| 実践技術
効果的報連相 (正確な判断を促す)
メルマガ再録 (2006年4月24日) 第17号
自分から何らかのアクションを起こさないと報連相にはなりません。報連相は、血液みたいに隅々に新鮮な酸素を届ける役割を果たします。会社組織の潤滑剤として、大変重要な意味を持っています。
< 効果的ホウレンソウ >
1.はじめに
ホウレンソウ(報連相)って普通に使っていますが、これって社会人の常識ですよね。
「今度のプレゼンは大変だ」とか、「今日はチョッキ(直帰)だから後よろしく」とか言いますが、そんなビジネス用語の一つですね。
知らない人のために再確認しますが、報連相は、「報告」「連絡」「相談」の頭文字を続けた言葉です。
「報告」とは、広辞苑によると「ある任務を与えられたものが、その遂行の情況・結果について述べること。また、その内容。」です。
「連絡」とは、「相手に通報すること。相互に意思を通じ合うこと。」
「相談」とは、「互いに意見を出して話し合うこと。また、他人に意見を求めること。」となっています。
要するに、自分から何らかのアクションを起こさないと報連相にはならないということですね。
これを元に考えてみると、報告は定例義務、連絡は緊急義務、相談は任意と言う感じがしますね。
では、今回はこの報連相について考え、効果的に行うヒントについて考えてみましょう。
2.悪魔のサイクル
「報連相は苦手で!」ということをよく聞くことがあります。
なぜでしょう?
ではまず「報告」について、その苦手理由を考えてみましょう。
仕事ですから、任務(ミッション)には必ずテーマと期限があります。
実績がその期限に間に合っていないとしたら、誰しも報告はしたくないですよね。注意される、怒られる、文句を言われる・・・ということで、どんどん自分の気持ちが萎縮していき、極端な話、最後にはストレスでうつ状態になるという人を最近よく見かけます。
また、自分のペースでやりたい。だから報告より結果だろう!と自分勝手に解釈して、報告しないというケースもあります。
しかし、そんなことを上司が見逃すわけがありません。こっぴどく叱られます。そうすると、またその嫌な体験が積み重なって、気持ちはどんどんヘヴィーになってしまいます。
「連絡」もそうです。緊急事態の発生に対し、その報告義務を怠ると、通常報告以上に大変な事態になってしまいます。
では、「相談」です。これって、なかなか適切に答えてくれる先輩・上司がいない。いたとしても時間が取れない、タイミングが合わない、二人で話していると変な目で見られる、などの理由で、なかなかうまく相談に乗ってもらえないのが現状でしょう。それでまたどんどん自分だけで悩んでしまう。
この様にどんどん辛い方向に行くことを「悪魔のサイクル」と言います。
このサイクルに入ると、仕事は面白くない、やる気もない、楽しいわけもないという症状になり、ひどい場合は出社拒否症になってしまいます。
悪魔のサイクルと逆の動きが天使のサイクルです。
少し工夫するだけで、どんどん仕事が楽しくなります。では次の項で、そんな天使のサイクルになる方法を考えてみましょう。
3.報告のポイント
まずミッションの全体像をよく理解することです。この把握がおろそかになると、全体がボヤけて、何を・いつ・どうしたら良いのかが分かりません。だから、まず全体把握が一番です。
指示された時に、それを復唱すること、メモを取ることが大切です。また不明な点・疑問な点は、必ず質問し、中間での報告義務についても質問します。
それがつかめたら、スケジューリングの中に、報告日程を入れます。この時、無理をしないことです。
無理は必ず遅れとなって現れます。
報告内容には強弱を付けます。軽く報告する、きっちり報告する、口頭で報告する、文章で報告するなどに区分すれば、毎回の内容が明確になりフットワークが軽く報告できます。
上司が報連相させたい内容・知りたい項目は「現状の進行状況、問題点、今後の展開、そして期限通りに仕上がるか?」ということです。
つまり報告は、その結果が見える判断材料となるネタが提供できているかということに尽きます。
こう考えると、遅れている部分についても、包み隠さず明確に報告しなければならないことが分かるでしょう。
遅れている理由は理由として、とにかく明確に現状を知らせることが報告業務の最大のポイントです。
ここまでは中間報告ですが、最終報告もあります。
最終報告では、「目的を達したか?」「目標達成はどうだったのか?」「プロセスで学んだことは何か?」「全体を通しての成果はなにか?」「波及効果出来ることはあるか?」「ノウハウの共有はできるか?」等について言及されていれば、なかなか立派な報告と言えるでしょう。
4.連絡のポイント
クレームやトラブルは緊急連絡が必要です。
これらに対しては、自分のミスを隠すのではなく、お客様にとってどうすべきか、何をすれば一番良いのかを優先的に考えて行動します。スピードと誠心誠意がポイントであることを認識して、緊急事態を乗り切りましょう。
連絡は、タイミングが必要です。
集合の連絡をするのに、期限が切れていては意味がありません。賞味期限の切れた情報をもらっても、何の意味もありがたさもありません。
だから、面倒くさい、後でもいいかな?なんて甘い考えを持つのではなく、今しなければというタイミングで思い切って連絡する勇気が必要です。過去の経験からして、そのチャンスを逃がすと、大変後悔します。
また、グッドコミュニケーションもこの連絡から生まれます。
仕事は、意思疎通がうまくいってこそ、部門間、先輩後輩、同輩間のこだわり、わだかまりもなくなり良い仕事が出来ます。
相手を気遣う優しさや、感謝の気持ちや、細かい連絡がどんなに効果を発揮するかしれません。
常に相手を思いやる気持ちで連絡をしましょう。それがポイントです。
5.相談のポイント
「予定通りに行かない、不具合が出た、しかし、自分にはどうしたら良いのか分からない」といった時の対処で相談というツールを使います。
相談して返ってくるのはアドバイスと相手からの思いやりです。
事後では駄目です。事前にその問題について相談するということは、相談された相手も頼りにされていると感じてくれて気持ちの良いものです。
ここだけの話、この手を使うと上司はイチコロです。「おっ、珍しいな、谷口!悩んでるんか?よしよし教えてやろう!」となる訳です。
相談については、こんな物語があります
お父さんが、大人でしか動かせない様な大きな石の塊を前に、息子に言いました。
「どんな手段を使っても良いからこの石を動かしてごらん。」
そうすると息子はそれを動かそうと、いろいろとやってみます。素手や肩で押したり、足で蹴ったり、棒をテコにしたり・・・でも、まったく石は動きません。
そして息子は疲れてお父さんに言います。「こんな大きくて重い石は僕には動かせないよ!」。
そこでお父さんが言います。
「息子よ、初めにお父さんは言っただろう!。どんな手段を使っても良いからって!それはね、お父さんに相談して、一緒に動かして欲しいって言うことも、立派な手段の一つなんだよ!」と教えます。
どうですか?
意外に盲点だったりするんです。この相談ってツール。使えると思ったらどんどん近くの人に相談して、バンバン知恵をもらっちゃいましょう。
6.実行者側から見た報連相
実行者側にとっては、報連相は成果、結果を高めるためのツールです。
それを悪魔のサイクルで、義務と考えるのは狭い考え方です。
目標を達成するために与えられた公的な武器な訳です。
だから、それをどんどん活用しましょう。
要するに、そのミッションをいかにやり遂げるか、その目的・目標を達成しようとする気持ちが強ければ強いほど、報連相は必要になり、自然と使うようになると言うことです。
この「報連相はツールである」という発想をもっと現場に浸透させる様にして下さい。
これが定着、活用されるようになればサロンの中は大変活性化されます。
そりゃそうですよね。常に報告・連絡・相談が絶え間なくされているということは、サラサラの血が身体中を巡っているって感じですものね。
この報連相だけ取ってみても、全社運動としてのテーマに挙げれば、素晴らしい集団になること請け合いです。
では、次に管理者側から見た報連相について考えます。
7.管理者側から見た報連相
「報連相が出来ていない」とばかり現場の者を叱っても、それはそういう環境を与えていない管理者の責任です。
特に報連相ができているかどうかは、伝統に負うところが多いようです。
どうしても新人は先輩を見習う習慣があり、初めは意気込んでやらねばと思っていても、こんなもんでいいんだと妥協するからです。
ではどうするか?
管理者が報連相を勉強しなければなりません。さらに、報連相には上記で書いたような特性があることを知り、徹底指導を行うことです。
そして、報連相を徹底させることにより、仕事の把握力を向上させ、成果を出させるという教育的側面を利用して、スタッフの成長を促します。
OJT、OFFJTの項目でも書きましたが、仕事を通して実践指導していくことが最短のトレーニングになり、会社・スタッフの成長への近道でもあります。
8.最後に
報連相って、かなり奥が深いものでしょ?
要するに報連相はプロセス管理ですね。
物事は、インプット、アウトプットだけでは成果はありません。
プロセスを管理することで、結果・成果は格段に違ってきます。
いかにそういった体質を作れるかに挑戦してみて下さい。
9.次回案内
では、次回の案内です。
次回は、「マトリックス思考法」です。
即座に考えをまとめたり、整理したり、一覧にしたりというテクニックを公開します。
では、次回もお楽しみに!