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信頼の経営 (信頼の構築の仕方)

メルマガ再録 (2006年11月13日) 第29号


信頼の基本は、コミュニケーション(意思疎通)です。お互いが見えているという「透明性」をもって経営にあたり、お互いを信頼することから基盤を構築しましょう。

< 信頼の経営 >

1.はじめに

 「信頼の経営」、これはまた大層なテーマを取り上げてしまったものです。しかし、なんとか解釈しなければ、、、、
 ということで、私の経験の中から信頼の経営に関する内容を引っ張り出してきて書いてみます。
 信頼の経営に関する要素は、大きく分けてサロン内では「オーナー、幹部、スタッフ」、外では「お客様、美容業界、美容関係者、出入り業者、地域社会」の8つ要素の間の信頼関係を解き明かすことで何かが見えてくると思います。では早速取り掛かりましょう。

2.オーナーの資質

 まず、オーナーの資質について考えてみます。
 サロン(会社)は、オーナーの資質で全てが決まります。
 オーナーがいい加減だと、幹部・スタッフはそれを見習ってしまい、そんなサロンが出来上がります。オーナーが天狗になったり、横柄であったり、これで満足という姿のロンの成長は、底が見えます。
 逆に、オーナーの人格が尊敬に値するものであり、勉強熱心で、人間愛に溢れ、本当に部下を信頼して任せているサロンなら、サロンの成長は間違いないでしょう。
 ではなぜ、そうできないのでしょう。
 結局は自分への「甘え」です。
 「仕事はお金儲けの道具」としか考えていないオーナーは、スタッフの成長などには一切興味がありません。
 一方、「仕事は人生を磨く場である」と捉えているオーナーは、お金儲けは後に付いてくるものという解釈になり、まず人を育成します。
 ちょっと余談ですが、英語の「エデュケーション」(教育)は、ラテン語の「エドゥーコー」に由来し、元来“外に引き出す”の意味だそうです。
 人間、誰にも煩悩があり、それに惑わされることもあります。しかし、それにばかり引きづられていてはTOPの責任が果たせません。
 それを打破するには、甘える心に打ち勝ち、自分の心を豊にするための勉強が必要です。
 オーナーの資質がサロンの方向性を決定し、幹部・スタッフの人生までも方向付けしてしまうということを肝に銘じて、勉学に励むことが望まれます。
 つまり、この人に付いて行きたいというオーラを放つくらいにならないと、信頼性は発揮できないのです。
 信頼の基本は、コミュニケーション(意思疎通)です。
 お互いが見えているという「透明性」をもってサロン経営に当たり、お互いを信頼することから基盤を構築しましょう。

3.オーナー&幹部

 では次に、オーナーと幹部の間の信頼性について考えます。
 この間のチームワークが良くないと、サロンの方向性がグラつきます。逆にこの間の連携が上手く行っていると、本当に凄い力を発揮します。
 オーナーと幹部がしっくりいっていないサロンは、どうしようもありません。同じ方向に向かって歩調を揃えるのは、「夢・志の共有」しかありません。
 そのためには、日頃の話しこみが大切です。そして、中長期計画などの立案のために泊り込んででも意見を交換し、一つの方向に向けて調整します。
 特に、幹部に対してはエンパワーメント(権限委譲)が効力を発揮します。権限の及ぶ範囲と深さを話し合って決めます。
 こういった日常からの積み重ね、報連相が信頼を築きます。
 下のスタッフが、「上がバラバラやからやってられないわ」と言う声が少しでも聞こえたら大変です。相当の不満が溜まっています。
 その声に耳を傾け、謙虚に深く反省して、一丸となった経営を目指して話し合ってください。

4.オーナー&スタッフ

 オーナーとスタッフの間でよくあるのが、オーナーが直接スタッフに指示を出したり、丸秘情報を流したりと言う問題です。
 直接指示を出すオーナーに限って幹部への事後報告はありません。
 そういう時は必ずトラブルになります。
 幹部が、「なぜそうしたの?」ってスタッフに聞くと「だってオーナーがそれで良いって言いました」ってなことが発覚し、幹部は「もういらんこと言って!」とオーナーを信用出来なくなるのです。
 また、給与や人事のまだ検討中で、流してはいけない情報がなぜか下のスタッフが知っていることがあります。
 これは、幹部が流してしまうこともありますが、うっかりオーナーが流してしまっているケースもあります。
 オーナーは、割合特権意識が強く、「これくらいは」という安易で何気ない感じや、「別にいいだろう」という比較的、わがままな意識を持った人が多い様です。こういうタイプのオーナーは特に注意です。
 オーナーはスタッフに向けて、言わないといけない事、言ってはいけない事に付いて、再度認識を新たにして下さい。

5.幹部&スタッフ

 幹部とスタッフの間での問題は、幹部が情報を正確に下に伝えていないということが多くあります。
 例えば、幹部会で決定したことを各店に持ち帰って伝達すべきことがあった時、次の様な悪いパターンで伝えるということがあります。
   1=伝達を全く忘れている
   2=トーンダウンして伝える(熱意がない)
   3=自分の感情を入れて内容を曲げて伝える
 この様に、情報の伝達に関してもしっかり認識しないと、正確に伝わらないということを再認識してください。
 こういうことでトラブルが発生することもしばしばあるので要注意です。
 また、下のスタッフの情報が幹部に伝わって来ないというのも問題です。
 そういう場合はスタッフが悪いのではなく、幹部が聞く耳を持っていない、つまり、幹部は下が話しにくいオーラを放っているということです。
 だから、常に幹部はスタッフに心を開き、良い環境を与え続けなければなりません。そうすることで、情報の循環が良くなり、信頼のループが回転し出すのです。

6.サロン&お客様

 サロンとお客様の間の信頼は、今や平等なサービスをするのではなく個別のサービスをすることに注目点があります。
 顧客ではなく、「個客」と言う字を当てはめますが、まさに現在のサービスはそのレベルまで高まってきているのです。
 お客様の信頼を得る最大のポイントは、「今まで行ったサロンの中で一番自分のことを分かってくれた。そしてそのことに対して又来たいと言うレベルの技術・接客をしてくれた」ということに他なりません。
 要するに、お客様の期待を超えるサービス、これがポイントです。
 もう一つ肝心なことは、サロンが発信するサロンコンセプトです。
 これが新規の方にアピールする信頼性の表現ですから、それを工夫してきっちりお知らせすることが大切でしょう。そして、そのコンセプト戦略によりブランドイメージを確立し、信頼性を確固たるものにしていく作業が必須でしょう。

7.サロン&美容業界

 美容業界に対する信頼度の向上は、何かを発信し続けているということでしょう。
 新作スタイルであったり、各種コンテストへの出場、フォトコンテストへの挑戦、雑誌媒体への投稿、講師活動などなど、いわゆる美容業界に対するアピールの方法はいろいろあるでしょう。
 これらに関しては、そのイベントに強いメーカー、ディーラーなどがあるので、付き合いは良く考えて行うことが大事です。
 例えば、美容雑誌への掲載を定期的に続けていれば、それを見る美容学生へのアピールが高まり、採用活動に有利であるという実績があります。
 合同就職案内などの時のギャザリングなどでも、学生さんに対する信頼度の見せ方は工夫が必要です。そういうことも考えて、資料作りします。

8.サロン&美容関係者

 次は、美容ディーラーとの関係です。
 ディーラーとの関係は上記にもありますが、何でも相談する事がポイントです。
 ディーラーは、サロンのお役に立ち、売上を伸ばして取引量を多くしたいという目的を持っています。これは当然のことです。
 だから、こういう動きを活用して、何でも相談する事です
 良ければ、ミーティングにも入ってもらい、いろいろ助けて頂けることはお願いすればよいのです。
 一方、ディーラーは口ばっかりとか、他言するからというイメージを持っていると、いつまでもうまくいきません。
 お互い信頼して対等に取引することでギブ&テイクの関係が成立します。

9.サロン&出入り業者

 メーカー、ディーラーの他に、出入り業者にはこんな方達がいます。
 はさみ屋さん、内装業者さん、郵便屋さん、宅配業者、電気工事屋さん、花屋さん、ガス屋さん等々、いろんな方がサロンには出入りしています。
 この方達を大切にします。
 「バグジーでは年末にはこの人たちに感謝状を贈っています。そうすると、あの店は親切だということで家族の方に話が回り、奥さんや家族の方が来店されるんですよ」と久保先生は言っておられます。
 誰だってそんなことをしてもらったら悪い気はしませんよね。
 そうできる心の余裕が信頼を生んでいるのでしょう。

10.サロン&地域社会

 店の前の掃除や、町内会への協力はサロンとして当然出来ることです。
 それをしていないサロンが多いようです。
 店はその地域のお蔭で営業させて頂けているのです。
 それを忘れて慢心してはいけません。
 地域に貢献してこそ、認められるのです。地域との信頼の輪作りに精を出してください。
 一度良い循環が始まると、凄く楽しくなります。
 きっと、その良い循環にお客様も誘われて、来店されることでしょう。

11.最後に

 今回は、信頼の経営ということで信頼の構築の仕方を多方面から考察しました。
 最後に、何より本音で話せるサロン作りをして欲しいですね。
 建前は少しは必要な部分もありますが、本音で話しが出来て、同じベクトルの同じトーンのスタッフ全員でサロンが運営出来れば、毎日サロンに行くのが楽しくて仕方ないでしょうね。
 そんなサロン作りを目指して、信頼の経営を展開して下さい。

12.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回は、「ポリシーとスタイル」です。
 ポリシーを貫くとひとつのスタイルが出来上がるというテーマです。
 あなたは、自分なりのスタイルをお持ちですか?

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