタリティはベーシックです。
 ミスティーク・サプライズは、ホスピタリティという氷山の海上に突き
出している一部分と考えると分かりやすいかもしれませんね。
 それぞれの接客レベルを一段づつ上るには、その段階にすべきことをし
っかりこなしてからでないとお客様に失礼がありますので、その点を良く
考えてレベルアップに努力して下さい。

10.最後に

 人間の心理はシンプルです。
 自分の居心地の良いところに行こうとします。
 そのポイントを押さえて、ミスティーク力を身に付け、繁栄サロンを作
って下さい。
 そう、「戸が笑うサロン創り」・・・スタートです。

 では、また次回お会いしましょう!

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