| 考え方の技術
フラグシップと合意形成 (方向性と意思統一について)
メルマガ再録 (2006年9月26日 第6号より)
フラグシップとは、向かう方向を示す印のことです。合意形成は、メンバーの意思統一のことです。両方とも経営理念の浸透には欠かせない要素です。
1.フラグシップとは?
「フラグシップ」って聞いたことあります?
これは、方向を示す旗印のことです。
いろいろな意見が飛び交い、まとまらない場合はこのブラグを意識・再認識することで、ひとつの方向に集約することが出来ます。
フラグは、国旗であったり、軍旗であったり、団旗であったり、ツーリスト・旅館の旗であったり、火事場のまといであったりということで、その集団のシンボルを旗として示したものです。
つまり、フラグの基に集まっているという仲間意識を示すものでもあります。
2.合意形成
ではフラグはどの様に決めるのか?
システムシンキングという技法の中に、「合意形成」という言葉があります。フラグを作るには、この合意形成が必須です。
オーナー主導型にしろ、全員参画型にしろ、経営のコンセプトを決める際に、合意を形成する(みんなの意思を固める)作業なしに決まるわけもありません。
1つのテーマに対し、各人はそれぞれ個別の考え、意見を持っていて当たり前です。
これを無理に「こっちだ!」と振り向かせるのではなく、「このテーマに関しては、それも貴重な意見だよね」と大きく構える。
個々を大切にしながら方向を集約していき、全体を1つのパワーとしてまとめる。これが合意を形成するステップの重要な部分です。
初めは完全に合意できるということはありません。
だから、根気強く、時間をかけて回数を重ね、意思疎通を図ることにより、徐々に合意の度合い、結束が硬くなるということです。
3.ベクトル合わせ
ベクトル合わせという言葉もあります。
ベクトルとは、gooで検索したところ「速度・力のように大きさと向きを有する量」と出ています。
2つのベクトルをほぼ同一方向に向かわせた合力は、倍の合力となり、大変大きなパワーを発揮します。
90度以上反対の向きのベクトルとの合力は、減量され、小さくなります。
この原理を分かれば、合意形成の必要性がしっかり分かってもらえると思います。
ここで勘違いされやすいのは「同一方向の人間ばかり集めれば、イエスマンばかりになり、それでは良くないのではないか?」という意見です。
それは、まったく意味が違います。
根本的に同じ方向を向いていることが絶対条件です。その中でも見方の違い、前進のための建設的な意見を出してくれる人は、貴重な存在です。それにより物事はより深み・厚みのある企画に仕上がっていくのです。
4.具体例
具体例を一つ上げましょう。
以前、東京のセミナーで見せてもらった映像の話です。
ある中堅企業が2代目になって方向性を見失い、お決まりのようにどんどん売上が悪化し、社員もやる気を無くして倒産寸前までになりました。
2代目社長は悩みます。「このままでは倒れてしまう。何とかしなければならないが、空回りしてまとまらない。どうすれば...」
そこで2代目社長は決断します。「究極の選択をしてもらおう。」
それから、2代目はもくもくと再建案を考え、まとめ上げます。
そして、全社員を集め、その前で再建案を切々と説明します。最後に
「この案に賛成できる者は左の扉に、出来ない者は右の扉に進んで下さい」と案内します。
一人一人が進み出て、その扉の前に立ち、方向を決めます。
全員が左の扉に入ることになりました。
そして、全員で抱き合い、泣き、再建を誓うのです。
少し強引なやり方かも知れませんが、見事に合意形成を果たしました。
このケースに見るように、個々の意見はいろいろあるでしょうが、全体としての方向性を1つにまとめるTOPの意思が凄く重要な要素です。
この考え方なくしてフラグシップは成立しません。
5.まとめ
皆さんのサロンのフラグシップは、大丈夫ですか?
1つの方向に集中したグループこそ、無限大の力を発揮します。
このことを考え、一度サロンを見直してください。
「フラグシップ」「合意形成」「ベクトル合わせ」、これらの意味をよく解釈し、各サロンのパワーをまとめ上げ、フル活用される様に願っています。
6.次回案内
今回のテーマはどうでしたか? お役に立ちそうですか?
次回は、「ワークデザイン的アプローチ」について考えます。
より、高次元の改善を行うのに必要なノウハウです。
これがまた、かなりいけるんだなぁ。
お楽しみに。
ではまた次回お会いしましょう!