| 実践技術
企画書の書き方 (企画書を作成する)
メルマガ再録 (2006年10月23日) 第28号
企画書は、その企画内容に対して上司が判断してOK、NGを出すという資料ですので、書く側の論理ではなく、読む側の立場で書くというのが最大のポイントです。
< 企画書の書き方 >
1.はじめに
本メルマガの第19号「企画開発技法」の項目で、企画書の必要性、要素、作成のステップ、およびその効果等に付いて書きました。
今回は、企画書のさらに詳細な部分について、見本を示しながら書いてみます。
2.福島正伸流企画書
福島先生は、「通らない企画はない!」と言われます。
それは、通るまで粘るからです。
その例として、自分が提案したい内容を自分なりに企画書にします。それは、完成度をわざと低くしておきます。
そして、その企画書を他人に見せます。見せられた人は「こんな企画じゃ通らないよ!」と言います。すかさず「どこがいけないんですか?」と質問します。すると、その人は「これこれこう書いた方が良い」と教えてくれるのでその様に改良して、また違う人に見せます。そんなことを何回も何回も繰り返すのです。
そして、それを提出します。提出して「だめだ!」と言われても又修正して持っていくのです。
相手より熱意で負けない。そうすれば必ず「どんな企画も通ります!」と福島先生は言い切ります。
皆さんもそういうことを意識して、企画書の書き方を学びましょう。
3.企画書の様式(装丁)
様式は、A4サイズ、縦長、横書き、左綴が基本の形です。
外表紙はハードカバー、透明カバー、色紙等を使用すると良いでしょう。
綴じの順番は、外カバー、表紙、目次、本文、添付資料の順です。中表紙として、添付書類の先頭部分に本文と区別するための中間タイトルを用意するとさらに良いでしょう。
表紙に書く内容は、「企画書」の文字~企画書タイトル~企画者名~提出日があれば結構です。
次は目次です。本文の項目タイトルとそれに対応するページを書きます。小項目がある場合は、段落して見やすく配置します。添付書類の目次は、本文目次の下側に「添付書類」と明記して、本文項目のようにページを書きます。この時、添付書類のページは、「1ページ」から始めます。
本文は、企画の詳細を記載します。添付資料との関連性を書くことが必要です。(添付資料○○ページ、資料No.○○参照)の様に書きます。
最後に添付資料です。これが結構やっかいです。
添付資料は、本文と連動して添付資料№を通番で付けます。本文の番号を変えて添付資料№と合わないというケースが良くあるので要注意です。
A3などの大きな用紙を添付する場合は、A4にたたみ込みます。A3サイズで縦長仕様の場合のたたみ方は次の通りです。上方を綴じ側にして、中央を谷折り、そして重ねた方の紙を中央で山折りで開けば出来上がりです。図面などの大きな用紙も特殊なたたみ方がありますので、左を綴じたままで開ける様にたたみます。
提出には、基本的には1部で良いですが、場合に応じて必要部数コピーします。マスターはこちらで管理します。
4.企画書に記入する要素
本文に記入する項目を例を挙げて説明します。
新発売のトリートメントを導入したいというスタッフの立場で、オーナーに向けて企画書を提出するというケースで、書いてみます。
私は、トリートメントについては詳しくは知らないのでおおよその見当ですが、こんな感じ?ということで書いて見ます。
(トリートメントは以下Trと略します。)
企画タイトルを「新発売Tr“AAA”の導入」としましょう。
(1)主旨
・当店はお客様の髪を大切に考えています。Pメーカーからこの春新発売になった、髪の毛を芯から良くするTr剤“AAA”の導入を提案します。
(2)目的
・お客様へは髪の健康増進、当店にとってはTr比率の向上、クリニックメニユーの新提案~定着による売上アップを目標とします。
3)背景
・LOHAS主流の業界において、髪の健康を考えない商品をお勧めすることは難しくなってきています。その上、現実にお客様の髪質が傷んでいる傾向は強いです。さらに技術の進歩によりメ研究が進んでいます。
(添付資料1、資料№1「LOHASとは?」を参照)
(4)商品仕様
・美容メーカーの技術が近年加速度的に進歩してきており、またバイオ技術も導入されてきています。
・そんな中において、この春発売されたP社のAAAというTrは、今までにない独自の開発コン
セプトを持っており、他社には例を見ない仕様となっています。概略としては、バイオ技術の導入により、たんぱく質の酸化を防ぐ効果が高いということです。
・商品のラインナップは、シンプルな構成になっており、在庫はそんなに多く抱える必要はありません。
(商品の詳細仕様に付いては、添付資料2、資料No.2「AAA商品カタログ2~4ページ」を参照)
(5)商品特徴・効果
・Tr液の浸透性が早く、短時間で施術が出来ます。
・仕入原価が安い。
・結果がその場で分かります。(サラサラ、ツヤツヤ、ハリコシ、よい匂い等)
・持続性が良い。(サロン施術で最低3週間は効果が続きます。スタッフ間でサンプル使用をしましたが、効果は確認済みです。)
(効果測定結果に付いては、添付資料3、資料No.3「AAAに関する効果測定アンケート報告書」を参照)
・ホームケア剤を付ければ、さらに効果が長持ちします。(さらに1ヶ月は持ちます。・・・これに
ついては継続経過調査中です)。
(6)商品価格
・今までのディーラーから通常通りの仕入れとなります。
・業務用の仕入れ原価率は、○○%である。
・店販用の仕入れ原価率は、○○%である。
(7)商品販売価格
・メニユー価格は、メーカー指導では3000円~5000円の価格帯でお勧めできるということです。
・当店に合わせた場合、4000円くらいが適当と思われます。
(8)期待効果
・今までの商品と同じ価格帯ではあるが、即効性があり効果が早く感じられるのでが「満足感・良かった感」が大きいので、リピートが期待出来ます。
(9)メリット・デメリット
・デメリット
・今までの商品との位置付けをどうするか?
・新しい商品なので、定着までに時間がかかる。
・お客様への認知の工夫が必要。
・メリット
・メーカー講習で試してみたが、今までにない「手触り」「ツヤ感」「匂い」で、大変満足した。
・サロンTrは、その場で実感出来るので、お勧めがしやすく、今までのTrから移行してもらえると感じるので、単価が高く頂ける。
・健康志向にマッチしているので、売り出しやすい。
・クリニックコースに組み込むことにより、セットメニューも作れるので、客単価を上げることが出来る。
(10)Tr導入プロジェクト結成
・結成
・スタイリストA&B、アシスタントC,D,Eの5名でTr導入プロジェクトを結成し、導入部分の実務を担当します。
・新Trのネーミング
・プロジェクトの仕事の一つとして、新Trのネーミングを行います。
・メニュー化検討
・店販商品の販売方針、クリニックメニューのコース作り、導入~定着等を考えていきます。
(11)技術導入手順
・今のところ導入に関して考えている草案は次の通りです。
・技術習得
・導入承認後、2週間以内にメーカー講習を全員で受けます。
・その後、店内で相モデルで、数回体験を行います。
・その結果を共有します。
・販売トーク技術
・その後、トークマニュアルを作成し、ロープレで徹底します。
・販売トークを手助けするサブ資料を2部作成します。
・見やすく分かりやすい技術資料的なものとします。
(12)お客様へのお知らせ
・ミニチラシを作成
・専用のお知らせ用のミニチラシを早急に作成します。
・文面は、プロジェクトを結成して、そこで検討します。
・配布の方法は、デビュー1ヶ月前よりレジにてお渡しします。
・また、季節の折込チラシに合わせて、大きく取り上げます。
・POPを作成
・店内お知らせとしてのPOPを作成します。
・ミラー面に3枚を貼り付け、待合に1枚を置きます。
(13)キャンペーン要領
・キャンペーン期間
・○月~○月の2ヶ月間とします。
・デビュー価格
・待合で、定価の20%OFFトライアル券をお渡しします。
・この券はプロジェクトで作成します。
・本日でも使えることを言います。
・それをきっかけとして、本当に良い商品なのでとにかく1度はお試し頂きたいという事を事
前に待合で熱を入れてお話ししておきます。
・サービス
・紹介用として、トライアル券をお渡しします。
・実感して頂ければ紹介につながります。
・感想コメント集の作成
・体感された方から感想を頂き、コメント集を作成します。
・それをさりげなく待合に置いておきます。
・追加メンテは、各自で書き込みます。
・店内ゲーム展開
・キャンペーン期間中の販売合戦をゲーム感覚で出来るように工夫します。
・キャンペーン中間チェック
・各人の販売目標と販売途中経過が分かる様にエクセルでグラフを作成します。これもプロジェクトチームで作成します。
(14)初期費用
・仕入れ初期ロット ○○円
・キャンペーン関係費用 ○○円
(15)評価
・販売で頑張ったスタッフにオーナー特別賞を用意します。(要相談)
5.企画書の書き方のポイント
企画書は、その企画内容に対して上司が判断してOK、NGを出すという資料ですので、書く側の論理ではなく、読む側の立場で書くというのが最大のポイントです。
だから、読み手の立場に立って、判断しやすいようにネタを提供するということを常に考えながら書くことにより、より分かりやすく、採否の決定がしやすい資料となるわけです。
主観を入れずに公正な立場で情報提供することに心掛けて下さい。
6.最後に
企画書は、頭の訓練です。先を読む技術が必要です。どんどん頭を使わせることにより、アイデアが生まれてきやすくなります。
いつの時代も、頭の柔らかさが求められています。
企画そのものが他店との差別化にもなるわけです。
企画をどんどん考えることによりサロンは活性化します。
そうすることで自主活性型サロンに近づくのです。
7.次回案内
では、次回の案内です。
次回は、「信頼の経営」です。
信頼の経営を構築する上で必要なものは? 本音と建前などについて考察してみたいと思います。さてさて、どんな内容になるのやら・・・