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リフレイミング (角度を変えてみる)

メルマガ再録 (2007年1月22日) 第34号


1つの物の見方(枠)に限らず、他方(多方)からの見方をするということで失敗事例も学びになります。リフレイミングとは、「物事を違った角度から見る、現象の意味付けを変える」という意味です。

< リフレイミング >

1.はじめに

 リフレイミングの語源について調べました。
 リフレイミングは英語で書くと、「Re-Framing」
 Reは、「再び」と言う意味。
 Framingを辞書で引くと「組み立て、構成、構想、計画、枠をはめる
こと、枠、額縁、骨組み」などと出ています。
 これで解かる通り、リフレイミングは、直接的に訳すと「再び枠にはめ
る」ということですが、1つの物の見方(枠)に限らず、他方(多方)か
らの見方をするということで、「物事を違った角度から見る、現象の意味
付けを変える」ということです。
 悪い出来事も、角度を変えれば教訓となります。
 今回は、このリフレイミングという言葉に付いて考察します。

2.「自分の前に、超えられない問題は出現しない」

 「自分の前に、超えられない問題は出現しない」という先人の教えがあ
ります。
 これを信じるか信じないかで人生は大きく変わります。
 例えば、信じない人でマイナス思考だったとすれば、「もう私は駄目だ。
問題に押しつぶされて自己破滅してしまう」となります。
 一方、信じる人でプラス思考だったとすれば、「今は問題だがこの問題
はきっと解決できる。それに向かって努力しよう!」となります。
 マイナス思考からプラス思考への脱出は、今回テーマのリフレイミング
をして、方向変換するしかありません
 つまり、「自分の前に、超えられない問題は出現しない」と言う言葉を
信じるしかないのです。

3.お化け煙突

 3本ずつ並行に並んだ工場の6本のエントツ。
 これって見る角度によっては、5本、4本、3本、2本に見えたりする
んです。
 事実は6本であっても「いや絶対3本だ」と主張する人もいるわけです。
 3本だという人も、その場所からの見方に限定すれば正解なわけです。
立場(場所)によっては、物の見方が変わるということです。
 だから、6本と言う人は、3本と言った人の場所に行ってみて、3本だ
ということを確認すれば、それはそれで正解なのだということが分かり、
一つ勉強することになります。
 そうして、相手を理解することにつながるわけです。
 これは大変重要な意味を含んでいる物の見方です。
 教育者・指導者は特にこの考え方・見方を知り、相手の理解から次のス
テップにつなげる方法を会得して下さい。
 これについては、後程「コーチングでの活用」の項目で詳しく考えてみ
たいと思います。

4.リフレイミングのポイント

 では、どの様にリフレイミングするかという手法について考えてみます。
 相手の戦艦に突っ込む特攻隊の若者は、本来死にたくはありませんが、
上官の「祖国の誇りを思い知らしめるために今自分達が犠牲になることは
本望である!」という言葉に奮い立ち、一心の想いで突撃するのです。
 これはもう、リフレイミングの極致ですね。
 人から自分の気にしているルーズな面、例えば、連絡の悪さであったり、
遅刻ぐせであったり、約束を守らなかったりというところを指摘されたと
します。
 一瞬カチンと来ますよね。
 そこで、「あんたには関係~ねえよ!」と突っ張るか、「確かにそうだ
な、長い眼で見たら今それを直す時だな、それに直さないと、言ってくれ
た先輩にも悪いしな」と考えるかで全然今後の姿勢が変わりますよね。
 その時のスイッチが「リフレイミング」です。

5.日常生活での活用

 プラスの方向に言葉を置き換えてみると視点が変わります
 嫌なことがあっても、「願望」(~したい)で考えるとリフレイミング
出来ます。
 例えば、遅刻してきた人に対して、「無駄な時間を使わせないで欲しい」
というのは、他律的(他からの命令・束縛によること)で嫌だというの感
情分類に入りますね。そうです、他人の行動に対して、して欲しくないと
ケチをつけていることになります。
 <質問>それを、願望の表現に変えるとどうなるんでしょう。
 <答え>「わたしは、時間を有効に使いたい」
 つまり、自律的で、~~したいという願望の表現にするわけです。
 子どもに対して、夫や妻に対して、仕事の場面で、人の行動にケチをつ
けたくなったら、相手が悪いと思っても、一歩引いてリフレイミングして
考えてみましょう。
 頭は使うけど、きっとその方がいい方向に向かうはずですよ。

6.ベンチマーキングでの活用

 これまたインターネットで調べてみました。
 「ベンチマーキングとは、ひとことで言えば「ベストに学ぶ」というこ
とです。ベスト・プラクティス(経営や業務において、もっとも優れた実
践方法)を探し出して、自社のやり方とのギャップを分析してそのギャッ
プを埋めていくためにプロセス変革を進める、という経営管理手法です。」
ということです。
 これは、私の言う「アナロジカルシンキング(類推法)」や「コンピテ
ンシー(高業績者の行動特性)」の考え方に似ています。
 セミナーや現地見学に行って、それはその講師の先生だから出来たのだ、
とか、そこの会社だから上手く行ったのだという様に考えても、そこから
何も生まれない。そうではなくて、自分、自社に置き換えると、教えても
らった、または学び取ったことをどの様に活かして行くかということが出
来ないと、何の意味もないのです。
 だから、このリフレイミングを徹底的に叩き込み、全てのものを勉強材
料にしてしまうというくらいの姿勢を身に付けることが、自己成長にとっ
て一番大切なことです。
 自分の限界を超えていくには、他からの学び以外にありません。
 これを実践するには、まず観察すること、そして学ぶ(真似ぶ)こと、
それからそれを自分のものにするために習得すること、そして、それを発
揮することです。
 その段階の最初の観察することが出来なければ、次のステップに進めな
いのです。
 「観察眼」これがベンチマーキングなどリフレイミングのポイントです。

 このベンチマーキングを主体としたセミナーがあります。坂本龍馬や企
業家の人を研究し、その心意気・手法をベンチマーキングして、自分の将
来設計を行い、その場の人達に公言して有限実行を図るという勉強会です。
 柔な設計をすると、「それで本当に出来ると思いますか?聞いている人
達はどうですか?」と突っ込まれます。
 そして、そのうち段々と本気モードに突入し、すっかり人が変わった様
になって、自信を持って進化して行かれるのです。
 これは本当に素晴らしい勉強会で、成果を挙げています。

7.コーチングでの活用

 コーチングでもリフレイミングは使用します。
 では、例を考えてみます。
 コーチ「レッスンは進んでいますか?」
 生 徒「ええ、まあまあ」
 コーチ「まあまあって?」
 生 徒「やろうとするんですが、なかなか進まなくて!」
 コーチ「じゃあ、視点を変えて、レッスンを楽しむにはどうしたらよい
     と思いますか」
 生 徒「分かりません。」
 コーチ「そうですね、じゃあ、レッスンした後に自分に褒美を出すとい
     うのはどうですか?」
 生 徒「それなら、よさそう。」
 コーチ「そうですね。では、何の褒美にしましょうか?」
 生 徒「そうですね、1週間6時間練習したら、映画を見れるとか?」
 コーチ「それでいいですか?」
 生 徒「もっと言うと、8時間したらCDが買える、10時間したら両
     方ともできる!」
 コーチ「いいですね!。10時間したら私が映画代持ちますよ!」
 生 徒「えっ!本当ですか?嬉しい。」
 コーチ「じゃあ、頑張れますか?」
 生 徒「はい、絶対10時間します。」
 コーチ「では、来週のこのミーティングで確認しますからね。」
 生 徒「わたかりました。」
 コーチ「では頑張りましょう。」
 生 徒「はい。」(絶対映画代稼ぐぞ!!)
 ここのポイントは、コーチがレッスンの後の褒美という案を出したとこ
ろです。辛いレッスンを楽しみに変えるリフレイミングです。
 視点を変える、一ひねりすると、アイデアは湧いて来るものです。

8.最後に

 同じ視点、一定の場所からは同じものしか見えません。
 定点観測などは、一定視点だからこそ周囲の変化が分かるということも
あります。
 自分と言う存在そのものは根が張っていて定点でなければいけないので
しょうが、自分の思考や考え方のテクニックからいうと、今回の様な角度
を変えた視点からの発想と言うものは貴重なアイデアをもたらしてくれま
す。
 勉強が無駄にならないように、このリフレイミングという思考法を身に
付けてください。
 そして、バンバン新しいアイデアを考えて周囲を革新していきましょう。
 それはそれは楽しいことになりますよ。

9.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回のテーマは「目標達成」です。
 自分で作った、または与えられた目標に対して、それを達成するにはど
んなプロセスで、どんな工夫をして結果を出すかに付いて考察します。
 多分、今まで書いてきたノウハウ・ドゥハウを総動員しての作文になる
と言う気がしています。

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