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コーチング (自主性を引き出すトーク技術)

メルマガ再録 (2006年2月13日 第12号)


コーチングは、対象者に対し気付きと勇気を与え、自らの発言において自主性を引き出すトーク技術です。

< コーチング >

1.コーチングって何のこと?

 コーチングとは、そのテーマのパフォーマンス(出来栄え)を向上させるためにコーチングにより対象者を勇気付け、質問等のテクニックによって本人の気付きを引き出し、自発的かつ主体的取り組みによって、問題解決や知識・スキルの習得・向上を図る技法です。
 また、コーチングとは、会話や人間としてのあり方を通じて、対象者が、本人の望む目標に向かって、本人の満足のいく方法で進むことを促進する環境を生み出す技術でもあります。
 人を成長させることは出来ません。
 コーチングは花を育てることに似ています。大事なのは、花が咲くための土壌、環境を整えることです。
 人は誰でもそれぞれに素晴らしさがあり、無限の可能性を持っています。
 全ての人々は、自分の本当の力を解放・発揮させてくれる機会や援助を待っています。
 ほとんどの人は自分でも良い仕事をしたいと思っています。従って本人がより良いやり方に気づくように支援したら人々は悪いやり方をしません。
 コーチが行う質問やコーチのあり方によって、対象者のアウェアネス(自覚)、選択、信頼という3つの要素が高まり、その結果、パフォーマンスや学習、喜びを妨げる要因が克服されます。

2.コーチングのメリット

 コーチングのメリットとしては次の様なことが考えられます。
   1)問題の発見や軌道修正を早めに行うことが出来る。
   2)生産性の向上が図れる。
   3)コミュニケーションの流れが良くなる。
   4)メンバーの士気が高まる。
   5)業績の向上が見込める。

3.コーチが使用する言葉の例

 コーチが話す(使用する)言葉の主なものは次の通りです。相手をリラックスさせ、対象者の主体的な言葉を上手く引き出すように言葉を選んで会話し、自発性を持った行動計画を立てさせることが目的です。
 1)状況を聞く
  ・「今の仕事の状況はどう?」
  ・「具体的に聞かせて?」
  ・「何か問題はないの?」
 2)問題を特定するために聞く
  ・「成果を上げるために問題になっていることは何ですか?」
  ・「今、うまくいっていることは何ですか?」
  ・「なぜそうなっていると思いますか?」
  ・「うまくいっていないことは何ですか?」
  ・「それをするのに難しいことは何ですか?」
 3)学習目標を聞く
  ・「その成果をあげるために何を学習したらよいと思いますか?」
  ・「今日は何を身につけたいのですか?」
 4)フォーカス(焦点を定め)させるために聞く
  ・「どの点に注意をするとよいと思いますか?」
  ・「どうなっているとうまくいっていることが分かりますか?」
 5)アクションプラン(行動計画)を聞く
  ・「どういう手順で進めていきますか?」
  ・「もう少し詳しく聞かせて下さい」
  ・「次には何をするのですか?」
  ・「どんな問題が起きることが予想されますか?」
 6)評価を聞く
  (前置きとして、「これからいろいろ質問しますが、別に緊張する必要はないし、正解を言わなくてもいいですからね。」といっておくことが大切です。)
  ・「やってみてどうでしたか?」
  ・「最初の目標に対して何パーセントくらい達成したと思いますか?」
  ・「他にどのようなやり方が出来たと思いますか?」
  ・「何か気がついたことはありますか?」

4.コーチングの例

 では、サロンにおいて、山田マネージャーと村田チーフのコーチング例で、テーマを「経費節約」として考えて見ましょう。
 山下MG「元気にやってる?」
 村田CF「まあまあですね。」
 山下MG「先日、TOPの方から課題が出たよね。経費削減について。」
 村田CF「そうなんですよ。」
 山下MG「何か、具体的に動き出せそうかな?」
 村田CF「まだなんとも。」
 山下MG「そうか。なかなかテーマが大きくて絞り込めないよね。」
 村田CF「そうですね。どこから取り組んだらいいのか分からなくて」
 山下MG「スタッフを巻き込んで自分達で出来る改善が良いよね。」
 村田CF「そうですね。」
 山下MG「とすると、どうかな? テーマは?」
 村田CF「やっぱり材料費の削減ですね。」
 山下MG「そうだね。いままでもいろいろ取り組んで来たけど、やっぱり材料費は大きいからね。」
 村田CF「そうですね。前回取り組んでからスタッフもかなり入れ替わっているので再度取り組んでみましょうか?」
 山下MG「そうだね。じゃあ、どうやって検討する?」
 村田CF「まず、主だったメンバーを集めて協力を得ます。そして全員で取り組めるように案を練ります。」
 山下MG「そうだね。じゃあ、いつそのミーティングを行うかな?」
 村田CF「来週のレッスン日に声を掛けてみます。」
 山下MG「そうだね。じゃあ、よろしくね。分からないことがあったらまた相談してね、」
 村田CF「よろしくお願いします。」
 ――――――――――――――――――――――――――――――――
 山下MG「会議、どうだった?」
 村田CF「協力は得られたんですけど、今でも削減の努力はしているって言うので、次に進まないんです。」
 山下MG「そうか。困ってるんだな。」
 村田CF「そうなんです。」
 山下MG「で、チーフはどう思っているの?」
 村田CF「まだまだ改善の余地はあると思います。」
 山下MG「そうか。でも、自分ではどうしたら良いか分からないんだよね。」
 村田CF「そこなんですよ。だから進まないんですよ。」
 山下MG「学習のポイントって分かるかな? 困った時に自分は何を学習する(学ぶ)ことによってその壁を乗り越えることが出来るかって事なんだけど。」
 村田CF「さて・・・」
 山下MG「つまり、自分にとって何が足りないのかを考えるんだ。どんな能力があればこの問題を解決することが出来るかを追求することなんだ。」
 村田CF「はぁ。」
 山下MG「ここのところを習得できれば、君はワンランクアップ出来るんだよ。」
 村田CF「もう少し具体的に教えて下さい。」
 山下MG「そうだね。う~~ん、こんな感じで分かるかな? 社内だけではなく、他のサロンがどんなことをして材料費を下げているかの情報をもらって勉強する。」
 村田CF「なるほど。」
 山下MG「つまりこれは、『自分の情報収集能力を向上させる』と言う学習テーマなわけだね。」
 村田CF「そういうことですか!」
 山下MG「じゃあ、何か思いつくことはある?」
 村田CF「そうですね。親しくしているディーラーさんがいるから、その人に他店情報を聞いてみます。」
 山下MG「そうそう、それだよ!」
 村田CF「明日、納品に来た時に聞きます。」
 山下MG「そうしてみて!」
 ――――――――――――――――――――――――――――――――
 山下MG「チーフ! ディーラーさんとは会えたかな?」
 村田CF「ええ、会えました。でも、今は手元に資料が無いので詳しいことは言えないけど、材料費削減をして成果を出したプロセスを書いた資料を会社に持っているので次回持参してくれるって言ってました。」
 山下MG「そうかい。それはよかったね。それを入手して次はどうする積りだね?」
 村田CF「そうですね。上には上のサロンがあることを説明し、実際にその成果資料を見せてメンバーに取組み意欲を沸かせます。」
 山下MG「そうそう!」
 村田CF「それから、具体的に取り組むための行動計画を立て、全員を巻き込んで成果を出したいと思います。」
 山下MG「そうだね。もう一つ、アドバイスすると、成果の先に楽しみが欲しいよね。」
 村田CF「そうですね。何かリクエストしてもいいですか?」
 山下MG「成果相当であればオーナーも許可してくれると思うよ。」
 村田CF「そうか、じゃあそれも相談します。」
 山下MG「頑張ってね。」
 村田CF「頑張ります。」

5.まとめ

 どうでしたか・
 「学習」って言葉、あまり使わないですが、大切なキーワードでしょ?
 つまり、この学習した内容が使いまわしの利くノウハウとなるわけです。
 このケースでは、『自分の情報収集能力を向上させる』というのがそのポイントです。
 ディーラーさんとのコミュニケーションで、外部情報を仕入れる会話・折衝により、情報収集能力・外部ネットワーク技術が習得・向上出来るわけです。
 人間は、給料・地位も求めますが、自分の知識・能力向上にはそれ以上大変興味・欲求があるものです。
 だから、このコーチングというテクニックはそれを満たすと言うことにおいても非常に重要な役割を果たすものです。

6.最後に
 人々の価値観・目標・行動に関する「内的変化」と、プロセス・戦略・手法・システムに関する「外的変化」を組み合わせた根底からの変革が、今世界中で求められています。
 コーチングによってもたらされる学習は、単なる情報の蓄積ではなく、自分自身の可能性の発見にあります。こうした発見が喜びを生み出します。
 自分自身の可能性の発見は、組織の可能性の発見でもあり人類の可能性の発見でもあります。
 「私にこれだけの可能性があるのなら、私たちが力を合わせれば、素晴らしいことが出来るかもしれない!」という希望と予感の訪れです。
 そのような希望を現実のものとするためのひとつの鍵は、チームとしてともに考え、共に働く力を育てていくことです。
 いくら個々人の能力が高まっても、組織の中に調和や一体性がなければ、組織の能力は高まりません。
 そういう意味では、サロン全体としてコーチングに取り組み、それを活かせる体質作りが重要でしょう。

7.次回案内

 今回の内容によってもっと深く勉強したいと思われた方は、本を買って独学で勉強されるもよし、世間にあるコーチングのコースを受講されるも良しです。
 次回は、「ファシリテーション技術」です。
 ファシリテーションってあまり聞かない言葉ですよね。
 効率的会議進行のテクニックとでも言うものです。
 私はこの技術を体得したので、コンサルタントとして長年続けてこられたものと思います。その真髄をお話します。
 では、楽しみに!

ではまた次回お会いしましょう!


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