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リフレイミング (角度を変えてみる)

メルマガ再録 (2007年1月22日) 第34号


1つの物の見方(枠)に限らず、他方(多方)からの見方をするということで失敗事例も学びになります。リフレイミングとは、「物事を違った角度から見る、現象の意味付けを変える」という意味です。

< リフレイミング >

1.はじめに

 リフレイミングの語源について調べました。
 リフレイミングは英語で書くと、「Re-Framing」
 Reは、「再び」と言う意味。
 Framingを辞書で引くと「組み立て、構成、構想、計画、枠をはめる
こと、枠、額縁、骨組み」などと出ています。
 これで解かる通り、リフレイミングは、直接的に訳すと「再び枠にはめ
る」ということですが、1つの物の見方(枠)に限らず、他方(多方)か
らの見方をするということで、「物事を違った角度から見る、現象の意味
付けを変える」ということです。
 悪い出来事も、角度を変えれば教訓となります。
 今回は、このリフレイミングという言葉に付いて考察します。

2.「自分の前に、超えられない問題は出現しない」

 「自分の前に、超えられない問題は出現しない」という先人の教えがあ
ります。
 これを信じるか信じないかで人生は大きく変わります。
 例えば、信じない人でマイナス思考だったとすれば、「もう私は駄目だ。
問題に押しつぶされて自己破滅してしまう」となります。
 一方、信じる人でプラス思考だったとすれば、「今は問題だがこの問題
はきっと解決できる。それに向かって努力しよう!」となります。
 マイナス思考からプラス思考への脱出は、今回テーマのリフレイミング
をして、方向変換するしかありません
 つまり、「自分の前に、超えられない問題は出現しない」と言う言葉を
信じるしかないのです。

3.お化け煙突

 3本ずつ並行に並んだ工場の6本のエントツ。
 これって見る角度によっては、5本、4本、3本、2本に見えたりする
んです。
 事実は6本であっても「いや絶対3本だ」と主張する人もいるわけです。
 3本だという人も、その場所からの見方に限定すれば正解なわけです。
立場(場所)によっては、物の見方が変わるということです。
 だから、6本と言う人は、3本と言った人の場所に行ってみて、3本だ
ということを確認すれば、それはそれで正解なのだということが分かり、
一つ勉強することになります。
 そうして、相手を理解することにつながるわけです。
 これは大変重要な意味を含んでいる物の見方です。
 教育者・指導者は特にこの考え方・見方を知り、相手の理解から次のス
テップにつなげる方法を会得して下さい。
 これについては、後程「コーチングでの活用」の項目で詳しく考えてみ
たいと思います。

4.リフレイミングのポイント

 では、どの様にリフレイミングするかという手法について考えてみます。
 相手の戦艦に突っ込む特攻隊の若者は、本来死にたくはありませんが、
上官の「祖国の誇りを思い知らしめるために今自分達が犠牲になることは
本望である!」という言葉に奮い立ち、一心の想いで突撃するのです。
 これはもう、リフレイミングの極致ですね。
 人から自分の気にしているルーズな面、例えば、連絡の悪さであったり、
遅刻ぐせであったり、約束を守らなかったりというところを指摘されたと
します。
 一瞬カチンと来ますよね。
 そこで、「あんたには関係~ねえよ!」と突っ張るか、「確かにそうだ
な、長い眼で見たら今それを直す時だな、それに直さないと、言ってくれ
た先輩にも悪いしな」と考えるかで全然今後の姿勢が変わりますよね。
 その時のスイッチが「リフレイミング」です。

5.日常生活での活用

 プラスの方向に言葉を置き換えてみると視点が変わります
 嫌なことがあっても、「願望」(~したい)で考えるとリフレイミング
出来ます。
 例えば、遅刻してきた人に対して、「無駄な時間を使わせないで欲しい」
というのは、他律的(他からの命令・束縛によること)で嫌だというの感
情分類に入りますね。そうです、他人の行動に対して、して欲しくないと
ケチをつけていることになります。
 <質問>それを、願望の表現に変えるとどうなるんでしょう。
 <答え>「わたしは、時間を有効に使いたい」
 つまり、自律的で、~~したいという願望の表現にするわけです。
 子どもに対して、夫や妻に対して、仕事の場面で、人の行動にケチをつ
けたくなったら、相手が悪いと思っても、一歩引いてリフレイミングして
考えてみましょう。
 頭は使うけど、きっとその方がいい方向に向かうはずですよ。

6.ベンチマーキングでの活用

 これまたインターネットで調べてみました。
 「ベンチマーキングとは、ひとことで言えば「ベストに学ぶ」というこ
とです。ベスト・プラクティス(経営や業務において、もっとも優れた実
践方法)を探し出して、自社のやり方とのギャップを分析してそのギャッ
プを埋めていくためにプロセス変革を進める、という経営管理手法です。」
ということです。
 これは、私の言う「アナロジカルシンキング(類推法)」や「コンピテ
ンシー(高業績者の行動特性)」の考え方に似ています。
 セミナーや現地見学に行って、それはその講師の先生だから出来たのだ、
とか、そこの会社だから上手く行ったのだという様に考えても、そこから
何も生まれない。そうではなくて、自分、自社に置き換えると、教えても
らった、または学び取ったことをどの様に活かして行くかということが出
来ないと、何の意味もないのです。
 だから、このリフレイミングを徹底的に叩き込み、全てのものを勉強材
料にしてしまうというくらいの姿勢を身に付けることが、自己成長にとっ
て一番大切なことです。
 自分の限界を超えていくには、他からの学び以外にありません。
 これを実践するには、まず観察すること、そして学ぶ(真似ぶ)こと、
それからそれを自分のものにするために習得すること、そして、それを発
揮することです。
 その段階の最初の観察することが出来なければ、次のステップに進めな
いのです。
 「観察眼」これがベンチマーキングなどリフレイミングのポイントです。

 このベンチマーキングを主体としたセミナーがあります。坂本龍馬や企
業家の人を研究し、その心意気・手法をベンチマーキングして、自分の将
来設計を行い、その場の人達に公言して有限実行を図るという勉強会です。
 柔な設計をすると、「それで本当に出来ると思いますか?聞いている人
達はどうですか?」と突っ込まれます。
 そして、そのうち段々と本気モードに突入し、すっかり人が変わった様
になって、自信を持って進化して行かれるのです。
 これは本当に素晴らしい勉強会で、成果を挙げています。

7.コーチングでの活用

 コーチングでもリフレイミングは使用します。
 では、例を考えてみます。
 コーチ「レッスンは進んでいますか?」
 生 徒「ええ、まあまあ」
 コーチ「まあまあって?」
 生 徒「やろうとするんですが、なかなか進まなくて!」
 コーチ「じゃあ、視点を変えて、レッスンを楽しむにはどうしたらよい
     と思いますか」
 生 徒「分かりません。」
 コーチ「そうですね、じゃあ、レッスンした後に自分に褒美を出すとい
     うのはどうですか?」
 生 徒「それなら、よさそう。」
 コーチ「そうですね。では、何の褒美にしましょうか?」
 生 徒「そうですね、1週間6時間練習したら、映画を見れるとか?」
 コーチ「それでいいですか?」
 生 徒「もっと言うと、8時間したらCDが買える、10時間したら両
     方ともできる!」
 コーチ「いいですね!。10時間したら私が映画代持ちますよ!」
 生 徒「えっ!本当ですか?嬉しい。」
 コーチ「じゃあ、頑張れますか?」
 生 徒「はい、絶対10時間します。」
 コーチ「では、来週のこのミーティングで確認しますからね。」
 生 徒「わたかりました。」
 コーチ「では頑張りましょう。」
 生 徒「はい。」(絶対映画代稼ぐぞ!!)
 ここのポイントは、コーチがレッスンの後の褒美という案を出したとこ
ろです。辛いレッスンを楽しみに変えるリフレイミングです。
 視点を変える、一ひねりすると、アイデアは湧いて来るものです。

8.最後に

 同じ視点、一定の場所からは同じものしか見えません。
 定点観測などは、一定視点だからこそ周囲の変化が分かるということも
あります。
 自分と言う存在そのものは根が張っていて定点でなければいけないので
しょうが、自分の思考や考え方のテクニックからいうと、今回の様な角度
を変えた視点からの発想と言うものは貴重なアイデアをもたらしてくれま
す。
 勉強が無駄にならないように、このリフレイミングという思考法を身に
付けてください。
 そして、バンバン新しいアイデアを考えて周囲を革新していきましょう。
 それはそれは楽しいことになりますよ。

9.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回のテーマは「目標達成」です。
 自分で作った、または与えられた目標に対して、それを達成するにはど
んなプロセスで、どんな工夫をして結果を出すかに付いて考察します。
 多分、今まで書いてきたノウハウ・ドゥハウを総動員しての作文になる
と言う気がしています。

信頼の経営 (信頼の構築の仕方)

メルマガ再録 (2006年11月13日) 第29号


信頼の基本は、コミュニケーション(意思疎通)です。お互いが見えているという「透明性」をもって経営にあたり、お互いを信頼することから基盤を構築しましょう。

< 信頼の経営 >

1.はじめに

 「信頼の経営」、これはまた大層なテーマを取り上げてしまったものです。しかし、なんとか解釈しなければ、、、、
 ということで、私の経験の中から信頼の経営に関する内容を引っ張り出してきて書いてみます。
 信頼の経営に関する要素は、大きく分けてサロン内では「オーナー、幹部、スタッフ」、外では「お客様、美容業界、美容関係者、出入り業者、地域社会」の8つ要素の間の信頼関係を解き明かすことで何かが見えてくると思います。では早速取り掛かりましょう。

2.オーナーの資質

 まず、オーナーの資質について考えてみます。
 サロン(会社)は、オーナーの資質で全てが決まります。
 オーナーがいい加減だと、幹部・スタッフはそれを見習ってしまい、そんなサロンが出来上がります。オーナーが天狗になったり、横柄であったり、これで満足という姿のロンの成長は、底が見えます。
 逆に、オーナーの人格が尊敬に値するものであり、勉強熱心で、人間愛に溢れ、本当に部下を信頼して任せているサロンなら、サロンの成長は間違いないでしょう。
 ではなぜ、そうできないのでしょう。
 結局は自分への「甘え」です。
 「仕事はお金儲けの道具」としか考えていないオーナーは、スタッフの成長などには一切興味がありません。
 一方、「仕事は人生を磨く場である」と捉えているオーナーは、お金儲けは後に付いてくるものという解釈になり、まず人を育成します。
 ちょっと余談ですが、英語の「エデュケーション」(教育)は、ラテン語の「エドゥーコー」に由来し、元来“外に引き出す”の意味だそうです。
 人間、誰にも煩悩があり、それに惑わされることもあります。しかし、それにばかり引きづられていてはTOPの責任が果たせません。
 それを打破するには、甘える心に打ち勝ち、自分の心を豊にするための勉強が必要です。
 オーナーの資質がサロンの方向性を決定し、幹部・スタッフの人生までも方向付けしてしまうということを肝に銘じて、勉学に励むことが望まれます。
 つまり、この人に付いて行きたいというオーラを放つくらいにならないと、信頼性は発揮できないのです。
 信頼の基本は、コミュニケーション(意思疎通)です。
 お互いが見えているという「透明性」をもってサロン経営に当たり、お互いを信頼することから基盤を構築しましょう。

3.オーナー&幹部

 では次に、オーナーと幹部の間の信頼性について考えます。
 この間のチームワークが良くないと、サロンの方向性がグラつきます。逆にこの間の連携が上手く行っていると、本当に凄い力を発揮します。
 オーナーと幹部がしっくりいっていないサロンは、どうしようもありません。同じ方向に向かって歩調を揃えるのは、「夢・志の共有」しかありません。
 そのためには、日頃の話しこみが大切です。そして、中長期計画などの立案のために泊り込んででも意見を交換し、一つの方向に向けて調整します。
 特に、幹部に対してはエンパワーメント(権限委譲)が効力を発揮します。権限の及ぶ範囲と深さを話し合って決めます。
 こういった日常からの積み重ね、報連相が信頼を築きます。
 下のスタッフが、「上がバラバラやからやってられないわ」と言う声が少しでも聞こえたら大変です。相当の不満が溜まっています。
 その声に耳を傾け、謙虚に深く反省して、一丸となった経営を目指して話し合ってください。

4.オーナー&スタッフ

 オーナーとスタッフの間でよくあるのが、オーナーが直接スタッフに指示を出したり、丸秘情報を流したりと言う問題です。
 直接指示を出すオーナーに限って幹部への事後報告はありません。
 そういう時は必ずトラブルになります。
 幹部が、「なぜそうしたの?」ってスタッフに聞くと「だってオーナーがそれで良いって言いました」ってなことが発覚し、幹部は「もういらんこと言って!」とオーナーを信用出来なくなるのです。
 また、給与や人事のまだ検討中で、流してはいけない情報がなぜか下のスタッフが知っていることがあります。
 これは、幹部が流してしまうこともありますが、うっかりオーナーが流してしまっているケースもあります。
 オーナーは、割合特権意識が強く、「これくらいは」という安易で何気ない感じや、「別にいいだろう」という比較的、わがままな意識を持った人が多い様です。こういうタイプのオーナーは特に注意です。
 オーナーはスタッフに向けて、言わないといけない事、言ってはいけない事に付いて、再度認識を新たにして下さい。

5.幹部&スタッフ

 幹部とスタッフの間での問題は、幹部が情報を正確に下に伝えていないということが多くあります。
 例えば、幹部会で決定したことを各店に持ち帰って伝達すべきことがあった時、次の様な悪いパターンで伝えるということがあります。
   1=伝達を全く忘れている
   2=トーンダウンして伝える(熱意がない)
   3=自分の感情を入れて内容を曲げて伝える
 この様に、情報の伝達に関してもしっかり認識しないと、正確に伝わらないということを再認識してください。
 こういうことでトラブルが発生することもしばしばあるので要注意です。
 また、下のスタッフの情報が幹部に伝わって来ないというのも問題です。
 そういう場合はスタッフが悪いのではなく、幹部が聞く耳を持っていない、つまり、幹部は下が話しにくいオーラを放っているということです。
 だから、常に幹部はスタッフに心を開き、良い環境を与え続けなければなりません。そうすることで、情報の循環が良くなり、信頼のループが回転し出すのです。

6.サロン&お客様

 サロンとお客様の間の信頼は、今や平等なサービスをするのではなく個別のサービスをすることに注目点があります。
 顧客ではなく、「個客」と言う字を当てはめますが、まさに現在のサービスはそのレベルまで高まってきているのです。
 お客様の信頼を得る最大のポイントは、「今まで行ったサロンの中で一番自分のことを分かってくれた。そしてそのことに対して又来たいと言うレベルの技術・接客をしてくれた」ということに他なりません。
 要するに、お客様の期待を超えるサービス、これがポイントです。
 もう一つ肝心なことは、サロンが発信するサロンコンセプトです。
 これが新規の方にアピールする信頼性の表現ですから、それを工夫してきっちりお知らせすることが大切でしょう。そして、そのコンセプト戦略によりブランドイメージを確立し、信頼性を確固たるものにしていく作業が必須でしょう。

7.サロン&美容業界

 美容業界に対する信頼度の向上は、何かを発信し続けているということでしょう。
 新作スタイルであったり、各種コンテストへの出場、フォトコンテストへの挑戦、雑誌媒体への投稿、講師活動などなど、いわゆる美容業界に対するアピールの方法はいろいろあるでしょう。
 これらに関しては、そのイベントに強いメーカー、ディーラーなどがあるので、付き合いは良く考えて行うことが大事です。
 例えば、美容雑誌への掲載を定期的に続けていれば、それを見る美容学生へのアピールが高まり、採用活動に有利であるという実績があります。
 合同就職案内などの時のギャザリングなどでも、学生さんに対する信頼度の見せ方は工夫が必要です。そういうことも考えて、資料作りします。

8.サロン&美容関係者

 次は、美容ディーラーとの関係です。
 ディーラーとの関係は上記にもありますが、何でも相談する事がポイントです。
 ディーラーは、サロンのお役に立ち、売上を伸ばして取引量を多くしたいという目的を持っています。これは当然のことです。
 だから、こういう動きを活用して、何でも相談する事です
 良ければ、ミーティングにも入ってもらい、いろいろ助けて頂けることはお願いすればよいのです。
 一方、ディーラーは口ばっかりとか、他言するからというイメージを持っていると、いつまでもうまくいきません。
 お互い信頼して対等に取引することでギブ&テイクの関係が成立します。

9.サロン&出入り業者

 メーカー、ディーラーの他に、出入り業者にはこんな方達がいます。
 はさみ屋さん、内装業者さん、郵便屋さん、宅配業者、電気工事屋さん、花屋さん、ガス屋さん等々、いろんな方がサロンには出入りしています。
 この方達を大切にします。
 「バグジーでは年末にはこの人たちに感謝状を贈っています。そうすると、あの店は親切だということで家族の方に話が回り、奥さんや家族の方が来店されるんですよ」と久保先生は言っておられます。
 誰だってそんなことをしてもらったら悪い気はしませんよね。
 そうできる心の余裕が信頼を生んでいるのでしょう。

10.サロン&地域社会

 店の前の掃除や、町内会への協力はサロンとして当然出来ることです。
 それをしていないサロンが多いようです。
 店はその地域のお蔭で営業させて頂けているのです。
 それを忘れて慢心してはいけません。
 地域に貢献してこそ、認められるのです。地域との信頼の輪作りに精を出してください。
 一度良い循環が始まると、凄く楽しくなります。
 きっと、その良い循環にお客様も誘われて、来店されることでしょう。

11.最後に

 今回は、信頼の経営ということで信頼の構築の仕方を多方面から考察しました。
 最後に、何より本音で話せるサロン作りをして欲しいですね。
 建前は少しは必要な部分もありますが、本音で話しが出来て、同じベクトルの同じトーンのスタッフ全員でサロンが運営出来れば、毎日サロンに行くのが楽しくて仕方ないでしょうね。
 そんなサロン作りを目指して、信頼の経営を展開して下さい。

12.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回は、「ポリシーとスタイル」です。
 ポリシーを貫くとひとつのスタイルが出来上がるというテーマです。
 あなたは、自分なりのスタイルをお持ちですか?

コンピテンシー (行動特性分析手法)

メルマガ再録 (2006年9月25日) 第26号


ハイパフォーマー(高い業績をあげている人)の行動特性に学ぶということです。評価表を作成することで社員研修に使えるし、評価の場面、およびステップアップの教育にも使える素晴らしいツールです。

     < コンピテンシー >

1.はじめに

 コンピテンシーは、ハイパフォーマー(高い業績をあげている人)の行動特性に学ぶということです。
 私のコンピテンシーとの出会いは、3年ほど前です。
 伊藤豊先生の仕事を少し手伝うことになり、内容を聞いてみるとこのコンピテンシーのデータをまとめることでした。
 私は、コンピテンシーの専門書を読んだことはありませんが、自分なりにも研究し、サロンでも実際に使用している経験もあるので、その例を挙げながら、活用方法について考えていきましょう。

2.コンピテンシーの概要

 コンピテンシーを活用するには次の手順で進めます。
 本来、インデックス、チェックシートはサロン固有のものがあることがベストですが、そこまで必要がないとか、すぐに実施したいという場面に置いては、われわれが持っているサロンの標準的な内容のものを使えば良いでしょう。
 以下は、自店のコンピテンシーを作る場合の手順です。
 一般のものを使う場合は、この(1)(2)(3)の手順は必要ありません。
  (1)インデックス作り
  (2)チェックシート作り
  (3)評価用レーダーチャート作り
  (4)360度アセスメント
  (5)評価アドバイス
 では順次上記の内容を説明していきます。

3.(1)インデックスの作り方

 インデックスの作り方ですが、まずは全体の項目の設定から始めます。
 自店において、アシスタントランクですべき項目から始まり、最終オーナーランクですべきことの項目、例えば「志」までの項目をリストアップを行います。
 われわれが使用している項目の例ですが、25項目あります。
   1.コミュニケーション    2.時間管理
   3.積極性           4.仕事の自己完結
   5.感性            6.サービス志向
   7.他者との関係       8.技術熟練
   9.結果への責任      10.自己啓発
  11.チームワーク       12.人材育成
  13.目標設定         14.人的ネットワーク
  15.計画づくり        16.人間関係好転
  17.柔軟性          18.リーダーシップ
  19.問題解決         20.夢の共有
  21.マネー           22.意思決定(勇気)
  23.利より信        24.継承
  25.志
 この項目にこだわる必要はありませんが、全体を網羅(もうら)し、バランス良く位置されているので、この項目を参考にすることがベターではないでしょうか。
 ということで、各サロンでは、この25項目を参照し、行動特性に付いては自店バージョンを作ってもらえればベストです。

4.(2)チェックシートの作り方

 上記の各項目に付いて、レベル(ランク)別の行動特性内容を明確にする作業を行います。
 この作業が一番時間の係るところですが、粘り強くやるしかありません。
 行動特性は、通常(-1)から(+5)までの7ランクにパターン化/分類します。
  -1=阻害的(害になる)
   0=受動的(存在感なし)
   1=能動的(マニュアル的)
   2=積極的(知識的)
   3=主体的(能力的)
   4=創造的(内面的・精神的)
   5=利他的(思想的)
 良く出来る人、そうでない人をよく観察して、行動パターンを描き出します。
 では、分かりやすい例を挙げてみましょう。「挨拶」のコンピテンシーの一例です。
  -1=気付いているけど挨拶しない。不機嫌な感じである。
   0=自らは挨拶しない。挨拶されたらする。
   1=気持のこもらない挨拶は出来る。
   2=自分の関わりのある人(お客様)には積極的に挨拶できる。
   3=自ら先に店内で顔を合わせる人全てに挨拶できる。
   4=挨拶から続けて会話を展開させることが出来る。
   5=挨拶により周囲を元気付けて、活力を与えることが出来る。
 この作り込みの作業をしている時が、実は一番勉強になります。
 「こういうことをしているのはランク2でしょう」「嫌、1じゃないですか。だって、○○することのほうが上だから。」「そうか!」という具合いの気付きがあります。

5.(3)評価用レーダーチャートの作り方

 次に、レーダーチャートの準備(作り方)ですが、対象ランクのインデックス項目に限定する場合と、全体25項目を一括で扱う場合があります。
 例えばアシスタントで8項目に限定するとすればレーダーチャートの作り方は次の通りです。
  ・円を描く
  ・その円をケーキを切る要領で8等分する。
  ・その区切り線の円周外に対象項目名を記入する。
  ・中心を-1として7区分の同心円を描く。
  ・1本の直線にポイントを書く
 これでレーダーチャートは準備完了です。

6.(4)360度アセスメント

 いよいよ、実施です。
 一般的には、360度アセスメントという評価方法を行います。
 これは、コンピテンシーチェックシートを用いて周囲の人が対象者を相手に点数評価します。
  <1>本人、<2>本人の上司、<3>本人の同僚、<4>本人の部下
 この時のチェック項目は、どれにするのかは各サロンで決めて下さい。
 ちなみに、前記インデックスの25項目をランク分けするとすれば以下の区分が良いでしょう。
  ・アシスタントレベル・・・ 1~ 8項目
  ・スタイリストレベル・・・ 8~15項目
  ・リーダーレベル  ・・・15~20項目
  ・幹部レベル    ・・・20~25項目
 共通認識のある採点をしてもらうにはしっかりしたオリエンテーションが必要です。
 7段階ポイントの認識をしっかり説明しておきます。
 採点する時は、誰かが読み上げて、一斉に採点するほうがベターです。その方が、きっちりした雰囲気です統一感があります。
 そして提出されたチェックシートの点数をレーダーチャートにプロット(点を打つ)します。そして、その点を順次つなげて行きます。
 ガタガタした円が出来れば完成です。

7.評価アドバイス

 そして、このレーダーチャートを観察します。
 自分のレーダーチャートの円を見て、他人が大きく、本人が小さい場合は、謙遜型です。つまり自分はそんなに出来ないと思っているが、周囲からは結構出来るという評価ですから、本人はもっと自信を持って進んでいくべきだということです。
 次は逆のパターンです。
 他人が小さく、本人が大きい場合は、思い上がり型です。これは自分の評価より他人の評価が低いということです。他人から見たら本人が思うほど出来ていないよと言うことですので、本人はもっと謙虚にならないといけないということです。
 全体の円としてもそういう比較は必要ですが、項目一つ一つを見て評価していく人も必要です。
 基本的には、コンピテンシーは評価基準としてランク内容が統一されているので、誰が査定しても公平な評価になるというのが一つの狙いです。
 もう一つの狙いは、教育的な側面です。
 それは、自分が評価されてランク2だったとすれば、次はランク3を目指すのだなということが明確なことです。
 つまり、次の3ランクのことが出来るようになれば自分はランクアップするということが文字で示せるわけです。
 これが大きい意味を持ちます。なんとなくではなく、この方向に進むのですよという指針を与えて、指導してあげることが出来る資料であるわけです。

8.活用事例(1)

 私の顧問先のサロンでは、このコンピテンシーを幹部育成に活用したケースがありました。
 手順は以下の通りです。
  ( 1)幹部候補生をリストアップする。
  ( 2)そのメンバーに対してオリエンテーションを行う。
  ( 3)1回目のコンピテンシーチェックを実施する。
  ( 4)その結果にて、強化ポイントを面談にて指摘する。
  ( 5)その強化項目の行動計画を立てさせる。
  ( 6)日常においてその計画を遂行する。(OJTする)
  ( 7)数ヶ月後、2回目のチェックを行う。
  ( 8)TOPにてその差を吟味する。
  ( 9)昇格者と現状維持者を決定する。
  (10)幹部候補生を集めて、結果と昇格者を通達する。
  (11)現状維持者に対する追加要望を出す。
  (12)その追加強化項目の行動計画を立てさせる。
  (13)日常においてその計画を遂行する。(OJTする)
  (14)数ヵ月後、面談にて状況を把握し、その結果で昇格を検討する。
 成長~昇格させることが目的なので、TOP&本人が納得のいくまで努力を重ね、期待ランクまで上がるように努力する仕組みを作って上げることが大切です。

9.活用事例(2)

 もう一つのサロンでは、普通の5点法チェックリストにコンピテンシーの考え方を導入しています。
 チェックリストは技術ランク別に4タイプありますが、5点の各点の内容を明確にし、共通認識で採点出来るように、その点に対応する行動特性をリストアップしています。
 この方法は意外と簡単で、今まで慣れ親しんでいるチェックリスト方式なので、質問も平易で、簡単に対応することができるのが長所です。
 例としては、「お客様を親しみを込めてお名前でお呼びしていますか?」という質問に対して5段階で答えるのですが、その5段階は以下の様なものです。
  (1)覚える気がない
  (2)案内の時だけお呼びする
  (3)会話中も名前をお呼びできる
  (4)自分の名前も覚えてもらっている
  (5)漢字のフルネイムで30名以上お客様の名前を書ける
 どうですか? 分かりやすいでしょ?
 このコンピテンシーとチェックリスとをリンクさせた方法は、私のオリジナルかも?

10.最後に

 コンピテンシーって言葉は漠然として分かりにくいのですが、評価~教育には有効な考え方・手法だと思います。
 これは、結局は、本人の行動をコンピテンシーチェックリストと言う行動特性(アナログパターン)に照らし合わせて、数値化(デジタル換算)するということで、A→D変換に他なりません。
 評価とは数字にしないと分からないし比較も出来ないわけです。
 数字にならないと優劣がつきにくいのです。これが今の評価の仕方です。
 しかし、これに頼らない、優しさや、感動、サプライズなどのキーワードも評価の対象として忘れてはならないと思います。

11.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回は、「議事録の書き方」です。
 リクエストがあったので、このテーマについて書いてみます。
 但し、今まで書いてきた内容とかなりかぶる部分があるかも知れないのでそのあたりは御勘弁下さい。
 次回もまたお役に立てるメルマガを目指して、作文します。
 応援よろしくです。

ではまた次回もお会いしましょう!

エンパワーメント (権限委譲)

メルマガ再録 (2006年7月10日) 第21号


責任と自覚の上において権限を相手に与えることです。権限と環境を得た本人は持っているパワーを全力で発揮するようになり、組織はますます活性化します。

< エンパワーメント(権限委譲) >

1.エンパワーメントとは?

 「エンパワーメントとは人にパワーを与えることではありません。人には本来、知識や意欲と言う形のみなぎるパワーが備わっていて、最高の仕事をしようとするものなのです。エンパワーメントとは、このパワーを引き出すことです。」―――『1分間エンパワーメント』より
 辞書でエンパワー(empower)を引くと、「・・・に権限を与える、権力を委任する、~~に~~する能力を与える」となっています。
 つまり、権限を持たせることにより、もともと人間が持っている能力をより発揮できるように環境を作ることがエンパワーメントに求められる基本要素なのですね。
 組織において、一人一人のパワーを活用・発揮させようとするならば、このエンパワーメントという考え方は必須の項目です。
 自主活性型サロン作りも、コーチングも、メンタリングマネジメントも同じ方向を向いています。
 心の時代の経営が問われている今、大切なことは個々の特性を最大限に生かした人材の活用と組織作りです。
 それにマッチしたこのエンパワーメントというノウハウを是非習得し、お役に立てて頂きたいと思います。

2.問題点

 では、いきなりエンパワーメントするぞって言ってそれを始めるとどうなるでしょう?
 見え見えですね。大混乱でしょうね。
 何も整備できていない状態で、自分には権限が与えられていると思い込んでいるスタッフが勝手に何かを購入したり、お客様のためになるということで勝手なメニューを作ったりということをしだすと、どうなるでしょう? それは単に勝手な行動であり、サロンとしてはバラバラになってしまうことは見え見えですね。
 ということは、エンパワーメントをうまく実現させるための準備をしっかりして、それを理解させた上で、段階的に浸透させていく必要があるということです。

3.全体像

 導入~定着のための全体像を把握してみましょう。
  ステップ1 エンパワーメントの取り組みを研究する
  ステップ2 取り組み宣言をする
  ステップ3 人財を育成する
  ステップ4 情報を開示する(共有する)
  ステップ5 職務分掌と権限を整理する
  ステップ6 支援型組織を作る
  ステップ7 フィードバックシステムを運用する
 導入~定着のためには、この様なステップが必要と思われます。
 では個々のステップを詳しく見ていきましょう。

4.各ステップの詳細

ステップ1「エンパワーメントの取り組みを研究する」

 全員の理解がないとエンパワーメントは上手く行くはずはありません。
 まず、幹部またはプロジェクトをつくり、「エンパワーメントとは何か、どうすれば上手く行くか」等の勉強を行い、スムーズに行く方法を研究することから始めなければなりません。
 書籍や実際に上手く行っている事例を研究し、自店なりの導入方法を導き出します。

ステップ2「取り組み宣言をする」

 全員の前で、エンパワーメントについて取り組むことを宣言します。
 「宣言」、これが非常に重要な要素です。
 上司の熱い言葉が人を動かします。絶対に成功させるという火の様な想いをぶつけます。
 ただし、この時点ではまだどうしたら良いのか分からないので、アウトラインと方向性を説明します。
 「全体としてはどうするのか」「それをするとどうなるのか」「何がメリットで何がデメリットなのか」「どこに問題点が考えられるのか」「各自は何をテーマとすれば良いのか」などについて予め用意しておくことが必要です。
 スタッフには、信頼関係の上に成り立った経営システムを構築していく想いをきっちり把握してもらうことが大切です。

ステップ3「人財を育成する」

 エンパワーメントを実現するために人財の育成は欠かせません。
 理解力、ホスピタリティマインド、優しさ、アイデア、誠実さ、ウイット、気転力、応用力、注意力、機敏性、楽しむ力、協調性、チームワーク力、常識、行動力・・・この様な項目に対するパワーと想いのレベルが相当高くないと、エンパワーメントの意味が理解できません。
 また理解出来ても、それが行動に移せません。
 だから、次のステップ以降の具体化のケースにおいても、併行してこの人財育成のループは回し続けなければなりません。
 人が全ての資源の源であると考えた場合、育成は永遠のテーマです。
 人財教育を介し、信頼関係の糸をどんどん太く、しっかりとしたものに作り上げていくことがすなわち、エンパワーメントの基盤作りになるわけで、これは次のステップでお話しする、情報開示などについて大変重要な要素となってきます。

ステップ4「情報を開示する(共有する)」

 いよいよ、本題です。
 情報を開示するという意味は、新人スタッフまで全員に、経営内容を含む全ての情報を知らせるということです。
 ここで言う情報とは、今後の方針・戦略、人事、給与、経理状況まで、今まで社内秘としてきた情報の全てを言います。当然、TOP会の情報も、末端のスタッフが知っているという状況になります。
 えっ?とおどろくでしょう!
 そうなんです。そこまで徹底的に公開するのです。
 一つ間違えば、えらいことになります。
 会社の情報が外にもれたら困るという懸念がある内は踏み切れません。
 だから、ステップ3の人財を育成するということが優先になってくるわけで、双方の信頼関係なくしてこのシステムは成立しないのです。
 しかし、この情報開示がきっちり出来て、全てのことを共通認識しているスタッフは、それこそ全員がオーナー感覚になりますね。
 そこが狙いなわけです。
 現実的には、100歩譲って、TOPと新人では理解の深さが違うので、そのレベルに合った情報を最大限公開するという姿勢があれば、私はOKだと思います。
 この項目でもっとも重要なのは、情報開示による信頼関係の構築ですので、そこのところを良く理解して進めて下さい。
 データ公開で信頼関係を構築するというストーリーですが、危険も伴いますが、いったんはまれば凄いパワーが出ることは予想が付きますよね。

 ステップ5「職務分掌と権限を整理する」

 次は、「自主管理領域の創設」です。
 つまり各組織単位の仕事の領域を定め、領域内の仕事は信頼の上で「全て」任せてしまおうというものです。
 仕事の領域(職務分掌ともいいます)を定める要素としては、事業の目的や価値観、組織の未来像、目標、役割、組織の構造とシステムなどがあります。
 要するに、そのポジションで自分は何をすることが仕事なのかを明確に整理し、それが他部署との関連において整合性(調整)が取れたら、その部分についてのその仕事の権限はそこに任せるということです。
 この整理が出来ていない状態でエンパワーメントをスタートさせると、大変な混乱を招きます。
 他部署のスタッフからもお客様からも「勝手なことをして!」「それは越権行為(行き過ぎたこと)である」とクレームになります。
 だから、先に自主管理領域を明確にし、それぞれが責任を持って自主管理できる内容を整理することがまず望まれるわけです。

 ステップ6「支援型組織を作る」

 従来のビジネスモデルは、正ピラミッド型の組織が普通でした。
 これはお客様に対して、会社のTOPが責任をもって対応し、そこで発生する仕事を下のものがこなすというような感じの位置付けと仕事の割り振りになっていました。
 この従来のシステムでは、スタッフはどうしても「やらされている感」がつきまとい、自発性が欠如する感じがありました。
 しかし、近年、この正ピラミッド型の組織が逆転し、逆ピラミッド型、つまり上下が逆転したビジネスモデルが紹介されてから、一挙に世の中の組織に対する考え方がスタッフ重視の方向に流れ出しました。
 では、この逆ピラミッド型システムについて少し説明します。
 つまり、お客様に一番近いのは現場の人間である、上役はそれを支援する体制にあるのが望ましいと
いう考え方です。
 こういう規範の逆転を世間ではパラダイムシフトと言います。
 この流れが定着しつつある今日に置いては、スタッフ個々の対応が凄く重視されることになってきました。
 お客様との接点であるスタッフが会社を代表している、スタッフは会社の顔だということになるのですから、スタッフに権限を与え、その範囲で出来ることは自由采配権を持たせるということが当然の様になってくるわけです。
 お分かり頂けましたか?
 つまり、従来の階層型組織を排除して、チーム型組織により店内を活性化するというのが、このステップのまとめです。

 ステップ7「フィードバックシステムを運用する」

 この様な考え方の実施と定着は、日本人にはなかなか難しいのではないかと思います。
 従来、日本は階層を重んじる社会性があり、上の人間がバックアップに回るという発想はなかったのではないでしょうか?
 だから、余計にこのシステムを定着させるには、発想の転換と、いろいろな微調整が必要になってきます。
 実績を重ね、修正点をメンテしつつ、より良いシステムを作っていくというフィードバックの流れを作らないと、折角スタートしたシステムがすぐに悪循環に戻ってしまいます。
 しかし、一旦天使のサイクルになると、これは加速度的にやる気モードのサロンが出来上がります。
 ザ・リッツカールトンホテルやレストランCASITAに見られるエンパワーメントの究極は、ミスティーク(神秘性)まで行き着きます。
 単にES(従業員満足)という形に終わるのではなく、本当にスタッフを信頼した経営を展開されることを望みたいと思います。

5.最後に

 いかがでしたか?
 自主活性型サロン作りのポイントはこのエンパワーメントを実現させるということにフォーカス(着目)してもらい、各自のサロンで取り組んでみられたらどうでしょう。
 今回は、難しかったですか?
 しかし、私の中では今回のメルマガは大変重要な要素を含んでいて、今後のサロン作りを示唆した内容になっているんではないかと自負しています。(自己満足?)
 事例などありましたら、連絡下さい。
 私の中でフィードバックを掛けて、より内容を濃くしていきたいと思いますのでよろしくです。

6.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回は、「メンター(やる気にさせる人)」について考察します。
 このテーマは、次回CKEN感動セミナーの講師/福島正伸先生がメンターなので、私も勉強して皆さんに少しでも事前にノウハウを提供できればいいなあとの思いで、このテーマを選びました。
 皆様も、このテーマについて予習しておいて下さいね。
 では、次回もお楽しみに!


ではまた次回お会いしましょう!

企画開発技法  (創造したことを表面化する技術)

メルマガ再録 (2006年6月12日) 第19号


考えたことを企画書にしてまとめる作業をすることにより、しっかりした構成力と提案力が身に付きます。これを継続実践することで自主活性型の人財を作ることが出来ます。

< 企画開発技法 >

1.はじめに

 企画開発技法は、次の2つの効果を狙いとしたものです。
 1)新企画を文書にして考えることにより、より実現可能になるので成果が見える。
 2)新企画を考える習慣をスタッフに身に付けさせることにより、店内の活性が向上し、サロンが前進
  する。
 企画を文書にして考える習慣は、一般企業では当たり前のことですが、サロンのスタッフとしてはあまり馴染みがありません。なぜなら、彼らがマスターすべき優先事項は「技術」だからです。
 しかし、ここに大きな落とし穴があります。
 もし、技術のみを優先させると、そのスタッフはどうなるでしょう?
 以前、3ヶ月で技術者になれるという触れ込みで、そんなスクールを開催したケースがありました。結果はひどいものでした。接客が出来ないのです。お客様との会話が出来ない、気遣いが出来ない、スタッフとのコミュニケーションが出来ないという技術者を作ってしまったのです。
 技術と接客は両輪だといわれますが、全くその通りです。
 現在においてさらに必要なのは、「人間力」と「企画力」です。
 「人間力」は、全ての根源である「優しさ」と言い替えることが出来ると思います。その次は「企画力」です。これが身についていないと、スタイリスト・アーティストとしての想像力・創造力が発揮できないのです。
 顧問先のサロンで、「経験したことは何とか出来るが、これからのことを考えるのは苦手」というスタッフを見掛けます。
 この問題を何とかしないと、行き詰るのは目に見えています。
 ということで、企画の出来るスタッフ、クリエイティブなスタッフを作るためのテクニックを今回は説明します。

2.企画の教育的側面について

 企画は、いわば0(ゼロ)から1(イチ)を生み出すことです。
 大抵、人は、提出された資料に対して「ああでもない、こうでもない」と問題点を列挙したり、ケチを付けるのは得意です。人間の思考は、基本的には保守なので新しいものは拒否するという考え方が身についているので、そうなってしまうのです。
 しかし、それだけで良いのでしょうか?思い切って出してきた企画に対し、それ(ケチ付け)をやってしまうと意気消沈して、企画を二度と出さなくなります。
 反対に、「それええやん!」とそのアイデアをほめて実現して上げると、その本人は、「やった!また考えるぞ!」と前向き思考になるのは当然ですよね。これを上手く利用して、「企画で人を育てる」ということをしていけるのです。

3.企画の基本ステップ

 それでは、その企画の方法について書きます。
 まずは、全体の流れです。
ステップ1「実現したい事が発生した」
  ・自分で考えたり、企画を依頼されたなどの理由で、案をまとめる必要が生じることです。
ステップ2「起案書を作成する」
  ・本格的企画書を書く前に、こんな感じで企画してもいいですかと問い合わせる簡単な書面が起案書です。
  ・このステップは簡単な企画なら飛ばしても良いですが、少し大きな企画になると、この事前検討が必要になってきます。
ステップ3「内定・承認を得る」
  ・企画の方向性を確認しておかなければ、せっかく企画した案が没になるのはもったいないのと、時間の無駄です。
  ・これを無くすために幹部の承認を得ておきます。この企画の採用、不採用の正式判断はステップ6で行います。
  ・ここで、幹部は担当者が何のために企画をしているのかを周知徹底し、この企画に対する協力を全員に求めることが必要です。
  ・特に外部の人に協力を得る場合、必ずその人も紹介し、何のために来て頂いているかを徹底しな
   いと、内部の協力は得られないので注意です。
ステップ4「本格的に企画を練る」
  ・起案書の承認を得て、本格的に企画書を作成するネタ・情報を探し、まとめます。
  ・この時、次項「4.企画するためのテクニック」を参考にして下さい。
ステップ5「企画書を作成する」
  ・企画の項目はその企画内容によっても異なりますが、大体以下の項目が入っていればいいでしょう。
  ・「テーマ名」「企画作成者」「提出日付」「企画の意図するところ(目的)」「投資内容と金額」
   「予想メリット/デメリット」「導入スケジュール」「特記事項」
  ・例)新店販商品の導入
     「商品の特徴」「予想リスク」「導入準備日程と内容」「PR方法」「導入スケジュール」 「キャンペーン内容」「キャンペーン中の売上目標と原価および利益」
  ・幹部が判断できる材料としての、読み手の側に立った視点で企画書を書き上げます。
  ・ポイントは、幹部に見て欲しい情報と答えが書いてあることです。
ステップ6「決定を得る」
  ・上記で作成した企画書を、幹部の前で説明します。
  ・説明にはプレゼンテーション力が必要です。
  ・気迫と熱意を持って説明して下さい。
  ・企画の採用・不採用・延期・保留などの答えを頂きます。
ステップ7「行動計画を作成する」
  ・企画書には導入スケジュールはありますが、本当に行動に移すには不十分なものでしょうから、再度現場サイドで本当の行動計画を立案し、徹底します。
ステップ8「行動に移る」
  ・そして、この詳細行動スケジュールに沿って行動を開始します。
  ・中間時点ではこの企画のドキュメント(記録)を付けて、幹部会での途中経過報告のために紙面で情報提供すると良いでしょう。
  ・もちろんスタッフにも経過報告することは必要です。
  ・このイベントが終了次第、最終報告も必ずしましょう。

4.企画するためのテクニック

 今までこのメルマガで取り上げてきた技法、テクニック、考え方、まとめ方などを利用して、企画を進めます。
 ここでは、ガイドラインだけにとどめます。各項目の詳細は、過去のメルマガを参照して下さい。
1)本質を捕える
  ・インタビュー技術(相手の意図を聞き出す)
  ・コアとフレーム(目的と手段、原因と現象<結果>の区別)
  ・クリスタライズ(余分な物を取り除いてクリヤーにする)
2)問題解決技法を知る
  ・拡散手法の応用(問題点の発見、アイデアの展開)
      ・ブレーンストーミング、特性要因図、アイデア出し
  ・集約手法の応用(問題点の絞り込み、アイデアの絞り込み)
      ・GT、マトリックス図、各種評価法
3)アイデアの出る工夫を知る
  ・息の合ったもの同士でHighになって話し合う。
  ・組み合せる。(AとBを組み合わせればどうか)
  ・MIXする。(AとBを混ぜればどうか)
  ・便乗する。 (それなら、これもよいのでは...)
  ・強制連想する(関係のないAとBの共通点を見つけ出す)
4)起案書/企画書の書き方を知る。
  ・先を読む力(仮定力)を身に付ける。
      ・日頃からの観察力、ドキュメント力が必要。
  ・シミュレーション力を備える。
      ・そのことがなし得る効果とそのプロセス等について想定出来る力を身に付ける。
  ・文章力を身に付ける。
      ・読み手側の立場で内容を整える。
      ・5W1Hを備える。(Who,What,Why,When,Where,How)

5.最後に

 この企画開発技法は、ワークショップによって実践的に学ぶことが出来ます。
 例えば、まず4~5名のグループに分け、テーマを決めさせて企画書を1時間くらいで書かせ、グループごとに発表させるということを2~3回繰り返すと、すぐ見よう見真似で書き出すことが出来ます。
 後は、その企画をどう評価して採用していくかという方が課題ですね。
 だけど、有り余るやる気を引き出すことは出来ますので、是非あなたのサロンでもやってみて下さい。

6.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回は、「NQ(ネットワーク・クォーティエント、人脈作り)」です。
 人脈つくりのポイントを教えます。
 では、次回もお楽しみに!

ではまた次回お会いしましょう!

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