このページの本文へ移動

自分辞典(上巻) (ワードパワーを高める)

メルマガ再録 (2008年7月28日) 第70号


自分の気になる言葉を自分なりに定義することで、言葉に対する自信を付けることが出来ます。初回はあ~こまでの50語を収録。

          < 自分辞典(上巻)>

1.はじめに

 なぜか、前回のメルマガを書いているときに自分辞典と言う言葉が浮か
んできました。
 自分が気になる言葉を短い文章で、辞典のように説明する、定義すると
いう内容のものです。
 これは、株式会社武蔵野の小山昇社長が発行されている本にこのアイデ
アはあります。
 その本は「仕事ができる人の心得」(阪急コミュニケーションズ)です。
 この本から例題を抜粋しようと思ったのですが、今は貸し出し中で手元
にありません。残念。

2.自分辞典の作り方

 まず、気になる単語を列挙します。
 次に、その言葉を定義します。
 定義の方法は、その言葉の意味だけを説明するのではなく、感じるまま
にその言葉を分析説明するということでもOKです。
 そして、あえてブロッキングせず、それを「あいうえお」順に並べ替え
て完成です。
 このメルマガの途中で、自分でもヒラメキがあったら単語をメモし、後
から自分辞典をあなたも作ってみてください。

3.自分辞典

 たくさんある方が辞書らしいと思い、150のワードを思いつくままに
リストアップしました。
 ではスタートです。

1.「アイスブレーキング」
  緊張を解きほぐすこと。グッド&ニューなどのコミュニケーション促
  進やミニゲームなどを用いて活性を上げる。初対面の人たちとのワー
  クショップの前に実施すると効果てきめんです。
2.「愛」
  博(ひろ)い意味の思いやる気持ち。相手を尊重することから生まれ
  る感情。自我を捨てることにより本物となる。
3.「アシスタント」
  補助的役割をする人。その役割を積み重ねることによって一人前にな
  れる。希望一杯の人。アシスタント自体が一つの仕事の形態をなして
  いる場合もあるので、それはそれはで専門職といえる。
4.「遊び」
  余裕。”忙中閑あり”という言葉がある。いくら忙しくても暇を見つ
  ける心の余裕を言う。働きながら遊ぶコツを会得するとストレスフリ
  ーとなる。オリジナルな遊びを考えることは大変クリエイティブで、
  仕事上で企画などの役に立つので大いに遊ぶこと。
5.「あなた」
  自分との対象者。手が届く範囲にいて目を見れる人。
6.「アナロジカルシンキング」
  類推思考。そのものの要素を分析・追及し、そのコアとなる機能を突
  き止める。そしてそれと同様の機能を有するものを他から探し出し、
  それを応用しようとする思考法。ベンチマーキングとは一味違う。
7.「アプローチ」
  そのものに迫る・接近する道のり。ゴルフではピンの近くで放つショ
  ットをいう。人に近づく、発表内容の本質に迫るステップなどもいう。
  アプローチが上手くないと、プロセスがぼやけて対象になる全体像が
  明確にならない。
8.「甘え」
  安易な妥協の産物。自立していない状態。甘えが習慣化・常態化して
  しまうと、自立心がなくなり、考える力が低下する。
9.「Eメール」
  現在においてなくてはならない必須の情報交換ツール。こまめに着信
  をチェックし、スピーディーに処理することが求められる。返信の状
  態によって人格が見極められるので要注意。
10.「育成」
  対象者のレベルを向上する手助けをすること。教える側と教わる側の
  コンビネーションが上手く行かないと、吸収効率が悪いので注意。ノ
  ウハウよりもまず教わる姿勢を身につけさせることが大切。
11.「意志」
  意志が明確である、意志が強い・弱い、などという使われ方をする。
  ”考え”にパワーを与えたものといえる。意志が弱いと困難(成長が
  目に見えない時期など)を乗り越えられないので、周囲のサポートが
  必要になる。
12.「遺伝子」
  前世から今世に、今世から後世に、永遠に物体をコピーする能力を持
  つもの。形はもちろんのこと性質までも伝える。遺伝子を中心に考え
  ると人体は遺伝子の乗り物であるとも言われる。私は皆に対し、自分
  の事を知るのに「耳を澄まして遺伝子の声を聞こう」と発信している。
13.「営業」
  売り手側と買い手側の商売上の接点。今は商品自体を売り込む前に営
  業マンの人物を売り込む(営業する)ことが一番といわれている。マ
  ーケティングの手法を勉強することは大変役に立つ。
14.「A→D変換」
  アナログ(定性的)表現をデジタル(定量的)表現に変えて、効果測
  定しやすくする工夫を織り込んだ表現技法。これを修得すると必ず結
  果が出る必殺のテクニック。DOHOWの極致と自分では思っている。
15.「偉い人」
  中道、王道、中庸の道を究め、適切な判断を優しさを持って瞬時に出
  来る人。決して地位や名誉やお金を多く持っているだけの人ではない。
16.「エンロール」
  周囲を巻き込む動作。自分の意見を主張し、周囲を納得させ、その考
  えに同調させられること。コンセプトがあってもエンロール出来なけ
  ればコンセプトがないのと同じ。
17.「OJT/OFFJT」
  OJTはオン・ザ・ジョブ・トレーニンのことで、個人教育を前提と
  した仕事をさせること。OFFJTはオフ・ザ・ジョブ・トレーニン
  グで、会議や講習、セミナーなどの集合教育をいう。要は効果的に使
  い分けること。
18.「会社」
  いろいろな人が集まって、一つの方向に向かって営利活動を行う団体。
  従って、方向性が不明確なものは会社ではない。ただの集合体。
19.「改善」
  現状よりさらに合理的で、効率的で、快適な方向にレベルアップする
  ためにアイデアと努力で推進する姿勢。単に合理性・効率だけを追求
  することは好ましくない。あくまでも適正に行うことが求められる。
20.「価格」
  原材料費に、経費と利益を上乗せした品物およびサービスの値段。そ
  の価格が価値よりも高いと思われると、リピートしない。価格はその
  サロンの営業コンセプトである。
21.「価値」
  対象となる品物・サービスが提供する値打ち。価値が価格よりも高い
  と思われるとリピーにつながる。価値を向上するためにいろいろな付
  加を足していく。いわゆる付加価値であるが、これを基本価値に繰り
  入れていく努力が企業自体の価値を向上させる。
22.「家庭」
  世界の最小単位。初期教育の現場。夫婦の努力する姿、真摯に生きる
  姿勢が何よりも教えになり、優しい子を作る環境になる。再度家庭の
  もてるパワーを復権しなければならない。
23.「我慢」
  出口を見つけるまでの時間。我慢のための我慢ではなく、夢・希望・
  目的のための一時の停滞と考える。トンネルには必ず出口があると信
  じ切る気持ちを持つことで打開策を見つけることが出来る。
24.「考える」
  物事を煮詰めて、その答えを出す思考方法。考えることは生きている
  証である。考えることにより人は進化する。進化なくして、人は生き
  ているとは言いがたい。その場の全員の考えを集約することでそこに
  その場の答えがある。それを無視して、何に答えを求めるのか!
25.「環境」
  主たる目的の周囲を構成する要素。環境が人を作るのではないが、環
  境がないと人は安心して力を発揮することが出来ない。環境はそろえ
  てもらうという発想より、自分たちで揃えていくという積極的な発想
  が必要。
26.「感謝」
  有り難いという謙虚な気持ち。初めは小さなことに感謝できるが、そ
  れに慣れてくると鈍感になってしまうので注意が必要。感謝の気持ち
  常に持ち合わせるために死生観をしっかり持ち、命のことを考える事。
  ”ありがとう”は大変エネルギーの高い言葉なのでなかなか言いにく
  いが、それを意識することで、感謝の気持ちは高まる。
27.「感動」
  感じて動かされること。大感動した時は、それを誰かに伝えたくなる
  という人間の特性があり、それによって輪を広げて行こうとするのが
  感動経営。これにより来られたお客様は、より上質な方向に向かう。
28.「起案書」
  企画の前段階で、とりあえずアイデアを文章にして本格的な企画をし
  ても良いかどうかを問う書式。軽いタッチで誰でも書ける様式にして
  社内の提案ムードを盛り上げ、自主活性型の仕組を作るツールにする。
29.「企画書」
  起案書で仮承諾をもらっているので、本格的にメリット・デメリット、
  導入手順などを企画提案する書式。これで採否の最終決定がされる。
  企画が甘いと失敗する。なので、しっかりと深く考えられた企画を行
  う。内容としては、読み手の立場に立った書き方をすれば通りやすい。
30.「技術」
  その物事をこなすのに必要な専門知識、専門技能、智恵、経験、DO
  HOWなどの総体的スキルのこと。これが不足していると良い仕事が
  出来ない。技術を修得するには、集めたノウハウ技術を体系化して、
  きっちりまとめるておき、すぐに使えるようにしておくこと。すぐに
  出てこないと意味がない。
31.「議事録」
  会議で話し合ったことを記録しておくドキュメント様式のこと。活用
  方法として、欠席者への浸透、宿題の徹底、次回の準備などに生かせ
  れば効果は抜群。継続的にファイリングしておけば過去の動きが残せ
  るので、サロンの財産となる。
32.「キャリアプラン」
  永年勤続する上でその人にあった将来ポストを準備してあげること。
  それなりのサロン規模にならないとなかなか準備できないのが現状。
  安心して働ける環境作りの大きなポイントである。
33.「給与」
  働いた対価として頂けるお金または現物。人は皆このために働くが、
  給与を目的とするのではなく、働いた結果の報奨として頂けると言う
  スタンスが喜ばしい。給与を頂いたら必ず、上司とオーナーにお礼を
  伝えることがマナーである。
34.「教育」
  本当は広い意味で使うのであろうが、教育という教えて育てるという
  字の感じからして、かなり一方的な形での教え込みという感じがする
  言葉。ティーチング。トレーニング。最近は、共育(共に育つ)とい
  う字を当てるサロンが多い。
35.「共有」
  一つの話題を皆で共通認識すること。「シェアする」とも言う。共有
  していないと各自がバラバラの方向に動いてしまうので注意が必要。
  幹部会の検討結果が現場に報告されず、「聞いてません!」というサ
  ロン体質だけは最低限改善すべきである。
36.「グッド&ニュー」
  最新の新しいニュースをコメントすること。アイスブレーキングゲー
  ムとしてよく用いる。悪いニュースも発表ありで、その場合はリフレ
  イミングといって角度を変えてそこから学んだことを報告することで
  それも良いこととされる。朝礼などで定期的に実施することで、良い
  ところを見るという作業が日常的になり、グッド視点が確立される。
37.「クレド」
  経営理念や行動指針、スローガン、行動の規範、使命(ミッション)
  などの経営の信条を示す一連のものである。特にリッツカールトンホ
  テルのクレドが有名。これを真似て多くのサロンでも作成しているが
  実際に機能していないのはいかがなものか。
38.「経営理念」
  経営をしていく上で、一番大切にしている心の部分のこと。何のため
  に仕事をするのか、我々はこのサロン経営を通して何を成し遂げよう
  としているのかなどについて明文化されていること。この理念がしっ
  かりしていないと、サロンの方向性を見失ってしまう。
39.「経験」
  体験とは実際に自分の身体に覚えこんだこと。経験は体験よりも広く
  知識や印象・感動などの認知レベルも含む。自分が体験・経験をした
  ことを通してのみ人は語ることが出来る。
40.「傾聴」
  漠然と、漫然と聴くのではなく、耳を傾けて注意深く聴くこと。この
  傾聴と言う言葉の中には”積極的に聴く”という要素も含まれている。
  その時に聴いた話を次に伝えようとすれば、傾聴せざるを得ない。
41.「結果」
  結果はそれだけでは存在しない。起案~計画~目標設定~実践~フォ
  ロー&チェックがあって、結果がある。従って、結果はそのプロセス
  全体の要因を含んでいる。そのことを考えると、全てにその精度が問
  われる。簡単には目標と結果を比べることによって、成果を見つける
  ことが出来るが、未達成の要因は全てに潜んでいる。
42.「健康」
  ”健”はすこやかなこと。”康”はやすらかなこと。つまり、そのも
  のが正常な状態で機能していること。あなたのサロンは健康ですか?
43.「検証」
  出た結果を実際に調べて証明すること。こうすることによって軽視さ
  れがちな結果をノウハウとして再構築することが出来る。
44.「コアとフレーム」
  コアは核・中心。フレームは枠・周囲。原因から発生した結果が現象。
  つまり、現象を煮詰めていくと原因に突き当たる。原因は現象に隠さ
  れてなかなか見えないものである。それを突き止めるには「なぜ?」
  を数回繰り返すとよい。原因が突き止められれば「そのためには?」
  を数回繰り返して、効果的な行動を引き出すことが出来る。
45.「効果」
  期待通りの良い結果のこと。効果を得ようとすれば、それまでの全て
  の段階がうまく機能し、良い結果が得られるように仕組まれているこ
  とが大切である。行動計画の段階で「効果測定」欄(何によりそれを
  成し遂げたことが分かるのか?)を追加しておくと実行効率は途端に
  向上する。
46.「考察」
  対象となる事象を自分なりに考えて解き明かすこと。考察することに
  より研究心・探究心が向上し、イマジネーション(想像・創造)する
  力が自然と身に付く。
47.「行動」
  私は持論として「人間は、自分で考えたことは自分から進んで実行す
  る」という見解を持っている。このことは私には「自主活性型のサロ
  ンを作る上で、いやもっと広く言うと人間としての行動の大原則だ」
  と思えてならない。このことを前提にして、今やっているサロンの運
  営を全て見直してみて欲しい。
48.「効率」
  一度あることは二度ある。これを考えると、二度目は慣れているので
  早く終わるはずである。私は「人間は進化の動物である」と思ってい
  る。従って、より効率的にということは自然な欲求であると思う。
49.「合意形成」
  関係する者の意見がバラパラでは、方向性が定まらないし、それでは
  会社とは言えない。より良くするための建設的反対意見は歓迎だが、
  単に反対だけの意見は意味をなさない。合意を形成するだけで進行方
  向のパワーは、何倍にも増幅する。
50.「コーチング」
  個人の特性を生かした指導方法のテクニックの一つである。対象者は
  コーチの質問に対し、自分で考えたことを述べる。コーチはただそれ
  を聞き入れ、自主性を重んじて練習させる。素晴らしいコーチは、そ
  れだけでなく、フォーカスのポイントを心得ていて、ちょっとのヒン
  トで素晴らしい結果を与えることが出来る。

4.最後に

 う~~ん。段々長くなってしまいますわ。
 初めは150ワード、1回で書けるかと思いましたが、ムリムリ。
 今回は「あ」~「こ」まででしたね。
 ということで、3回シリーズになります。
 しかし、自分のワードを再確認する意味でも、70回目の節目というこ
とでも、このシリーズは意味がありますね。

 では、また次回お会いしましょう!

ホロン (全体子)

メルマガ再録 (2007年11月26日) 第54号


全体の一部として機能もしているが、それ自体も全体としての機能を持っています。ホロンは全体子ともいいます。この考え方を経営に取り入れることをホロン型経営といいます。

            < ホロン >

1.はじめに

 2006年8月28日号の当メルマガ№024の本文中に以下の文章を
掲載しました。
 <ここから>
 また、ホロン型組織というものもあります。
 ホロンの定義です。「全体の一部として機能もしているが、それ自体も
全体としての機能を持っている。ホロンは、全体子ともいう。」
 例えば、人体という全体を構成する要素(部分)である細胞も臓器も、ホ
ロンであると言えます。
 <ここまで>
 今回は、このホロンという考え方を経営に生かすポイントについて考察
を加えてみたいと思います。

2.身近なホロン

 上記にあったように人の身体はホロン構造になっています。
 1つの細胞はそれ自体が独立して1つの機能を果たし、上位の臓器とし
ての一部分になっています。臓器もそれ自体で独立した機能を持ち動いて
いますが、身体の一部品としての役目を担っています。
 「単に部品と言うイメージではなく」ということが大切なポイントです。
 また、家庭や球技などのチーム、プロジェクトチームなどもホロン的活
動であるということが言えます。
 家庭では、夫婦・兄妹の各人1人1人が最小単位ですが、家庭という一
つの単位を構成しています。チームも同じです。メンバーがいてチームが
あります。
 「One For All. All For One.」と言う言葉
がありますが、お互いが支えあっていると言うことで、まさにそのイメー
ジがピッタリです。
 もっと大きく考えると、会社もそうです。個人~課~部~支店~会社と
いう様に、それぞれが独立していて、全体としても機能しているのでホロ
ン的組織です。

3.ホロンと理念の浸透

 人間の場合、通常、意識と言えば顕在意識を表します。
 人間の臓器は、顕在意識で動かしているのではなく、身体の仕組み自体
が初めから自動的に動くように設計されています。
 ここに、経営理念の浸透およびエンパワーメント(権限委譲)との共通
点を見ることが出来るのではないかと思います。
 「各パーツは、あらかじめ決められた働きを、一々指示を受けずに自動
的にこなす」という内容を考えた時に、自然とリッツカールトンが頭に浮
かんできます。
 リッツのスタッフ全員は、とにかく理念を本当によく理解しています。
 理念の浸透の仕組みが一番であると言う見本みたいなものです。
 さらに権限委譲されたスタッフは、最大の効果を発揮したいという意識
が向上し、理念に沿った責任のある素晴らしい行動と結果を発揮するであ
ろう事は、容易に想像できます。
 要するに、「ホロンは各部署に完全に権限委譲(エンパワーメント)さ
れた状態である」ということです。

 少し余談ですが、人間は、まず生命維持という大命題が身体の組織全体
に組み込まれています。
 その内、免疫機能は最たるものです。
 怪我をすればすぐに止血のための機能が働き、異物が体内に侵入して来
た場合も同じ様に、抗体を作って阻止しようとします。
 身体は、この様に生命維持という命題に対し、各パーツが全力を挙げて
取り組むわけです。
 また、危険を感じたときなどアドレナリンを出して、一時的な興奮状態
を身体の全身に引き起こし、身構えさせます。
 ちなみに、アドレナリンについての薀蓄(うんちく)をひとつ。
 <ここから>
 交感神経が興奮した状態、すなわち「闘争か逃走か」のホルモンと呼ば
れる。動物が敵から身を守る、あるいは獲物を捕食する必要にせまられる
などといった状態に相当するストレス応答を全身の器官に引き起こす。
 その例として、
  運動器官への血液供給増大を引き起こす反応
  心筋収縮力の上昇
  心、肝、骨格筋の血管拡張
  皮膚、粘膜の血管収縮
  消化管運動低下
  呼吸におけるガス交換効率の上昇を引き起こす反応
  気管支平滑筋弛緩
  感覚器官の感度を上げる反応
  瞳孔散大
 などがあり、ヒトであれば一重に「興奮した状態を作るホルモン」とし
てよく知られている。
 <ここまで>
 生きたいという思いが強いほど、たくさんアドレナリンが供給されます。
 これと同じで、組織が危険にさらされたときほど、チームワークの結束
が強くなるのが良いチームです。
 この強さは、目的意識の強さと同じです。

4.ミーム

 さらに余談ですが、ミーム(meme)という言葉について一言。
 ではまた、ウィキペディアから。
 <ここから>
 ミームは、いわゆる文化的遺伝子と言われるもので、文化内の「変異」
が「遺伝(伝達)」的に承継され、「自然選択(淘汰)」される様子を進
化になぞらえたとき、遺伝子に相当する仮想の主体である。例として災害
時に飛び交うデマ、流行語、ファッション、言語など、すべてミームとい
う仮想の主体を用いて説明できるとする。例えば「ジーパンを履く」とい
う風習が広がった過程をミームの視点から捉え直せば、『1840年代後
半のアメリカで「ジーパンを履く」というミームが突然変異により発生し、
以後このミームは口コミ、商店でのディスプレイ、メディアなどを通して
世界中の人々の脳あるいは心に数多くの自己の複製を送り込むことに成功
した。』となる。訳語としては摸倣子、摸伝子、意伝子などがある。
 <ここまで>
 人に置き換えると、人は自分の意志で動いているのではなく、DNA中
にミームが乗り込んでいて、ミームが遺伝子(人間)を乗り物として利己
的に支配しているとする考え方があります。
 「利己的な遺伝子」リチャード・ドーキンス著など興味深い書籍がある
ので是非読んでみて下さい。
 会社の経営理念、サロンコンセプトがミームの様に浸透していれば、最
高なわけです。

5.ホロン思想を経営に生かす

 ホロン型経営はお勧めするところですが、その注意点もあります。
 まず、セクショナリズムの排除が上げられます。
 ウィキペディアより
 <ここから>
 「セクショナリズム(部局割拠主義)とは、集団・組織内部の各部署が
互いに協力し合うことなく、自分たちが保持する権限や利害にこだわり、
外部からの干渉を排除しようとする排他的傾向のことをいう。官僚制にお
ける逆機能の一つとして指摘されたもので、組織内部の専門性を追求しす
ぎた結果起こってくる機能障害である。」
 <ここまで>
とあります。
 つまり、個々(部署)の働きを重視する余り、縦・横の連携がうまくい
かなくなるという問題が発生すると言うわけです。
 そういうことって、有り勝ちですよね。
 なぜか自分の部署を守ろうとするんですよね。
 それは、目的主義から行くと全くナンセンスなのですが、そうしないと
自分の今の安定した仕事が脅かされるというホメオスタシス(恒常性)が
働いて、保守的になっているんわけです。
 「良くなるからいいのに!」と思いますが・・・・
 つまり、利己的な思想、都合主義、目的意識の欠如、全体的視野の欠如
などが重なってこの問題が起こるわけです。
 そういうものを打開するためには、横断的プロジェクトなども効果はあ
るでしょうが、根本的には、会社の理念、お客様が求めること、何が大切
で、何が不要なことかをしっかりと浸透させるところから始めないといけ
ないですね。
 また別の打開策として、超法規的措置も効果というものもあります。
 これは、段階を飛び越えて、オーナー直結の部隊を作ったり、独自に動
くタスクフォース(特別作業班・機動部隊)を作ったりして、内部の改革
に当たるというものです。
 そのチームには通常の組織を超えた権限を持たせるもので、スピードや
改革を求める場合にはそういうやり方もあります。
 当然、エンパワーメントやクレド(経営信条)の徹底を行い、ホロン型、
自主活性化型経営を目指すことが、ホロン思想を根付かせる唯一、最強の
手法であることは間違いのないところです。

6.最後に

 今回は、やたらと他の文献からの抜粋を多用し、横文字が多くて難儀し
たかもしれませんが、専門用語は意訳(原文の表現にとらわれずに訳をす
る)すると意味が分からなくなるので、直接文章を掲載しました。
 結構知らない単語もあったと思うので、これらを自分のものにして、活
用して、キラッ!と知性が光るところを見せて下さい。
 受けたら報告して下さい。

 では、また次回お会いしましょう!

マインドデザイン (心を創造する)

メルマガ再録 (2007年11月12日) 第53号


心と考え方は一体のもので切り離しは出来ません。両方とも自分の発想の源(想い・志)です。しかし役目は違います。あくまでも心がコアで、それを実践するフレームが考え方です。

         < マインドデザイン >

1.はじめに

 前回の次回案内のところで、次の様に書きました。
 「今回の後半で「気付き」「気配り」「優しさ」というキーワードが出て
きたので、「マインドデザイン」なんてなテーマも面白いかな?何て思っ
ています。」ということで今回はこれに取り組んでみようかなと思います。
 そもそも、「マインドデザイン」という言葉があるのかないのかは知り
ませんが、雰囲気・勢いで行ってみます。
 マインドデザインとは、「心を創造する」ということです。
 「心って、一体何?」「どの様にすればレベルが向上するの?」などに
ついて考えてみたいと思います。
 そういえば、「心の時代」ってよく言われますが、本当のところ「心」
について説明せよと言われたら、困りますよね。
 ではまず、心そのものの分析から始めましょう。

2.心の語源・意味

 心って、ウィキペディアで調べたところ以下のように書いていました。

 心(こころ)の語源はコル・ココルで、動物の内臓をさしていたが、人
間の体の目に見えないものを意味するようになった。
 「心」の多義性。広辞苑は以下のようなものを挙げている。
 ・人間の精神作用のもとになるもの
 ・人間の精神の作用そのもの
 ・知識・感情・意思の総体
 ・おもわく
 ・気持ち
 ・思いやり、情け
 ・他に、趣き、趣向、意味、物の中心、等
 人間を人間らしく振舞わせる事を可能にしている物質とは違うものを想
定して「心」という言葉が使われる。
 昔の人は心が心臓にあると考えていた。心臓という命名や、「胸の内」
「ハート」が比喩的に心を指すのはその名残りである。
 「心という名を冠されることのある性質(学習、記憶、発話、思考、判
断、感情など)は、そのほぼ全てが脳の物質的な振る舞いとして理解する
ことができる(還元できる)。<後略>」
 これが現在、心の哲学の研究者達の間で見られる最も一般的な心の捉え
方である。
 「こころ」は、意思などが「宿る何か」だけでなく、意思的な作用その
ものを指すこともある。「心を受け継ぐ」などと表現する。

3.心と考え方/心の時代

 心と考え方は違うのでしょうか?
 私はこう考えます。
 「心と考え方は一体のもので切り離しは出来ない。
 両方とも自分の発想の源(想い・志)である。
 しかし、役目は違う。
 あくまでも心がコアで、それを実践するフレームが考え方である。
 さらに、「心」は情緒的な面をもっており、「考え方」は現実的な面を
カバーしている。」
 確かに「心の時代」に比較して、「考え方の時代」と言ってしまえば、
不要なものは切り捨てる的な感じがしてしまいますね。
 だから、「心の時代」という言葉は、フレーム的発想ではなく、本質的・
核心的発想、人間の本来進むべき道とする方向をきっちり捉えて、しっか
りその方向性を示す心の時代になっているということでしょう。
 こう考えると、心と考え方はある側面では一体ではあるが、別の側面か
ら見ると正反対ということも言えるわけですね。
 結局は、本質的で情緒が大切にされる時代になってきたということです。

4.マインドデザイン

 さて、「マインドデザイン」ということに戻って考えましょう
 以前テーマに取り上げた、「ワークデザイン的アプローチ」という手法
は、対象とするワーク(仕事)のコンセプトをより高次元に引き上げて設
定してアプローチしていくという考え方のテクニックです。
 その例からすると、「マインドデザイン」は想い・志のレベルを分解し
てより高次元のデザインをして、コンセプトを高く持つということになり
ますね。
 そして、その高く位置づけたマインドデザインを実現させようとした場
合、より豊かな人間性と情緒を身につける必要があります。

5.情緒

 上記で考えてきた様に、心を「考え方の源をなす情緒部分である」と定
義すると、次は「情緒とは?」という疑問に突き当たります。
 三省堂の辞典では、「情緒とは、人にある感慨をもよおさせる、その物
独特の味わい。また、物事に触れて起こるさまざまな感慨。」と説明があ
ります。
 独特の味わいとは、その本人の行動・言動・態度などの総合した結果の
醸し出す雰囲気ということですよね。
 しかし、ここからが問題です。
 独特の味わいを深めようとすると、その醸し出す雰囲気を意図的に整え、
向上することが求められます。
 とすると、マインドをデザインし、レベルアップするということは、行
動・言動・態度などの外的要素をもっと中に取り入れることにより、内的
な要素を向上させようとする作業であるということです。
 その作業が、情緒を向上させることになるということです。
 ということで、ヒントが見つかったので、ではこれらについて具体的に
考えて行きましょう。

6.マインドレベルの向上

 最初に焼き付けられた教育内容は、根強く残ります。
 だから、「ファーストプリント」といって、行動・言動・態度・店の考
え方などを入店の時に徹底して教えます。
 そうして、最初の刷り込み作業を行います。
 狼少年の話など、そのものです。人間のあかちゃんが狼に育てられて、
狼の様に育つという物語です。最初に教育を受けた内容は忘れないという
ことです。
 さらに、マインドレベルを向上させるには、行動・言動・態度などにつ
いて個人向けカリキュラムを組む必要があります。
 この、各人の情緒については固有の振動数があります。
 こちらから提案・提供する、どの周波数に共鳴・共振するか分からない
ので、いろいろ手探りしていくことです。
 そのうちに、きっとこれだというものに突き当たります。
 そういう気持ちで教育していけば、きっと、個人対応のプログラムが作
れるでしょう。
 それでは次に、全体としてのマインドレベルの向上について考えてみま
しょう。
 一例としては、読書があります。
 共通の課題本を読んで、それについて感じたこと、実行してみたことに
ついて話をするということです。
 なかなかの気付きがあるものです。
 感動物語などの映像も良いでしょう。
 これも、同じ時間を共有するということで有効な方法です。
 さらに、共通の感動体験なども良いですね。より苦しい、より辛い体験
を同時に行うことにより、心のレベルは凄く向上します。

7.レベルアップストーリー

 さて、まとめとして、一般のサロンのスタッフがリッツカールトンスタ
ッフの様に、先読みのサービスが出来るまでにはどのようなステップが必
要か考えてみましょう。
 A.「マインド」コンピテンシー評価シートを作成する。
   みんなが見て妥当な評価シートを作成する。
   実例を記載すると分かりやすい。
 B.現状のマインドレベルを知る
   まず、自分のレベルをどの位置付けまでアップするのかを自覚する
   作業です。
 C.マインドデザインを行う。
   より高い次元に引き上げるための認識を行います。
   一挙にはアップできないので、評価シートを参照して1ランクアッ
   プの目標を持ちます。
 D.行動計画を立てる。
   行動・言動・態度等について、どの様な項目をどの様に取り組むか
   の具体的行動計画を立てます。
   この時、必ずA→D変換を行います。A→D変換自体が訓練であり、
   この時に考えるエネルギーにより、成功に近づきます。
   さらに、効果測定についても同じ様にデジタルで表現します。
 E.実行&フォローする。
   実行とフォローを繰り返し、目標レベルに到達するまで粘り強く行
   動します。
 F.次の段階へ
   目標が達成できたら、次の段階に対し、Bのステップから繰り返し
   ます。
 上記は改善の普通のサイクルですが、この手法はオールマイティーです。
 この間に、いろいろなレベルアップに関する補助的な情報の提供や、O
FFJTを行うことは言うまでもありません。

8.「マインド」コンピテンシー評価シート

 マインドレベルの評価シートを私なりに考えてみました。
 項目   「マインドデザイン(心の持ち方)」
 定義   「自我に目覚めて心の働きを知り、周囲に好影響を与
       えていく。」
 レベル-1「人生を投げている」
 レベル 0「前進することが大切であることに目覚めていない。」
 レベル 1「前向きに生きることに対して、言われた時だけ気がつくが、
       すぐに戻ってしまう。」
 レベル 2「自己啓発し、積極的に前進しようとしている。」
 レベル 3「自己の成長に目覚めて、前進する力がみなぎっている」
 レベル 4「成長が著しく、常に独創的な進化を継続している」
 レベル 5「本人の存在が全ての人に光を与えている」

9.最後に

 心・情緒の意味を調べ、マインドデザインについてを考え、マインドレ
ベルアップという改善の取り組みまでを整理してみました。
 頭書、マインドデザインとは、ワークデザインを参考にして、マインド
(志)の高さを認識して、より高次元に位置づけることであると考えてい
ましたが、これで自分でもはっきりしたので、モヤモヤした気分はスッキ
リしました。
 取り組んだ甲斐がありました。

10.次回案内

 今のところ、ノーアイデアです。
 ネタ探しします。
 では、また次回お会いしましょう!

信号機理論 (経営のリスク予知)

メルマガ再録 (2007年3月26日) 第38号


私が考える信号機理論とは、交通信号機を経営上の通過ポイン トと考え、安全に、しかもいかにスピーディーに青色で通過するかということに着眼して考えてみようという試みの思考術のことです。

            < 信号機理論 >

1.はじめに

 今回のテーマは「信号機理論」です。
 さて、なんでしょう?
 「信号理論」をインターネットで調べてみましたが、ここで見る限り、
「0」か「1」かのデジタルの世界ですね。「信号機理論」では該当の項
目はありませんでした。
 しかし、私が考えた信号機理論は、それらとは全く関係がなく、経営的
な視点のものです。
 つまり、私が考える信号機理論とは、交通信号機を経営上の通過ポイン
トと考え、安全に、しかもいかにスピーディーに青色で通過するかという
ことに着眼して考えてみようという試みの思考術のことです。
 言い換えると、信号機を道先案内(経営の指標)と考えたベンチマーキ
ングと考えても良いでしょう。
 と言っても、まだ分からないですよね。
 では、具体的に書いて行きます。

2.信号機の特性

 信号機は、青→黄→赤→青→黄→赤→の順番で、点滅から点灯を繰り返
して交通整理をする機械です。
 これは万国共通の認識です。この順番が変わったりすることはありませ
ん。
 しかし、各信号機の点滅~点灯のながさは、その交差点の流れを良くす
るためにそこの交通の状態がスムースに流れるように調整されています。
 当然、交通量の多い道側がながく、少ない側は短いというのが原則です。
 これからの文章中では、自分の車の位置が信号機に近い場合をA、中間
くらいをB、遠い場合をCとして表現します。(自分の感覚で決めて下さ
い。)

3.青信号

 はじめに、前方の信号機が青色の場合を考えてみます。
 まず、自分の車がA地点にいる場合は、全く問題なく通過出来ます。路
地の数も少ないのでサイドからの飛び出しにも気を使わなくて済みます。
 黄色になりかけても少しアクセルを踏み込めば交差点を通過出来ます。
 次に、B地点の場合です。
 青色の内に通過したいという気持が強く出ますね。今スピードを上げれ
ば青色で間に合うかも知れないが、青色になってどれくらい時間が経って
いるのか、このままのスピードなら黄色に変わらないか・・・・
 しかし、今の内にA地点までスピードを上げようとしたら、その時が危
険です。青色の内に通過したいと考えた瞬間信号に気を取られ、サイドの
ガードが甘くなります。人間の特性として、集中すると周りが見えなくな
り、聞こえなくなるからです。
 そうです。だから信号機までの途中の状況が視野に入らなくなるのです。
 つまり、脇道からの飛び出しに対応出来ないのです。
 非常に恐い状況です。これが、B地点の場合の最大の特徴です。
 最後に、C地点の場合です。
 流れの意識がなく、いきなり見た青信号はかなり危険です。早くA地点
に達しないと黄色に替わるという意識が焦りを呼びます。そうです、魔の
B地点パターンにはまるわけです。
 信号のタイミングを遠くから認識している場合は、危険度は小です。な
ぜなら、ぼちぼち黄色かなと予測がつくからです。
 このあたりでドライバーのクセがはっきり出ますね。
 のんびり屋さんなら、1回待ってもいいよとペースを崩さずに走ります。
 しかし、あせり屋さんは、どうしてもこの青色で通過するぞと肩に力が
入ります。
 そうです、そうなればこれまた魔のBパターンです。
 いずれにしても、通過するぞと力が入った時に、それが落とし穴になる
ということです。

4.黄信号の場合

 今、前方の信号機が黄色の点滅、点灯だとします。
 ここでも3つのパターンがあります。
 A地点の場合、停止できる距離なのでしっかりブレーキを踏みます。
 B地点の場合、次は赤信号なので、停止モードに入ります。
 C地点の場合、安心してスローダウンして信号に近づくことが出来ます。
 以上の様に、黄色の場合は先を急ぐことが出来ないので、リスクが少な
いということです。

5.赤信号の場合

 信号が赤色でA地点の場合、ブレーキを踏み込んで停止します。
 信号の手前から青色~黄色~赤色の移り変わりを認識していることが大
事です。
 つまり、いきなり赤信号を見ても、それが赤になった瞬間か、青色に移
ろうとしているところなのかでは、心の用意、発進の準備の仕方が違うか
らです。
 B地点の場合は、スローダウンはしますが、ひょっとしたら青に変わる
かもしれないという期待感を持って信号を見ています。これはまたまた要
注意です。信号に集中してしまい、脇道の恐怖を忘れがちになるからです。
 C地点の場合、赤色の初期は危険度は小です。次は青色なので、楽に信
号まで近づけます。
 しかし、赤色の終盤は危険が発生します。次は青だからスローからアク
セルを踏まなければと思った瞬間がサイドが見えなくなります。

 以上の様に、各信号と車の位置により心理状況が違うのと、それに伴う
危険度が違うということがわかりましたね。
 車を運転しない人は、自分が自転車に乗って走っている時を想像しても
らえれば分かりやすいでしょう。
 では次に、この状況を経営に置き換えて考えてみましょう。

6.経営での青信号

 青信号は一般的に進めですが、その中にいろいろな要素があることを、
前項で考えましたね。
 青信号のA地点では、信号に近いので、問題なく通過出来ます。
 ここでのポイントは、ひょっとしたら横から信号無視をしてぶつかって
来る車があるかもしれないということです。
 だから経営でも、近隣の動向を見ながら前進することが大切だと教えら
れていることになるでしょう。
 常に、そういうアンテナを張り巡らせて、360度注意を払っておくこ
とが求められます。
 次にB地点です。
 ここは魔のB地点ですので、最大の注意が必要です。
 信号に注意を集中し過ぎることにより脇道からの飛び出しに対応しきれ
ないということが待っています。
 経営で言うと、好調な時に一つのミス、クレームあるいはサロン内の不
満などから水が漏れ出すことがあるぞという注意を促しています。
 好調な時ほど気を付けろと言うことです。なかなかそう思えないのが人
の常ですが、勝ってかぶとの緒を締めなければなりません。
 最後に、C地点の場合です。
 距離のある時の青は、誠に危険です。野心の落とし穴です。
 ある程度貯蓄も出来て、何かをしたくなったとき、悪魔の手が伸びます。
 そう、必ず魔の手が伸びるのです。そして、思い上がりになり、自分の
想いが全てのような錯覚に陥り、感謝を忘れます。
 そうなると、取り返しのつかないことになります。慢心はいけないとい
う戒めです。
 感謝の心を常に持ち、利他の心を忘れないことが大切です。

7.経営での黄信号

 黄信号は、速やかに交差点から脱出することですが、現状に留まらず、
常に次のステップを意識して向上していくという意識が必要でしょう。
 黄信号は、注意深く進行しているので、返ってリスクが少ないです。
 サロンでは、何か問題があったりするとそれに対してリカバリーするこ
とに一所懸命になります。これがみんなの団結心を高めることになり、良
い結果を生み出すことがあります。
 経営数字を見て、危機感を持って望むことも必要です。意識的に、常に
黄色信号を点滅させているサロンは素晴らしいです。
 良い意味の危機感を持って、目標達成に向かう姿勢があれば、黄色信号
は大変有意義なものになります。
 TOPの指針・姿勢が、サロン全体に繁栄することは言うまでもありま
せん。
 そのことをよく認識し、テクニックよりマインドを高める勉強をしてい
きましょう

8.経営での赤信号

 赤信号は止まれですが、経営では次に備える・力を蓄えるということも
大事な要素です。
 A地点の場合、車はブレーキを踏んで停止しますが、経営は停止できま
せん。
 赤字の場合、その要因を掴むことが先決です。
 要因は、それまでのデータの中に問題となる要素が隠されています。
 マイナスモードに入っている時は、なかなか見つからないものですが、
課題を見つけ出し、そして、挽回のためのプラスの計画を立てます。
 プラスになる計画が立てられれば、それを100%実行することです。
 そこはもう根性の世界です。
 計画と心の統一が図れれば、目的は達成できます。
 魔のB地点の場合は、行けるだろうと言う甘い予測が命取りになるとい
うことです。
 予測はどうしても甘くなりがちです。そこを厳しくシミュレーションし
て、120%の行動計画を立て、実行することで、物事は実現できます。
 80%の勝算でスタートしてはいけません。200%あっても、何があ
るかわからないのが商売です。それをよく肝に銘じるべきです。
 C地点の場合、次の青色を意識しすぎて足元を忘れがちということです。
 次の明かりが見えると走り出したくなるものです。
 そこをぐっと我慢して今までの進行速度を守りつつ、ペースアップして
いくことで、確実に成長につながります。
 次のためのエネルギーを蓄え、資質を向上し、次の商戦に備えなければ
なりません。
 備蓄なくして冬は越せません。また、ノウハウの構築なくして次の展開
はありません。
 この赤信号は、大変重要な要素を含んだ時間です。
 次のための準備と心得て、向上に努めましょう。

9.では質問です!

 Q1.あなたのサロンの信号機と同じ役割を果たすものとは、どんなも
    の(こと)ですか?
 Q2.誰がドライバーですか?
 Q3.信号のタイミングは誰が決めていますか?
 Q4.安全運転をするのに、どんなところに気をつけていますか?
 Q5.脇道の情報にアンテナを張っていますか?
 Q6.リスクマネージメントの対策は出来ていますか?
 Q7.次への飛躍の準備・計画・投資は出来ていますか?
 Q8.ナレッジマネージメントの蓄積は出来ていますか?
 Q9.サロンのフラグは全員が見えるところに掲げていますか?
Q10.本音で話し合える環境を作っていますか?

10.最後に

 「信号機理論」、どうでしたか?
 未消化部分は多々あったかと思いますが、なんとなくわかってもらえま
したか?
 私はいつも、自分の駐車場から一方通行の信号の出口までの間に、こん
な様なことを考えています。
 先の信号が赤の方がほっとするんですよね。
 朝は必ずやってくるように、やまない雨はないように、赤信号は必ず次
は青色になるんです。
 だからそれを信じて準備しておくということが必要なわけですね。

11.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回のテーマは「ありがとう」です。
 「ありがとう」の持つ力をあちこちで耳にします。
 なぜなんだろうという疑問があります。
 それを考察してみます。

 では、次回もまたお役に立てるメルマガを目指して作文しますので、応
援よろしくお願いします。
                 ではまた次回もお会いしましょう!

ナレッジマネジメント (ノウハウの共有)

メルマガ再録 (2007年2月26日) 第36号


職人技・ハイパフォーマーの技術を素人にも使える様に一般化して、会社のレベルを引き上げる手法です。集積手法の一つとして、「ナレッジレポート」というオリジナル様式も説明しています。

          < ナレッジマネジメント >

1.はじめに

 ナレッジマネジメントって、聞かない言葉ですよね。
 フリー百科事典『ウィキペディア』によると、「ナレッジマネジメント
とは、主に暗黙知を明示知に変換することにより、知識の共有化、明確化
を図り、作業の効率化や新発見を容易にしようとする企業マネジメント上
の手法」ということです。
 う~~ん、難しそう!!
 要するに、職人技・ハイパフォーマーの技術を素人にも使える様に一般
化して、会社のレベルを引き上げると言うことでしょう。
 私は若干コンピテンシーの考え方に似ているかなと思いますが、コンピ
テンシーは出来る人のノウハウに近づくための手法であるのに対して、こ
のナレッジマネジメントは、出来る人のノウハウをまとめて、全員で活用
しさらに高めて行こうとするものであると解釈しています。
 コンピテンシーは、個人寄りの考え方なのに対し、ナレッジマネジメン
トは、より組織的・全社的なアプローチになるものでしょう。
 今回は、新時代の競争力の源泉として「知(ナレッジ)」をどのように
活用していくかに付いて考察してみましょう。

2.SECI(セキ)

 ではまず、どうしてその様にノウハウが集中し、それを活用出来る様に
なるのかと言うストーリーについて考えてみましょう。
 少し専門的になりますが、次の手順が一般的です。
(1)共同化<共感>
  (Socialization、ソシアライゼーション)
  「共同化」は、個人の中にある知識を磨き上げ、小グルーブで共有し
  たりして顕在化させます。
(2)表出化<文節>
  (Externalization、エクスターナライゼーション)
  顕在化した知を、集団で使える様に、文章化、データ加工、マニュア
  ルなどに加工します。
(3)結合化<分析・連結化>
  (Combination、コンビネーション)
  文章化された知を、各種組み合わせたり、体系化したりしてさらに枠
  を超える形で普及させます。
(4)内面化<実践>
  (Internalization、インターナライゼーション)
  体系化された知を、個人のノウハウまで落とし込みます。そしてまた
  新しい知を生み出すまで熟成発酵させます。

 上記の4項目の頭文字をとって、SECI(セキ)と呼んでいます。
 こうした過程を経て個人の知と集団の知が混ざり合い、増幅し、そこか
ら生み出されたノウハウがよりレベルの高い製品やサービスを生み出し、
お客様の知をも巻き込みながらナレッジマネジメントの輪が広がり、経営
のレベルが向上して行くというわけです。

3.具体的手法

 私は美容室専門のコンサルタントなので、大きな会社のナレッジマネジ
メントを指導したことはありませんが、ちなみにそういう場合の具体的手
法に付いても少し説明しておきましょう。

<1>データマイニング
 人工知能や統計学を利用してデータから知識を取り出そうとする試みの
ことです。主に連鎖して起こる現象を探り、セールスに結びつけようとし
ています。
 例えば、「スーパーでビデオとガムテープが共に売れるというデータを
元両者を同じ場所に置く、本Aを買う人は、後に本Bを買うことが多いと
いうことが分かれば、購入者に本Bを薦めるダイレクトメールを送る。」
等の購買促進が図れるわけです。
 美容室で言うと、パソコンでお客様情報を傾向分析して、来店に備えて
次の準備をしたり、店販商品の期限切れに対処するなどがあるでしょう。

<2>データウェアハウス
 データを多次元的に処理することによって、通常では察知しにくい傾向
性を発見する技法です。
 サロンで言うと、時間帯別の来店客傾向分析などをして、そのお客様に
対しての対処方法を考えるなどがありそうです。

<3>知識共有化
 コンピュータを利用して、一部の人の資産であった知識を集団全体に共
有しようとするものです。
 大型美容室ではグループウェアを使ってデータ・情報を共有化している
ところはありますが、まだまだナレッジマネジメントというにはほど遠い
ですね。

<4>可視化
 人間における視覚の優位性を利用し、多次元、多要素で理解しにくい情
報を、見える形で表現し、理解しやすくさせようとするものです。
 これなどは、現在はパワーポイント止まりでしょうね。これからいろい
ろなツールが開発されてくることになるのでしょう。

4.私流ナレッジマネジメント(サロンでの活用)

 私は、ナレッジマネジメントの具体化の一つとして「ナレッジレポート」
というものを考えてサロンで活用しています。
 従来の反省型ミーティングではなく、ノウハウ共有型・積上げ型の会議
を目指して、このレポートの形式と運用を考えました。
 内容は、次の4項目からなっています。
  <1>グッドニュース
  <2>バッドニュース
  <3>リクエスト
  <4>その他
 では1つづつ解説します。

<1>グッドニュース(今月の営業で特に良かったと思うところ、共通
   のノウハウとして使えそうだったこと等を書いて下さい。)
 この欄には、この1ヶ月間、自分で挑戦してみて良い結果が得られたこ
とを書いてもらい、内容を報告してもらいます。
 その時、聞く側からはどんどん質問を浴びせます。結果を出した本人は、
良い評価をされていることと同じ意味になり、次回も褒められたいという
気持が高まり、良循環に入ります。
 例えば、「店販セールで今までの自己最高額を売った」というコメント
があったとしましょう。
 そうしたら、自然と聞きたくなりますよね。「えっ?何か今までと変わ
ったことをしたんですか?」「どんな商品をお勧めしたんですか?」「そ
の時のお客様の反応は?」・・・
 そうです。それをメモして、共通のノウハウにするわけです。
 また、全店で一番パーマ比率の良い人には「どんなお勧めをしています
か?」「最初の声掛けはどんな言葉を使っていますか?」と聞いてみたく
なりますよね。そこから引き出した答えをどんどん積上げていくというこ
とが最初のステップです。
 これがSECIで言うところの、共同化~表出化です。

<2>バッドニュース(反省点を書いて下さい。またそのことからリフレ
   ーミングをしてプラス思考で見方を変えたところ、何を学んだか書
   いて下さい。)
 34号で詳しく書いたリフレイミングを応用したものです。これが意外
に効果を発揮します。
 例えば、「最近導入したデジタルパーマのお勧めが上手く出来ない」と
いう悩みがあったとします。
 当然質問しますね。「どんなアプローチをしていますか?」「デジパの
特性、お勧めトークはよく理解していますか?」
 その質問が、本人に気付きを与え、周囲にも「そうだったんだ!」と再
確認させる効果もあります。
 そしてハイパフォーマーの人が、「こうすればいいよ!」と教えれば効
果はバッチリです。
 そんな感じで、ノウハウが浸透していくわけです。
 そして、悪いニュースでも素直にコメント出来るようになれば、視点が
上向きになるのでレベルがグッと上がります。

<3>リクエスト(自分の成長のために欲しい情報を書いて下さい。)
 「マッサージの上手な方法を教えて欲しい。」というリクエストがあっ
たとします。
 「この場で一番上手なのは誰ですか?」と聴いてみます。
 「Aさんでしょう!」という意見が大半だったら、「Aさん、コツを教
えて下さい。少し実演をお願いします。」と言って、誰かをモデルにして
実際にやってもらいます。
 会議の中で、アクションを入れることは大変良いことです。
 美容師さんは特にデスクワークや会議は苦手です。動きをしてもらうこ
とで一気に和み、集中できます。
 この動きをスケッチし、マニュアル化して全員に配布すれば、全員にト
ップのマッサージ技術が徹底します。

<4>その他(上記以外に、会社、営業、スタッフ、お客様等のことで気
   の付いたところ、意見・質問があれば書いて下さい。)
 「サロンのことをもっと知ってもらうのに、ミニコミ誌を発行すればど
うかと思います。」という提案があったとします。
 これはチャンスです。
 スタッフがやる気になっていると言うことです。そんな時は、すかさず
「やってみましょう。ではどんな感じの内容を考えていますか?」とやる
ことを前提に話をします。
 質問により、内容を明確化させて、実行までの段取りのイメージを確立
させます。そして、みんなでそれを盛り上げて期待してあげます。
 この様に、一つのイベントを共有化することが大切です。

 と、言うような感じで使います。
 ミーティングは、問題点の洗い出し・分析に時間を掛けるのではなく、
ノウハウ構築に集中するようにしましょう。
 そうすれば、会議の生産性がグッと向上し、ナレッシマネジメントの効
果が抜群に増します。

5.最後に

 「ナレッジマネジメント」どうでしたか?
 いわゆるベテラン、職人技、一流、凄い人、TOP、カリスマ等と言わ
れる人のノウハウの真髄を顕在化して初級者でも使えるようにするという
ナレッジマネジメントの概略を分かって頂けましたでしょうか?
 出来る人は、必ず何かを持っています。
 その人の、やり方、言い方などをどんどん共有して、素晴らしいサロン
作りに役立てて下さい。

6.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回のテーマは「ゴールドスタンダード」です。
 どんな小さいサロンでも大きな会社でも、自分達はどういう仕事で社会
にお役立ちするのかと言う経営理念を持っています。
 それを具現化するのに、行動指針やスローガンを掲げます。
 その内容がゴールドスタンダートと言われるものです。
 その行動の規範がしっかりしていないと、そのサロンの中心軸がぶれて、
全員の行動の方向性を集中することが出来ません。
 だから、ゴルドスタンダードを明確にして、パワーを結集する必要があ
ります。
 この、サロン・会社にとって一番大切な要素であるゴールドスタンダー
ドについて、次回考察してみます。

 では、次回もまたお役に立てるメルマガを目指して作文しますので、応
援よろしくお願いします。
                 ではまた次回もお会いしましょう!

▲このページの先頭へ戻る