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コンセプトシンキング (目的思考について)

メールマガジン再録 (2005年9月26日、第3号より)

コンセプトって、もう日本語化しているので説明は不要でしょうが、意外に、いきなり説明せよって言われたら、しにくいものですよね。
一般的には、「概念」「全体を貫く統一的な視点や考え方」(広辞苑)となっています。この後者の視点がもの凄く大切です。

『見えない部分』は頭の中の動きということですから、物事に対して自分がどう考え、対処すべきかについて考えることがテーマです。
そのツールとしてのコンセプト思考(コンセプトシンキング)は欠かせないものと言えます。
「コンセプター」って言葉は日本人の造語でしょうが、全体を貫く統一的な視点や考え方を伝える役目の人を言います。
例えば、多人数が集まってイベントを行なうとします。この時って、末端の人はただこうしろって言われただけで意味も分からず、ウロウロするばかりですよね。
しかし、その場面で、コンセプターがイベントの主旨をバシッと全員に徹底したらどうなるでしょうか。いっぺんに統制が取れた集団に変身しますよね。
つまり、この様に「コンセプト」には団体において「人を束ねる力」があると言うことです。
逆に言うと、「コンセプトを上手く利用して結束力を高めるにはどうすればよいか?」を自問自答して、自社・自店の組織の統制をよりレベルアップさせることも可能です。一度じっくり考えてみて下さい。

コンセプトのもう一つの特徴は、金槌、ノコギリみたいに道具としての利用方法があるということです。
これについては、あまり皆さん意識してやっておられないと思いますので説明してみましょう。
何か物事を遂行しようとした時、判断・決断すべき場面が数多く発生します。特に、会議で展開した意見を集約する時など、まとめるのに大変苦労しますよね。
この時に、コンセプトは、非常に有効に力を発揮します。
つまり、「我々はこの方向に向かおうとしているのだから、この意見はコンセプトとは反対方向に向いているので却下、またこの意見はほぼ同方向を向いているので、少しアレンジすれば利用可能」などと判断の道具として使えるわけです。
コンセプトが明確で、出席者全員がしっかりコンセプトを理解している会議の生産性は最高に上がります。しかし、その逆の場合の会議の効率は最低です。

ここで、サロンにおいての具体例を示しましょう。
「より快適な技術を提供する」というコンセプトがあったとし、「技術スピードアップ」という課題で話し合うことになった場合を考えてみましょう
意見として出るのは「スピードアップしたら技術が雑になる」「それを気付かれて失客する」「お客様にとっての楽しみの時間を少なくするのはどうかと思う」「スピードアップ、このままでいいんじゃないですか」「・・・」と言います。このままだと、スピードアップはマイナスだという方向に傾いていきます。ではどうすればよいのでしょうか?
まず、技術スピードとは我々にとってどういうことなのか、お客様にとってどういうことなのかを考えておかなれければなりません。
考えられる要素は次のようなものです。
「シャンプーは長い時間してもらう方が気持ちが良い」・・・さて、本当でしょうか。これは、その方の気持ちが良いと思える時間には差があるので、その方の状況を見て一番良い時間を見つけることが大切です。
それ以外の技術については、基本的には短い方が喜ばれます。しかし、「短ければ短い方が良いのか?」というとそうではありません。
ここでは、お客様は、サロンに何を求めて来られるのかをしっかり把握して、定義しておくことが大事です。

お客様は、「担当技術者と多くの時間を共有したい」「楽しい会話がしたい」「その他は早く済ませたい」と考えておられると想定します。そうすると、すべきことが見えてきます。
そして、再度コンセプトを設定します。
結論としては、「より快適な技術を提供する」を「お客様一人一人の快適な状況を把握してそれに応えることを前提とし、出来る限り技術のスピードをアップする」に変更すればよいのです。
この様に、コンセプトによる方向性がきっちり示せていない場合は、議論が思わぬ方向に進展してしまうので、きっちりコンセンサス(合意形成)した文章で方向性を確認出来るようにしておくべきでしょう。
 
いかがでしたか?

合意形成されたコンセプトは、それ自体が凄いエネルギーを持っており、それを浸透させることにより、さらに全てのスタッフを熱烈思考に変えることが出来る最高のツールです。

ではまた次回お会いしましょう!

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