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企画開発技法  (創造したことを表面化する技術)

メルマガ再録 (2006年6月12日) 第19号


考えたことを企画書にしてまとめる作業をすることにより、しっかりした構成力と提案力が身に付きます。これを継続実践することで自主活性型の人財を作ることが出来ます。

< 企画開発技法 >

1.はじめに

 企画開発技法は、次の2つの効果を狙いとしたものです。
 1)新企画を文書にして考えることにより、より実現可能になるので成果が見える。
 2)新企画を考える習慣をスタッフに身に付けさせることにより、店内の活性が向上し、サロンが前進
  する。
 企画を文書にして考える習慣は、一般企業では当たり前のことですが、サロンのスタッフとしてはあまり馴染みがありません。なぜなら、彼らがマスターすべき優先事項は「技術」だからです。
 しかし、ここに大きな落とし穴があります。
 もし、技術のみを優先させると、そのスタッフはどうなるでしょう?
 以前、3ヶ月で技術者になれるという触れ込みで、そんなスクールを開催したケースがありました。結果はひどいものでした。接客が出来ないのです。お客様との会話が出来ない、気遣いが出来ない、スタッフとのコミュニケーションが出来ないという技術者を作ってしまったのです。
 技術と接客は両輪だといわれますが、全くその通りです。
 現在においてさらに必要なのは、「人間力」と「企画力」です。
 「人間力」は、全ての根源である「優しさ」と言い替えることが出来ると思います。その次は「企画力」です。これが身についていないと、スタイリスト・アーティストとしての想像力・創造力が発揮できないのです。
 顧問先のサロンで、「経験したことは何とか出来るが、これからのことを考えるのは苦手」というスタッフを見掛けます。
 この問題を何とかしないと、行き詰るのは目に見えています。
 ということで、企画の出来るスタッフ、クリエイティブなスタッフを作るためのテクニックを今回は説明します。

2.企画の教育的側面について

 企画は、いわば0(ゼロ)から1(イチ)を生み出すことです。
 大抵、人は、提出された資料に対して「ああでもない、こうでもない」と問題点を列挙したり、ケチを付けるのは得意です。人間の思考は、基本的には保守なので新しいものは拒否するという考え方が身についているので、そうなってしまうのです。
 しかし、それだけで良いのでしょうか?思い切って出してきた企画に対し、それ(ケチ付け)をやってしまうと意気消沈して、企画を二度と出さなくなります。
 反対に、「それええやん!」とそのアイデアをほめて実現して上げると、その本人は、「やった!また考えるぞ!」と前向き思考になるのは当然ですよね。これを上手く利用して、「企画で人を育てる」ということをしていけるのです。

3.企画の基本ステップ

 それでは、その企画の方法について書きます。
 まずは、全体の流れです。
ステップ1「実現したい事が発生した」
  ・自分で考えたり、企画を依頼されたなどの理由で、案をまとめる必要が生じることです。
ステップ2「起案書を作成する」
  ・本格的企画書を書く前に、こんな感じで企画してもいいですかと問い合わせる簡単な書面が起案書です。
  ・このステップは簡単な企画なら飛ばしても良いですが、少し大きな企画になると、この事前検討が必要になってきます。
ステップ3「内定・承認を得る」
  ・企画の方向性を確認しておかなければ、せっかく企画した案が没になるのはもったいないのと、時間の無駄です。
  ・これを無くすために幹部の承認を得ておきます。この企画の採用、不採用の正式判断はステップ6で行います。
  ・ここで、幹部は担当者が何のために企画をしているのかを周知徹底し、この企画に対する協力を全員に求めることが必要です。
  ・特に外部の人に協力を得る場合、必ずその人も紹介し、何のために来て頂いているかを徹底しな
   いと、内部の協力は得られないので注意です。
ステップ4「本格的に企画を練る」
  ・起案書の承認を得て、本格的に企画書を作成するネタ・情報を探し、まとめます。
  ・この時、次項「4.企画するためのテクニック」を参考にして下さい。
ステップ5「企画書を作成する」
  ・企画の項目はその企画内容によっても異なりますが、大体以下の項目が入っていればいいでしょう。
  ・「テーマ名」「企画作成者」「提出日付」「企画の意図するところ(目的)」「投資内容と金額」
   「予想メリット/デメリット」「導入スケジュール」「特記事項」
  ・例)新店販商品の導入
     「商品の特徴」「予想リスク」「導入準備日程と内容」「PR方法」「導入スケジュール」 「キャンペーン内容」「キャンペーン中の売上目標と原価および利益」
  ・幹部が判断できる材料としての、読み手の側に立った視点で企画書を書き上げます。
  ・ポイントは、幹部に見て欲しい情報と答えが書いてあることです。
ステップ6「決定を得る」
  ・上記で作成した企画書を、幹部の前で説明します。
  ・説明にはプレゼンテーション力が必要です。
  ・気迫と熱意を持って説明して下さい。
  ・企画の採用・不採用・延期・保留などの答えを頂きます。
ステップ7「行動計画を作成する」
  ・企画書には導入スケジュールはありますが、本当に行動に移すには不十分なものでしょうから、再度現場サイドで本当の行動計画を立案し、徹底します。
ステップ8「行動に移る」
  ・そして、この詳細行動スケジュールに沿って行動を開始します。
  ・中間時点ではこの企画のドキュメント(記録)を付けて、幹部会での途中経過報告のために紙面で情報提供すると良いでしょう。
  ・もちろんスタッフにも経過報告することは必要です。
  ・このイベントが終了次第、最終報告も必ずしましょう。

4.企画するためのテクニック

 今までこのメルマガで取り上げてきた技法、テクニック、考え方、まとめ方などを利用して、企画を進めます。
 ここでは、ガイドラインだけにとどめます。各項目の詳細は、過去のメルマガを参照して下さい。
1)本質を捕える
  ・インタビュー技術(相手の意図を聞き出す)
  ・コアとフレーム(目的と手段、原因と現象<結果>の区別)
  ・クリスタライズ(余分な物を取り除いてクリヤーにする)
2)問題解決技法を知る
  ・拡散手法の応用(問題点の発見、アイデアの展開)
      ・ブレーンストーミング、特性要因図、アイデア出し
  ・集約手法の応用(問題点の絞り込み、アイデアの絞り込み)
      ・GT、マトリックス図、各種評価法
3)アイデアの出る工夫を知る
  ・息の合ったもの同士でHighになって話し合う。
  ・組み合せる。(AとBを組み合わせればどうか)
  ・MIXする。(AとBを混ぜればどうか)
  ・便乗する。 (それなら、これもよいのでは...)
  ・強制連想する(関係のないAとBの共通点を見つけ出す)
4)起案書/企画書の書き方を知る。
  ・先を読む力(仮定力)を身に付ける。
      ・日頃からの観察力、ドキュメント力が必要。
  ・シミュレーション力を備える。
      ・そのことがなし得る効果とそのプロセス等について想定出来る力を身に付ける。
  ・文章力を身に付ける。
      ・読み手側の立場で内容を整える。
      ・5W1Hを備える。(Who,What,Why,When,Where,How)

5.最後に

 この企画開発技法は、ワークショップによって実践的に学ぶことが出来ます。
 例えば、まず4~5名のグループに分け、テーマを決めさせて企画書を1時間くらいで書かせ、グループごとに発表させるということを2~3回繰り返すと、すぐ見よう見真似で書き出すことが出来ます。
 後は、その企画をどう評価して採用していくかという方が課題ですね。
 だけど、有り余るやる気を引き出すことは出来ますので、是非あなたのサロンでもやってみて下さい。

6.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回は、「NQ(ネットワーク・クォーティエント、人脈作り)」です。
 人脈つくりのポイントを教えます。
 では、次回もお楽しみに!

ではまた次回お会いしましょう!

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