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信号機理論 (経営のリスク予知)

メルマガ再録 (2007年3月26日) 第38号


私が考える信号機理論とは、交通信号機を経営上の通過ポイン トと考え、安全に、しかもいかにスピーディーに青色で通過するかということに着眼して考えてみようという試みの思考術のことです。

            < 信号機理論 >

1.はじめに

 今回のテーマは「信号機理論」です。
 さて、なんでしょう?
 「信号理論」をインターネットで調べてみましたが、ここで見る限り、
「0」か「1」かのデジタルの世界ですね。「信号機理論」では該当の項
目はありませんでした。
 しかし、私が考えた信号機理論は、それらとは全く関係がなく、経営的
な視点のものです。
 つまり、私が考える信号機理論とは、交通信号機を経営上の通過ポイン
トと考え、安全に、しかもいかにスピーディーに青色で通過するかという
ことに着眼して考えてみようという試みの思考術のことです。
 言い換えると、信号機を道先案内(経営の指標)と考えたベンチマーキ
ングと考えても良いでしょう。
 と言っても、まだ分からないですよね。
 では、具体的に書いて行きます。

2.信号機の特性

 信号機は、青→黄→赤→青→黄→赤→の順番で、点滅から点灯を繰り返
して交通整理をする機械です。
 これは万国共通の認識です。この順番が変わったりすることはありませ
ん。
 しかし、各信号機の点滅~点灯のながさは、その交差点の流れを良くす
るためにそこの交通の状態がスムースに流れるように調整されています。
 当然、交通量の多い道側がながく、少ない側は短いというのが原則です。
 これからの文章中では、自分の車の位置が信号機に近い場合をA、中間
くらいをB、遠い場合をCとして表現します。(自分の感覚で決めて下さ
い。)

3.青信号

 はじめに、前方の信号機が青色の場合を考えてみます。
 まず、自分の車がA地点にいる場合は、全く問題なく通過出来ます。路
地の数も少ないのでサイドからの飛び出しにも気を使わなくて済みます。
 黄色になりかけても少しアクセルを踏み込めば交差点を通過出来ます。
 次に、B地点の場合です。
 青色の内に通過したいという気持が強く出ますね。今スピードを上げれ
ば青色で間に合うかも知れないが、青色になってどれくらい時間が経って
いるのか、このままのスピードなら黄色に変わらないか・・・・
 しかし、今の内にA地点までスピードを上げようとしたら、その時が危
険です。青色の内に通過したいと考えた瞬間信号に気を取られ、サイドの
ガードが甘くなります。人間の特性として、集中すると周りが見えなくな
り、聞こえなくなるからです。
 そうです。だから信号機までの途中の状況が視野に入らなくなるのです。
 つまり、脇道からの飛び出しに対応出来ないのです。
 非常に恐い状況です。これが、B地点の場合の最大の特徴です。
 最後に、C地点の場合です。
 流れの意識がなく、いきなり見た青信号はかなり危険です。早くA地点
に達しないと黄色に替わるという意識が焦りを呼びます。そうです、魔の
B地点パターンにはまるわけです。
 信号のタイミングを遠くから認識している場合は、危険度は小です。な
ぜなら、ぼちぼち黄色かなと予測がつくからです。
 このあたりでドライバーのクセがはっきり出ますね。
 のんびり屋さんなら、1回待ってもいいよとペースを崩さずに走ります。
 しかし、あせり屋さんは、どうしてもこの青色で通過するぞと肩に力が
入ります。
 そうです、そうなればこれまた魔のBパターンです。
 いずれにしても、通過するぞと力が入った時に、それが落とし穴になる
ということです。

4.黄信号の場合

 今、前方の信号機が黄色の点滅、点灯だとします。
 ここでも3つのパターンがあります。
 A地点の場合、停止できる距離なのでしっかりブレーキを踏みます。
 B地点の場合、次は赤信号なので、停止モードに入ります。
 C地点の場合、安心してスローダウンして信号に近づくことが出来ます。
 以上の様に、黄色の場合は先を急ぐことが出来ないので、リスクが少な
いということです。

5.赤信号の場合

 信号が赤色でA地点の場合、ブレーキを踏み込んで停止します。
 信号の手前から青色~黄色~赤色の移り変わりを認識していることが大
事です。
 つまり、いきなり赤信号を見ても、それが赤になった瞬間か、青色に移
ろうとしているところなのかでは、心の用意、発進の準備の仕方が違うか
らです。
 B地点の場合は、スローダウンはしますが、ひょっとしたら青に変わる
かもしれないという期待感を持って信号を見ています。これはまたまた要
注意です。信号に集中してしまい、脇道の恐怖を忘れがちになるからです。
 C地点の場合、赤色の初期は危険度は小です。次は青色なので、楽に信
号まで近づけます。
 しかし、赤色の終盤は危険が発生します。次は青だからスローからアク
セルを踏まなければと思った瞬間がサイドが見えなくなります。

 以上の様に、各信号と車の位置により心理状況が違うのと、それに伴う
危険度が違うということがわかりましたね。
 車を運転しない人は、自分が自転車に乗って走っている時を想像しても
らえれば分かりやすいでしょう。
 では次に、この状況を経営に置き換えて考えてみましょう。

6.経営での青信号

 青信号は一般的に進めですが、その中にいろいろな要素があることを、
前項で考えましたね。
 青信号のA地点では、信号に近いので、問題なく通過出来ます。
 ここでのポイントは、ひょっとしたら横から信号無視をしてぶつかって
来る車があるかもしれないということです。
 だから経営でも、近隣の動向を見ながら前進することが大切だと教えら
れていることになるでしょう。
 常に、そういうアンテナを張り巡らせて、360度注意を払っておくこ
とが求められます。
 次にB地点です。
 ここは魔のB地点ですので、最大の注意が必要です。
 信号に注意を集中し過ぎることにより脇道からの飛び出しに対応しきれ
ないということが待っています。
 経営で言うと、好調な時に一つのミス、クレームあるいはサロン内の不
満などから水が漏れ出すことがあるぞという注意を促しています。
 好調な時ほど気を付けろと言うことです。なかなかそう思えないのが人
の常ですが、勝ってかぶとの緒を締めなければなりません。
 最後に、C地点の場合です。
 距離のある時の青は、誠に危険です。野心の落とし穴です。
 ある程度貯蓄も出来て、何かをしたくなったとき、悪魔の手が伸びます。
 そう、必ず魔の手が伸びるのです。そして、思い上がりになり、自分の
想いが全てのような錯覚に陥り、感謝を忘れます。
 そうなると、取り返しのつかないことになります。慢心はいけないとい
う戒めです。
 感謝の心を常に持ち、利他の心を忘れないことが大切です。

7.経営での黄信号

 黄信号は、速やかに交差点から脱出することですが、現状に留まらず、
常に次のステップを意識して向上していくという意識が必要でしょう。
 黄信号は、注意深く進行しているので、返ってリスクが少ないです。
 サロンでは、何か問題があったりするとそれに対してリカバリーするこ
とに一所懸命になります。これがみんなの団結心を高めることになり、良
い結果を生み出すことがあります。
 経営数字を見て、危機感を持って望むことも必要です。意識的に、常に
黄色信号を点滅させているサロンは素晴らしいです。
 良い意味の危機感を持って、目標達成に向かう姿勢があれば、黄色信号
は大変有意義なものになります。
 TOPの指針・姿勢が、サロン全体に繁栄することは言うまでもありま
せん。
 そのことをよく認識し、テクニックよりマインドを高める勉強をしてい
きましょう

8.経営での赤信号

 赤信号は止まれですが、経営では次に備える・力を蓄えるということも
大事な要素です。
 A地点の場合、車はブレーキを踏んで停止しますが、経営は停止できま
せん。
 赤字の場合、その要因を掴むことが先決です。
 要因は、それまでのデータの中に問題となる要素が隠されています。
 マイナスモードに入っている時は、なかなか見つからないものですが、
課題を見つけ出し、そして、挽回のためのプラスの計画を立てます。
 プラスになる計画が立てられれば、それを100%実行することです。
 そこはもう根性の世界です。
 計画と心の統一が図れれば、目的は達成できます。
 魔のB地点の場合は、行けるだろうと言う甘い予測が命取りになるとい
うことです。
 予測はどうしても甘くなりがちです。そこを厳しくシミュレーションし
て、120%の行動計画を立て、実行することで、物事は実現できます。
 80%の勝算でスタートしてはいけません。200%あっても、何があ
るかわからないのが商売です。それをよく肝に銘じるべきです。
 C地点の場合、次の青色を意識しすぎて足元を忘れがちということです。
 次の明かりが見えると走り出したくなるものです。
 そこをぐっと我慢して今までの進行速度を守りつつ、ペースアップして
いくことで、確実に成長につながります。
 次のためのエネルギーを蓄え、資質を向上し、次の商戦に備えなければ
なりません。
 備蓄なくして冬は越せません。また、ノウハウの構築なくして次の展開
はありません。
 この赤信号は、大変重要な要素を含んだ時間です。
 次のための準備と心得て、向上に努めましょう。

9.では質問です!

 Q1.あなたのサロンの信号機と同じ役割を果たすものとは、どんなも
    の(こと)ですか?
 Q2.誰がドライバーですか?
 Q3.信号のタイミングは誰が決めていますか?
 Q4.安全運転をするのに、どんなところに気をつけていますか?
 Q5.脇道の情報にアンテナを張っていますか?
 Q6.リスクマネージメントの対策は出来ていますか?
 Q7.次への飛躍の準備・計画・投資は出来ていますか?
 Q8.ナレッジマネージメントの蓄積は出来ていますか?
 Q9.サロンのフラグは全員が見えるところに掲げていますか?
Q10.本音で話し合える環境を作っていますか?

10.最後に

 「信号機理論」、どうでしたか?
 未消化部分は多々あったかと思いますが、なんとなくわかってもらえま
したか?
 私はいつも、自分の駐車場から一方通行の信号の出口までの間に、こん
な様なことを考えています。
 先の信号が赤の方がほっとするんですよね。
 朝は必ずやってくるように、やまない雨はないように、赤信号は必ず次
は青色になるんです。
 だからそれを信じて準備しておくということが必要なわけですね。

11.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回のテーマは「ありがとう」です。
 「ありがとう」の持つ力をあちこちで耳にします。
 なぜなんだろうという疑問があります。
 それを考察してみます。

 では、次回もまたお役に立てるメルマガを目指して作文しますので、応
援よろしくお願いします。
                 ではまた次回もお会いしましょう!

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