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キャリアプラン (今後の進路設定)

永年雇用を約束するためには仕組みが必要です。働くポジションを準備しなければなりません。会社がどれだけ親身になってそのシチュエーションを準備できるかに掛かっています。

< キャリアプラン >

1.はじめに

 キャリアプランのキャリアは、Careerと綴りますが、辞書で引く
と「生涯・経歴・履歴、生涯の職業、成功・出世」などと出てきます。
 美容室でキャリアプランといえば、「これからの自分の技術・役職およ
び将来の進路の設計」という様な感じで使います。
 スタッフにおいては、人生設計(ライフプラン)をまず考え、そしてキ
ャリアプランを考えるということが大切です。
 美容業界の特性として、お客様は基本的に女性であり、それに対応する
美容師は女性であるということが根底にあります。
 最近は男性のお客様、美容師も増えていますが、女性割合は6割~9割
はあるでしょう。
 基本的には女性対象の職業であるということです。スタッフも同じ様な
割合で、女性が多いわけです。
 ということは、結婚適齢期になると、これはもう何を置いても、結婚・
出産・子育てということが待っているわけです。
 すなわち、そこで職場は、一旦区切られることになります。私の知る限
り範囲では、そこで90%以上のスタッフは退店することになります。
 上記の様な観点を総合すると、美容室は20~30歳くらいの若いスタ
ッフの職場であるということが言えます。
 これらの内容を前提として基本キャリアプラン、ゼネラリストコース、
スペシャリストコース、出産後の復職、出店支援体制などについて考えて
いきます。

2.基本キャリアプラン

 美容師としての自分を考える上で、まず最初に「なりたい美容師像を明
確に持つこと」、そのためには「今の自分を見つめ、将来の自分を真剣に
想像してみること」が大切です。
 例えば、女性であれば、結婚は外せないですよね。いや、関係ないとい
う人もいるでしょうが、ここでは30歳に結婚し、そのまま退店したいと
いうケースを例にとって考えましょう。
 人生設計としては、美容学校卒業の新卒で入店するのが20歳、そして
退店が30歳となります。
 そして、基本キャリアプランは、この間の実質10年間の計画です。
 個人の計画の概要として、3~4年目でスタイリストデビュー、そして
6年目から2年間はチーフ職、8年目から3年間は店長。給料はアシスタ
ントで15万円、スタイリストで20~25万円、チーフで26~29万
円、店長で30~35万円という様な計画を立てます。
 これは、あくまでもスタッフ個人のプランで、この通り行くという保証
はありませんが、計画を持っているということが大切です。
 サロンとしては、勤務評定基準、技術習得規定、役職規定、就業規則、
慶弔規程、給与規定どを準備しておくことが必要です。
 入店からスタイリストデビューするまでの技術習得カリキュラムをまず
準備します。そして、その技術ランクに対応する名称をつけます。技術ラ
ンクには、こんな名称を使っています。
 メッセンジャー、アシスタント、オペレーター、メインアシスタント、
ジュニアースタイリスト、スタイリスト、デザイナー、シニアースタイリ
スト、アーティスト、アートディレクター・・・・・
 スタイリストデビューまでに何年を要するか?によってカリキュラムの
作り方は変わってきます。
 早くデビューすることがサロンにとっても個人にとっても良い事ではあ
りますが、急ぐ余り、お客様に迷惑が掛からないようにしなければなりま
せん。テストおよび査定の仕組みと、それを給与に反映させる仕組みが必
要です。
 技術と併行して、その技術レベルに合った接客レベルが求められます。
こちらの方の資格に対する向上プランもおろそかにすることは出来ません。
 基本キャリアプランは、この様に店長クラスまでのベーシックキャリア
プランで、基本的にはこの路線を進んでもらいます。

3.ゼネラリストコース

 ゼネラリストコースは、管理者として成長してもらうコースです。
 大方のサロン内の役職(ポスト)は次の様なものです。
 サブチーフ、チーフ、主任、店長、サブマネージャー、マネージャー、
エリアマネージャー、ディレクター、BOSS、オーナー等
 チーフは、店長の補佐としてスタッフの意見・コンディションを把握し
ておき、調整する役目があります。
 店長は、その店の運営を任されているのですから、スタッフのパワーを
100%活かして売上目標を必達することが最優先課題です。
 マネージャーは、トータルにアシストする立場ですから、利益構造を知
り、全体の方向性を間違わないようにリードする責務があります。
 エリアマネージャーは、複数店舗を統括管理し、受け持ちサロンの運営
を任せることになります。
 ディレクターは、より経営者に近い立場でものを考え、指導していく立
場なので、サロン外との接触も広く、大きい視点を大切にします。
 こちらも何の業務・役割がどのレベルまで出来ればよいのかを明確にす
る評価システムを確立する必要があります。
 「あなたの役職の仕事はここまで」と言う限界を与えるのではなく、あ
る程度の仕事のガイドラインを与えて、自分でその役割を作り上げていく
というスタンスが良いと思います。
 ただし、より上の役職者は常にサロンのコンセプトを浸透させる役目を
背負っているという前提条件を満たしている必要がありますね。

4.スペシャリストコース

 スペシャリストコースは、ゼネラリストコースに進みたくなく、美容師
の技術に特化したいスタッフのためのコースです。
 基本キャリアプランの中で、スタイリストになりたくないというスタッ
フが出てきたりします。どうしてもそうしたいという場合は、メインアシ
スタント(スーパーサブ)を任命し、そのスタッフを活かします。
 またスタイリストから成長し、役職に付かせようとしたら拒否するスタ
ッフが出てくることがあります。この場合、あまり押し付けたり、無理を
させると退店してしまうケースが往々にしてあるので、TOPスタイリス
トとして継続させます。
 また、バックステージ・コンテスト・モード作品作りなどのアーティス
ト志向に特化したいというスタッフも出てきます。出来るなら、そのチー
ムを作り、盛り上げていければいいですね。
 さらに、店内インストラクターや外部講師などのコースも設定すれば、
各方面で力を出せるでしょう。
 多くのサロンを経営している場合、仕入れ部門や経理部門などでも働く
ポジションを作れます。

5.結婚~出産~復職

 次は、結婚/出産して復職したいというケースです。
 例えば、「27歳でスタイリストで働いている中、結婚が決まり、当面
は通常通り働きたいが、妊娠したら出産数ヶ月前に休職し、出産後1年以
内に現場復帰したい」というケースを考えてみましょう。
 こういう場合、サロンに復職する場合の取り決めを作っておく必要があ
ります。
 結婚後出産までの勤務条件と給与、復帰後の労働条件の整備が必要です。
 もしまだ決めていないなら、早速いろいろなことを研究してみることに
して下さい。
 産前産後の休暇については、産前6週間、産後8週間が認められます。
 又、産休中の給料については労働基準法に規定がないため、各会社の判
断に委ねられています。無給の会社もあれば、有給で全額支給の会社、有
給でも給与の一部を支給するだけの会社など、様々です。
 ただし、無給の場合でも、健康保険の被保険者であれば、実際に休業し
ている日数分の賃金の60%が出産手当金として健康保険組合から支給さ
れます。
 さて、出産後の復職については、次の様なケースが考えられます。
 産前と同じポジションに戻す、勤務時間を短縮して準社員(パートタイ
マー)的な立場に変更する、店長等の役職・指導的ポジションを外すなど
です。
 それぞれの形に応じた給与体制を整備し、産前産後休暇規定および産後
の復職規定を就業規則・賃金規定に明記しておくことで、スタッフは安心
して働くことが出来ます。

6.出店支援プラン

 そして、出店希望と言うケースです。
 「自分の店を持ち経営したい」という希望を明確にしているケースです。
 スタイリストとして、技術&売上が出来るようになり、固定の指名客様
が付けば、ある程度簡単に独立することが出来るという美容業の特性があ
ります。
 サロンとしても、スタッフの出店意志を確認しておけば、それなりの動
きでサポートしてあげることが出来ます。
 それを自然の流れと認識し、両方がWINの関係を作ってやっていくこ
とでよい状態が保てます。

 出店支援に関しては、次の様なパターンがあります。
(1)「サロン内独立の場合」
 スタッフは貸し出し(または独立店持ち)、経理は親店の勘定という様
に、独立はしているが雇われオーナーというスタンスの店の場合です。
 この場合、経費と親店のサポートをどのように見るかについて細かな取
り決めをしておくことが大切です。
(2)「リース途中の独立」
 リース残が残っていて、その店をスタッフに売却する場合、基本的にリ
ース会社は名義変更に応じないので、契約以降のリース料は本人がサロン
に支払うことになります。家賃は名義変更出来ればOKですが、出来ない
場合は同じくサロンに払います。リースアップした時点で、どの様に契約
を考えているのかの「覚書」を交わしておくことをお勧めします。
 その項目に付いては、家賃の支払い方法、設備・備品・営業権利などを
含む売買契約内容・金額および支払い方法、スタッフの勤務、経理、薬液
材料仕入れ方法等についての記載が必要です。
(3)「リースアップ物件の独立」
 リースが終了しているので、家賃契約に付いて確認し、その他は(1)
と同じ要領で売買契約します。
(4)「フランチャイズ独立」
 フランチャイズ独立に関しては、フランチャイズ契約をします。
 フランチャイズ契約とは、フランチャイザー(親店)とフランチャイジ
ー(契約店)が交わす契約です。
 その契約とは、主に契約店が親店にブランド(ロゴマーク)使用料・ノ
ウハウ供給料・コンサルタント料等に対価するロイヤリティーを支払う事
により成立します。
(5)「完全独立」
 「完全独立」は、資金調達を自分で行い、全く親店との関係を切り離し
独立するケースです。
 この場合、親店との友好関係を保ちつつ、フレンドリー店として今後も
付き合っていくということを続ける方がよりベターです。
(6)「ボランタリー独立」
 完全独立ではあるが、マスメリットを活かすために共同仕入れする方式
です。

7.最後に

 業界的に、なんとなく、美容師は35歳を境として、前線を引いていくと
いうイメージがあります。
 私が依頼されて作る給与の仕組みも、そんなシステムになっている場合が
多いです。
 それなら、「その後はどうなるのだろう?」と考えてしまいますよね。
 「永年勤続を前提とした職場で安定した力を出して働く」ことが望まれま
すね。
 そのためには、サロン自体の環境の整備が先決です。
 現状のスタッフを集めて将来構想、キャリアプランについて話し合ってみ
て下さい。そして、ES(従業員満足)を目指した夢のあるサロンを目指し
てキャリアプラン構築に力を入れて下さい。
 そうすれば、良循環が発生し、もっともっと良いサロンが出来るでしょう。

8.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回は「リフレイミング」です。
 リフレイミングとは、物事の見方、視点を変えて見るという意味です。
 嫌な事、辛い事、しんどい事など、人生にはいろいろな試練が待ち受け
ていますが、そこから何を学ぶのかという様なことに付いて勉強しましょ
う。
 かなりメンタルなお話ですが、きっと貴重な視点転換により、「眼から
ウロコ」状態で、ハッと気付く人があるかも知れませんよ。

チームワーク (チームとして働く)

メルマガ再録 (2006年12月25日) 第32号

チームワークを向上させるには、「優しい気持~目的意識~ノウハウ供給~技術習得~団結力」というサイクルをよく回し、成功例を積み重ねることで促進されます。

< チームワーク >

1.はじめに

 チームワークの良い店とか言いますが、本当にはどういうことなのでしょう?
 「チームワーク」を英和辞典で調べたところ、「協力・共同作業」と出ていました。
 私は、「仲間意識」「協力関係」「団結力」とかの意味だと思っていましたが、良く考えると、チームとワークが引っ付いた言葉なんですよね。
 つまり、チームの仕事、チームで働くということに他ならないわけです。
 だから、共同作業ということです。
 しかし、日常使うチームワークという言葉の意味は、私が思うような意味で使っているひとがほとんどでしょう。ここに何かのヒントがありそうなので、そのあたりから考えてみましょう。

2.レーバーとワーク

 調べ物をしていたら「レーバーとワーク」についての文章を見つけました。
 「人のあらゆる活動の仕方は、観察すると外から見た形は同じでも、二種類の活動に分けられます。
 【レーバー/Labor】
    奴隷的・機械的活動。やらされている気持ちが強い。
 【ワーク/Work】
    人間的・創造的活動。自ら目標を立てて実行できる。
 チームワークは、ワークなのですから、チームでこの創造的活動をしていくということになりますね。

3.チームワークの実効的側面

 また、インターネットにこんな内容もありました。効果を期待するチームワークの発揮の仕方についてよくまとまっている文章なので、私なりの考察(*)を加えながら掲載してみます。
(1)「すべてのチームメンバーが、グループのゴールを理解した上で、ゴールに対するコミットメント(公約)をもっている。」
  *これは、そのチームに与えられたミッションが明確で、メンバ―個人個人もそのミッションを良く理解して、自分のすべきことに落とし込んでいる状態、と言うことですね。
(2)「チームメンバーがお互いのアイディアについて建設的なフィードバックをしている。」
  *効果的・支援的・発展的ミーティングをきっちりしている状態で、ファシリテーション(議事進行)も当然上手に出来ているという状態でしょう。
(3)「グループの業績の基準や方向性に従うことに対して、メンバーが無理を感じていない。」
  *目標およびそれを達成した時の評価・報奨に対して納得している状態です。共通のものさしの目盛がマッチしているということです。
(4)「グループ内のコンセンサス(意思統一)に従うことを強制されるのではなく、反対意見も受け入れられている。」
  *上司・強力メンバーの意見だけが通るという様なチーム運営ではなく、各人の意見を取り入れて、
   全体として意見が反映・調整されたチーム運営が出来ているということです。
(5)「メンバー間に活発なコミュニケーションがみられる。」
  *雰囲気の良いチームであるということです。自由な雰囲気とけじめのあるチーム内組織がきっちり出来上がっていれば、メンバー間の意志の疎通が出来て、心が通うチームになります。
(6)「重要な決定を下すための責任や権利はチーム全体に与えられている。」
  *チームに対するエンパワーメント(権限委譲)の範囲が明確であるということです。細かいこと
   までいちいち相談しないと動けない様では即応性がなく、機会損失が発生することがあります。
   さらにそのチームの機動力を生かすには、決定権がそのチーム内部にあるということは必須条件となります。
(7)「すべてのメンバーが自分の意見を表現できるチャンネル(回路)が開かれている。」
  *全てのメンバーの意見が取り上げてもらえ、それが他の意見と同じ重さで検討してもらえる保証があるということです。また、そんなシチュエーション(場面)をきっちり設けている必要もあります。
(8)「メンバーには、自分の仕事に必要なスキルやトレーニングを受けるチャンスがある。」
  *チームには、メンバーに対し、そのミッション達成に必要なノウハウ供給や技術訓練の場と時間を提供することが求められます。育成と言う意味では、短期と長期の計画が必要です。
(9)「メンバーは全員平等に扱われている。」
  *押しの強い人の意見が通りがちですが、全ての人の意見ウエイトは同等だという思想を持ち、平等に扱うことが必要です。行動1つも、意味があるので、よくその本人の意図を汲み取り理解し、成長につなげます。
(10)「チームリーダーの指示がなくても、メンバーがお互いにサポートし合っている。
  *サポートというのは、言われてするものではありません。上が下の面倒を見る、下が上に対し報告・連絡をきっちりする等々、自主的なサイクルを定着させる風土を作ることが大切です。
(11)「チームの業績と同時に個人の業績も評価されている。」
  *チームの達成度合いは、設定した目標の達成率により図られますが、個人としてもそれは同じです。ミッション達成過程で学んだ事項をしっかり認識し、今後に役立つこととして習得するということにもポイントを置くべきです。
(12)「グループ内で、さまざまな業務を遂行するための責任や役割がはっきりしている。」
  *チームだからと言って、横一列、同好会やサークル的なチーム運営は、順調な時は問題ありませんが、いざ逆風となった時は、力を発揮することが出来ません。縦型組織や、職務分担を明確にすることにより、よりチームが力を発揮することが出来るのです。
 どうですか?
 チームワーク構築のためにかなり内容が濃いものがありましたね。

4.チームワークの精神的側面

 上記項目は、チームの実効的側面(発揮の仕方の工夫)について考察しましたが、この項ではチームワークの精神的側面について考えてみます。
 精神的側面とは、チームメンバーの内面のことで、協力関係を作る源泉であるメンバーの心のあり方はどうあるべきなのかということを考えてみようということです。
 以前、伊藤豊先生が書かれた「美容業におけるコンピテンシー」の中で、先生は、「技術が出来る、接客が出来るという顕在部分は氷山の1角です。本当に出来る人は海中にある潜在部分が素晴らしいのです。」と言われていました。
 氷山の海上に出て見えている部分は全体の7分の1と言われていますから、14%くらいしか見えていないことになりますね。
 つまり、チームで接している日常の部分は14%なわけです。
 ということは、潜在部分をもっともっと大きく、そしてさらに磨けば、14%がもっともっと大きくなり、光ってくると言うことになりますね。
 そこで、チームに対する貢献、チームワークに対する協力の源泉とは何かについて考えてみると、その人の発想の原点に迫っていくことになります。
 「自分が一番」と思っている人は、なかなかしんどいですね。
 メンバー各人が適役と考えれば、全ての人が輝いて見えます。
 相手を尊重し、大切に思う気持が基本にあれば、優しさが湧いてきます。
 「優しさ」が、根本にあれば、チームは素晴らしいものになるのです。
 「それより成果だ」とお叱りを受けそうですが、成果は一時的なものです。一時的な成果は、長続きしないのです。
 「成果」と「優しさ」は相反するように思われますが、決してそうではありません
 優しさ(86%)の上に成果(14%)が乗っかっているのです。
 14%の部分を増やすには、86%の部分を大きくすることが大切なのです。
 この原理がわからないで、14%ばかりに目が向いているチーム(サロン)が多く、前のめりな営業をしているところは、いつまでも人が育たないのです。
 だから、心を磨くことにもっともっと力を入れて欲しいと思います。

5.シナジー効果

 人が寄ると、1+1が3にも4にもなるとよく言われますよね。
 二つ以上の有効なものが重なり合うことでそれ以上の効力を発揮することをシナジー効果(相乗効果)と言います。
 チームワークが良くなると、このシナジー効果が期待できます。
 つまり、チームで考えることにより、思わぬ斬新なアイデアが出たり、チームのモチベーション・テンションが上がり、期待以上の実績が出るなどの現象が現れます。
 団結力は、シナジー効果の最たるものです。
 優しさ、お互いの理解、目的・目標意識の統一、集中実行、フォロー等の段階を経て、チームワークが高まり、個々の能力が最大限に引き出されて目標を達成するという成功までのプロセスがあります。
 この1つの成功体験が元になり、団結力がますます強くなり、次の成功へとつながって行きます。
 良く聞くのが、伏見工業高校の話です。
 とんでもなく弱いチームが、一つの負けをバネにして、高校一番のラグビーチームになるという物語です。
 団結力は何物にも代えがたいものです。

6.最後に

 ここまでをまとめてみると、「優しい気持~目的意識~ノウハウ供給~技術習得~団結力」の流れがチームワークを向上し、仕事の成果を促進させるということです。
 どうすれば、このサイクルがきっちり廻せて、しっかりした成果が出せるのかをみなさんのサロンで、話し合ってみて下さい。
 心をオープンにして、本当に素晴らしいサロン作りに向かって前進されることを期待します。

7.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回は「キャリアプラン」です。
 キャリアプランとは、永年勤続を前提とした各種職務・ポストを準備し、スタッフはそれがあることによって安心して働けるという仕事上の道しるべとなる職業人生計画です。
 CSよりESという今の流れ、日本流の経営スタイルの見直しが叫ばれている昨今において、このテーマは重要です。

人材育成 (無限の可能性を引き出す)

メルマガ再録 (2006年12月11日) 第31号


ティーチング、コーチング、リーチング、躾(しつけ)などを通し、自主自立、自主活性型の人材を育成する方法を説明しています。採用面での活用や指導者の基本姿勢についても考察しています。

< 人材育成 >

1.はじめに

 今回もなかなか大変なテーマですが、今回も頑張って何らかの方向性を示せるように考察してみます。
 人材育成の人材という字を、人罪、人在、人財などと語呂とランクを合わせて用いる人もいます。
 ちなみに、「人罪」は罪な人で組織の害になる人、「人在」はいるだけで役に立たない人、「人材」は人の手、「人財」は役に立ち人的財産となる人と解釈していいでしょう。
 今回は、人財になる前の段階の人を育成するので、やっぱり今回は人材を使いましょう。
 育成とは、広辞苑には「育て上げること」と書いていました。
 「育てる」とは、教え導く、仕込む、しつけるなどとあります。これは他動詞です。「育つ」が自動詞。だから、育てるは、対象者を教え導く、仕込む、しつけるということになりますね。
 さらに、「上げる」ということは、仕上げるということでしょうから、これで良しという目標段階まで行かないといけないわけですね。

2.育成の種類と方法

 一般的に教え育てるには、方法があります。
 まず「ティーチング」です。これは教え込むという意味の教育とそれを身に付くまで繰り返し行う訓練です。学校の勉強やスポーツの基礎などはこれに近いでしょう。
 次に「コーチング」です。これは、対象者の自主性を促す育成の方法で、本人に考えさせ、それをサポートしていく方法です。共育という字が当てはまるかもしれませんね。
 それから、元松虫中学の原田隆史先生が言われている「リーチング」です。これはまだ一般化していませんが、本人が目標とするもの、およびそのプロセスを書き出させ、その目標に向かって行く途中の段階を細かくチェックして、その目標に届けて上げるという様な、目標プロセス管理の方法です。本なども出ているので参考にされれば良いでしょう。

3.躾(しつけ)

 育成して成長するには、結局のところ「優しい」「素直」「正直」であるということが求められます。
 そういう特性がある人は、周りの人に好かれ、可愛がられ、人が寄ってくるという「人徳」を得ます。
 では、そんな子供に育てるにはどうすればよいのでしょうか?
 江戸時代の会津藩の6~9歳の子供を躾けるのに「お話の什(じゅう)」という教えがありました。
   1.年長者の言うことに背いてはなりませぬ。
   2.年長者にはお辞儀をせねばなりませぬ。
   3.うそを言うてはなりませぬ。
   4.卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ。
   5.弱い者をいじめてはなりませぬ。
   6.戸外で物を食べてはなりませぬ。
   7.戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ。
   「ならぬことはならぬものです。」
 最後の「ならぬことはならぬものです。」とは、無条件にこれに従うことであると言うことです。
 要するに、子供の時からの躾がなされていることが一番の要素です。
 この「什の掟」に習って、サロンでも躾を考えてみれば良いでしょう。

4.学ぶ姿勢・教える姿勢

 まず、習う側の姿勢が整っていない(躾が出来ていないと)と、教えても、あるいは持っているものを引き出そうとしても、容易なことではありません。
 習う本人が大事なことは、習う項目を吸収して本当に自分のものにしようとする意欲があることです。受身で習うのではなく、肝心なのは積極的に学ぶという姿勢です。
 躾が出来ていないスタッフに、この様な習う姿勢を持たせるには、指導側の基本の対応に関わってきます。
 指導者が日常から信頼できる人であれば、スタッフは学ぶ姿勢も意欲もしっかり持ちます。
 が、信頼の出来ない指導者からは真剣に習おうとはしないでしょう。
 両者のこの様な基本姿勢がマッチして、教える・学ぶことが成立します。
 この前提条件をまずクリヤーすることで、教育支援は半分以上成功したと言っても過言ではないでしょう。

5.育成を視野に置いた採用

 何かの本で読みましたが、人材という意味では基本的には採用が非常に大切です。
 採用とは、そのサロンが持つコンセプトに同調・共鳴できるかを入り口で判断する仕事です。
 だから、募集広告で、しっかりどんなサロンでどんな人材に来て欲しいかを主張すべきです。
 入り口で何でもありとすると、ベクトルの違う人が入ってきた場合、その人をこちらに向ける教育は大変な力を要します。
 もっとひどい場合は、不平分子となって順調なスタッフまでも蝕んでしまうことになるので要注意です。
 バグジーでは、採用面接で給料などの労働条件を聞くと面接を即中止、また来週に体験入店に来れないといっても即中止です。
 つまり、そういう人材は取らないという姿勢を示していますし、それがサロンのコンセプト(ポリシー)と直結しているので、目指す人材が集まるのです。
 ですが、小さいサロンはまず人手としての人材を欲しいわけです。なので「そんなことは分かっているけど現実は・・・」というケースが多いでしょう。それならなおさら、次の項目が重要です。

6.指導者の基本姿勢

 では、指導的および支援的立場の人が、そのスタッフを育成する時には何からすべきか考えてみます。
 情操教育(躾教育)をする場面では、スタッフから指導者自身の基本姿勢が問われます。
 俗に「あんたに言われたくないわ!」状態になると、教育など出来ません。
 だから、指導者もしっかりした生活態度が問われます。
 そうですよね。指導者がタバコスパスパ吸っていて、お前らタバコ止めろ!って言っても駄目ですよね。
 指導者はそういう意味で、「範を垂れる」ことです。
 「範を垂れる」って昔言葉ですね。これはつまり、自らが実践して模範を示すことです。
 これがなかなか出来ない。
 人を指導するのに、自分はさて置いてとは行かないのです。
 自分が出来ないものをどうして教えられるでしょう?
 自分は出来るから指導・教育できるわけです。
 最近では、コーチングというものが流行っていますが、尊敬出来ない指導者にはついていきません。
 つまり、指導者のベーシック(基本姿勢・躾)が問われています。
 次に、指導者の姿勢です。
 これは、絶対にあきらめない事です。
 その裏付けとして、人材には個人差があることを良く認識していることです。
 指導者があきらめてしまうと、教育指導はそこで終わりです。
 ここでどうするかと言うと、家族主義を持ち出します。
 家族であれば、一生見放さないですよね。

7.適材適所

 あきらめないで指導しても、現実として成長の遅いスタッフはいます。
 さて、それにどう対処するか? これが結構な課題です。
 その一つの解決策として(いや最終手段かな?)適材適所という言葉があります。その人にマッチした働き場所を提供することです。
 この話を詰めると、組織論の方に行ってしまうので簡単にしますが、そのスタッフが100%力を出せるポジションを用意するというものです。
 但し、育成をあきらめたのではなく、より力を発揮できるポジションを与え、またその場での育成を強化すれば良い事です。
 但し、その場合、本人との話し合いを先に良く詰めておかないと、端っこに追いやられたという疎外感を持つことがあるので注意です。
 これは、永年勤続の場合も同じで、キャリアのあるものでも、次の世代にチャンスを与えるという意味で、今のポジションを退く勇気が必要です。

8.環境

 人材育成にはサロンの環境を整えておく必要があります。
 育つ、育てる風土ですね。
 それには仕組みがいるということです。
 いくら本人が頑張ろうとしても、その足を引っ張ったり、冷ややかな目で見るという環境では人は育ちません。
 つまり、サロン全体に人を育成することが大切なんだという雰囲気とそれを具現化したシステムを準備しておくことが必要です。
 一番大切なことは、本人の学ぶ姿勢であることは当然のことですが、その先に何があるのかを見せて上げることです。
 その仕組みには、評価システムと連動した給与システム、自分の力が充分発揮できるキャリアプランなどがその例でしょう。
 また、コンピテンシーモデルを活用し、次のワンランクアップのステップを明確に示して上げることも良いでしょう。
 システムはそれ自体では完全ではありません。人がそれを上手く運用、活用して力を発揮するものです。
 だから、スタッフをシステムと人の温かみでサンドウィッチして、育成していくことがベストです。

9.育成の手順まとめ

 では、育成の手順をまとめてみましょう。
   1.環境を整える
   2.システムを準備する
   3.本人の意向を聞く
   4.サロン側の意向を伝える
   5.目的・目標を設定する
   6.コチーング・OJTなどで育成する
   7.経過をチェックする
   8.方向を修正する
   9.区切りで結果を見て、次の目標を立てる
 と、まあざっとこんな感じでしょう。
 今までこの「心と技のあいだ」で取り上げてきたテクニックを利用して効果的に進めて下さい。

10.最後に

 人材育成について、私流の切り口で考えてみました。
 他の方が言われる人材育成とはかなり違った角度からの考察となっているかもしれませんが、何か参考になるものがあれば嬉しいです。
 システム、環境、人・・・どれをとっても重要な要素です。
 そういう資源を上手く活用して人を育てる。
 先日の講演会で良い言葉を教えてもらいました。
   ダイヤモンドはダイヤモンドでしか磨けない。
   人は人でしか磨けない。
   人は人によって磨かれる。
 誠にそうだと思います。
 だから、磨く人の程度によって磨かれる人のレベルが決まってくるのです。
 だから、磨く人を磨かねば・・・・・
 そういうことを念頭に置いて、素晴らしいサロンを作られることを願っています。

11.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回は「チームワーク」です。
 目的を持ったチームの力をフルに生かすにはチームワークが不可欠です。
 「三人寄れば文殊の知恵」「周知を集める」などの言葉がある様に、人数が集まれば、人数以上のパワーが発揮されます。
 人が集まると「赤信号、皆で渡れば恐くない」という逆の方向へ流れる面もあります。
 そのあたりも含めてチームワークについて考察します。

ポリシーとスタイル (自分らしさの構築)

メルマガ再録 (2006年11月27日) 第30号


「自分の信念(ポリシー)を貫くと、そこに一つのスタイルが構築される」ということです。皆さんも自分の信念を確立し、貫き、「君らしいなあ!」と言ってもらえるように自己研鑽しましょう。

< ポリシーとスタイル >

1.はじめに

 谷口正和さんが書かれた「ポリシーとスタイル」という本を、10年くらい前に読みました。
 なぜか、ピンと来ました。今でも脳裏に焼きついて離れません。
 ポリシーとは「方針、政策、考え方」ということです。
 スタイルとは「個人・階層・社会に特有な行動の仕方や考え方」を言います。
 この2つを合わせて考えると「自分の方針や考え方により、自分の行動パターン・スタイルが確立される」という様に解釈できます。
 ポリシーは「生き方」、スタイルは「生き様」と言ってもいいかもしれません。
 「ポリシーを貫くと一つのスタイルが出来上がる」このことは、当たり前で当然のことですが、私にはなぜか非常に大事なことのように思えるのです。
 では、なぜそう思えるのか、その謎を解き明かしてみましょう。
 今、この文章を書いている時点では、自分では答えを持っていないので、自分探しみたいでワクワクします。

2.私のポリシー

 まず、自分のポリシーを例に上げて確認してみます。
 2005年7月に書いた詩があるので、それを見て下さい。

 (ここから)

 <ダディ詩集№51> 【オレ流生き方】

  経営コンサルタントとして仕事をしている私が言うのもおかしいが夢を持ち、そのために目標・計画を立て、それを日々出来ているかチェックして・・・・・
  仕事モードでは、まったく疲れないのだが、ブライベート、いや個人としてはそれって、正直疲れる。
  「夢・目標・チェック」というプロセスは、それを達成しなければならないという強迫観念が発生し、ややもすると出来なかったらどうしようという恐怖に襲われて本当の自分の力が発揮できないのではないかと思ってしまう

  ではどうすべきか?

  先の方を意識するのではなく、「現実(足元)を見つめること」に力を注ぐべきだと思う。
  少なくとも、自分はそうしている。
  今を軽視して未来に焦点を絞ると、スタート地点が定まらないので、プロセスが成立しない。
  そのせいで、フワフワしている人が多い様に思う。
  もっと今を意識することにより、もっと気楽でフットワークの良い行動が出来て、そして本当に楽しんで目標が達成できる様になるのではないか!

  谷口さんの夢は?と聞かれたら、かなり困る。
  私はあまり明確で具体的な目標を持っていない。
  これは「オレ流」である。

  この生き方、スタイルは変えられない。
  目標を持つことに力が入らないし、そんな必要性を感じない現在の延長線上に答えがあるのは分かっている。
  だから、目標は要らない。
  私自身の視点と焦点と表現が、内的に他と少し違うだけで外(他人)から見たら多くの人と同じかもしれないが、自分ではそう思って生きている。

  これが「オレ流生き方」である。

 (ここまで)

 谷口さんがそういう(詩の様な)スタンスだったとは?、とビックリされる方があるでしょうが、私は至極普通ですよ。
 個人の中に「プライベートモード」と「仕事モード」があるのですが、切って切れない関係にあります。
 仕事モードでは、私は「自分の作り出した情報は出来る限り無料提供する」というポリシーを持っています。
 だから、ホームページや本メルマガで、かなりの情報を公開していると皆ビックリしています。しかし、それが浸透していくと「谷口さんのスタンス」というものが定着して、その人のイメージが構築されて行きます。
 そうすると、仕事がやりやすくなるんですね。これが。
 これは、パーソナル戦略とでも名づけておきましょう。
 まっ、世間ではパーソナルブランディングと言っていますがね。

3.あなたのポリシー

 自分のポリシーとするものは、意外と自分の奥の方にあり、日常は意識していません。
 そうです。それは、無意識の中にあります。
 これの顕在化を試みることで、それが浮かび上がってきます。
 「あなたのポリシーは、何ですか?」と尋ねた時、「人助けです」とか「みんなに感動を与えることです」とか「人の役に立つことです」とか答えます。
 これは、まだまだ本当の自分のポリシーではなく、ポリシーを具現化する手段に過ぎません。
 一番奥底にある自分の生き方について、今一度考えを思いめぐらせて下さい。
 自分の考え方、行動の規範は何なんだろう。何に突き動かされているのだろうと考えてみて下さい。
 深いですよ。多分、底なしだと思います。
 だから、「宇宙は自分の心の中にある」と、誰か偉い方が言われていたのは、本当にそうだと思います。
 結局は、自分が生まれてきた使命(ミッション)がポリシーとつながっているんだと思います。
 つまり、自分の行動の判断基準になるものがポリシーと言っていいのではないでしょうか。
 今回のテーマは、そのポリシーの持ち方、表現の仕方に付いて深く言及するものではありません。
 だからさらっとここは流しましょう。

4.コアとフレームの関係

 ポリシーはコア(真因)で、スタイルはフレーム(現象)です。
 フレームを多く、深く分析すれば、コアに当たるわけです。
 つまり行動がフレームですから、その行動を分析すれば、その人のコアは分かるということです。
 しかし困ったことに、自分の行動と言うものは、自分では主観としてしか捉えられないのでなかなか的を得ないものです。
 客観的に見ようとすれば、他人から自分を見てもらうことになります。
 そういう機会があり、自分を見た正直な意見・感想をもらった場合、これがなかなか素直に受け止められないものです。
 しかし、それは外側からの意見として、事実としてあるのです。
 そこでそれを受け入れられなければ、その貴重な意見はドブに捨てることになります。
 外から見た意見の重要性と言う話では、パーソナルカラー等もそうです。
 自分の好きなカラーと客観的に似合うカラーとは違うと聞きます。
 いくら自分が黄色が好きでも、専門家に見てもらえばブルーが似合うと言われることがあります。
 さて、あなたならどうします。

5.自分らしさの発見

 「自分らしさ」って言葉もありますね。
 「自分らしく生きる」って、少し間違えばわがまま、利己主義って事と同じ様な意味になってしまうので要注意です。
 しかし、本当に自分というものを見つけて邁進している人は素晴らしいですね。
 周囲も認めて、応援したくなりますからね。
 そういう人は、多分一つのスタイルを確立していると思われます。
 立派な生き方をしようとか、偉い人になろうとか、そんな考え方は私は要らないと思います。
 「自分らしく」生きること、それが大切です。
 では、自分らしさってなんでしょう。
 それがはっきりしないと、自分の人生の方向が定まりません。
 自分の思う「らしさ」と、他人が見る「らしさ」には、一致する部分もありますが、「えっ、そんな風に見えてるの?」って部分もあります。
 これって参考になりますよね。
 「谷口さんらしいなぁ」といわれることは、周囲がそういうイメージで見ているということです。
 自分が思っているイメージと違っていても、そう見えてるんなら、それを活かそうとするか、それを否定してあくまでも自分の主観で生きようと執着するかによって、それ以降の人生、大きく変わってきますね。
 これは、生き方の問題ですからどちらともいえませんが、その自分らしさの追求は、今回のテーマに深く関わっていそうです。

6.ISM

 ものの特性を表すのに「~イズム」という言葉があります。
 既に「らしさ」を確立して、スタイルを確立し、広く認知された場合は「~イズム」として、公言されていますね。
 しかし、そこまでいくには相当の実績と年月が掛かりそうですね。
 ちなみに、「谷口さんらしさ」とか「谷口ISM」について、自己分析&周囲からの分析をしてみると、いろんなことが出てきて面白そうですね。
 一度、やって見て下さい。

7.スタイル

 自分のスタイルを分析したことがありますか?
 その人の考え方・生き方は服装や人相に表れます。
 自己主張のある人は、それなりの格好をしていますよね。
 芸術家の先生とミュージシャンでは大違いですね。また、経営コンサルタントとアパレルの店員さんではこれまた両極端かも?
 しかし、ヨサコイなどの踊りでチームをまとめている今村克彦さんみたいに、教師(共育者)でありながら暴走族のリーダーみたいな格好をしている人もいますね。
 今村克彦サイト・・・http://www.pta-ing.com/
 彼は、彼流のポリシーがきちっとあります。そして、あれが彼のスタイルなんですね。
 そういえば、バグジーの久保華図八先生も、以前はバミューダズボン(7分丈)にビーチサンダル、アロハシャツと言ういでたちでしたね。
 それはやはりポリシーがあって、自分とスタッフの間の誓いとして、自分が改心前の悪い自分に戻らないためにそうしていると言われていました。
 その形をしているということは、そこに信念があるという事でしょう。
 自信がないから皆と一緒の形をする(流行を追う)というのは、そこに主張がなく、弱いということでしょうね。

8.最後に

 いろいろなキーワードを出して分析してきた経過により、かなり今回のテーマの謎が解けてきました。
 「自分の信念を貫くと、そこに一つのスタイルが構築される」ということですね。
 そういう人生を歩もう!ということです。
 皆さんも自分の信念を確立し、貫き、「君らしいなあ!」と言ってもらえるように自己研鑽して下さい。
 それに対し、このメルマガ「心と技のあいだ」が何らかのお役に立てれば幸いです。

9.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回は「人材育成」です。
 「人材」を「人財」に育成するポイントを考えます。
 スタッフを抱えると必ずこの課題にぶつかります。
 私の目から見た「育成」に付いて、考察してみます。

信頼の経営 (信頼の構築の仕方)

メルマガ再録 (2006年11月13日) 第29号


信頼の基本は、コミュニケーション(意思疎通)です。お互いが見えているという「透明性」をもって経営にあたり、お互いを信頼することから基盤を構築しましょう。

< 信頼の経営 >

1.はじめに

 「信頼の経営」、これはまた大層なテーマを取り上げてしまったものです。しかし、なんとか解釈しなければ、、、、
 ということで、私の経験の中から信頼の経営に関する内容を引っ張り出してきて書いてみます。
 信頼の経営に関する要素は、大きく分けてサロン内では「オーナー、幹部、スタッフ」、外では「お客様、美容業界、美容関係者、出入り業者、地域社会」の8つ要素の間の信頼関係を解き明かすことで何かが見えてくると思います。では早速取り掛かりましょう。

2.オーナーの資質

 まず、オーナーの資質について考えてみます。
 サロン(会社)は、オーナーの資質で全てが決まります。
 オーナーがいい加減だと、幹部・スタッフはそれを見習ってしまい、そんなサロンが出来上がります。オーナーが天狗になったり、横柄であったり、これで満足という姿のロンの成長は、底が見えます。
 逆に、オーナーの人格が尊敬に値するものであり、勉強熱心で、人間愛に溢れ、本当に部下を信頼して任せているサロンなら、サロンの成長は間違いないでしょう。
 ではなぜ、そうできないのでしょう。
 結局は自分への「甘え」です。
 「仕事はお金儲けの道具」としか考えていないオーナーは、スタッフの成長などには一切興味がありません。
 一方、「仕事は人生を磨く場である」と捉えているオーナーは、お金儲けは後に付いてくるものという解釈になり、まず人を育成します。
 ちょっと余談ですが、英語の「エデュケーション」(教育)は、ラテン語の「エドゥーコー」に由来し、元来“外に引き出す”の意味だそうです。
 人間、誰にも煩悩があり、それに惑わされることもあります。しかし、それにばかり引きづられていてはTOPの責任が果たせません。
 それを打破するには、甘える心に打ち勝ち、自分の心を豊にするための勉強が必要です。
 オーナーの資質がサロンの方向性を決定し、幹部・スタッフの人生までも方向付けしてしまうということを肝に銘じて、勉学に励むことが望まれます。
 つまり、この人に付いて行きたいというオーラを放つくらいにならないと、信頼性は発揮できないのです。
 信頼の基本は、コミュニケーション(意思疎通)です。
 お互いが見えているという「透明性」をもってサロン経営に当たり、お互いを信頼することから基盤を構築しましょう。

3.オーナー&幹部

 では次に、オーナーと幹部の間の信頼性について考えます。
 この間のチームワークが良くないと、サロンの方向性がグラつきます。逆にこの間の連携が上手く行っていると、本当に凄い力を発揮します。
 オーナーと幹部がしっくりいっていないサロンは、どうしようもありません。同じ方向に向かって歩調を揃えるのは、「夢・志の共有」しかありません。
 そのためには、日頃の話しこみが大切です。そして、中長期計画などの立案のために泊り込んででも意見を交換し、一つの方向に向けて調整します。
 特に、幹部に対してはエンパワーメント(権限委譲)が効力を発揮します。権限の及ぶ範囲と深さを話し合って決めます。
 こういった日常からの積み重ね、報連相が信頼を築きます。
 下のスタッフが、「上がバラバラやからやってられないわ」と言う声が少しでも聞こえたら大変です。相当の不満が溜まっています。
 その声に耳を傾け、謙虚に深く反省して、一丸となった経営を目指して話し合ってください。

4.オーナー&スタッフ

 オーナーとスタッフの間でよくあるのが、オーナーが直接スタッフに指示を出したり、丸秘情報を流したりと言う問題です。
 直接指示を出すオーナーに限って幹部への事後報告はありません。
 そういう時は必ずトラブルになります。
 幹部が、「なぜそうしたの?」ってスタッフに聞くと「だってオーナーがそれで良いって言いました」ってなことが発覚し、幹部は「もういらんこと言って!」とオーナーを信用出来なくなるのです。
 また、給与や人事のまだ検討中で、流してはいけない情報がなぜか下のスタッフが知っていることがあります。
 これは、幹部が流してしまうこともありますが、うっかりオーナーが流してしまっているケースもあります。
 オーナーは、割合特権意識が強く、「これくらいは」という安易で何気ない感じや、「別にいいだろう」という比較的、わがままな意識を持った人が多い様です。こういうタイプのオーナーは特に注意です。
 オーナーはスタッフに向けて、言わないといけない事、言ってはいけない事に付いて、再度認識を新たにして下さい。

5.幹部&スタッフ

 幹部とスタッフの間での問題は、幹部が情報を正確に下に伝えていないということが多くあります。
 例えば、幹部会で決定したことを各店に持ち帰って伝達すべきことがあった時、次の様な悪いパターンで伝えるということがあります。
   1=伝達を全く忘れている
   2=トーンダウンして伝える(熱意がない)
   3=自分の感情を入れて内容を曲げて伝える
 この様に、情報の伝達に関してもしっかり認識しないと、正確に伝わらないということを再認識してください。
 こういうことでトラブルが発生することもしばしばあるので要注意です。
 また、下のスタッフの情報が幹部に伝わって来ないというのも問題です。
 そういう場合はスタッフが悪いのではなく、幹部が聞く耳を持っていない、つまり、幹部は下が話しにくいオーラを放っているということです。
 だから、常に幹部はスタッフに心を開き、良い環境を与え続けなければなりません。そうすることで、情報の循環が良くなり、信頼のループが回転し出すのです。

6.サロン&お客様

 サロンとお客様の間の信頼は、今や平等なサービスをするのではなく個別のサービスをすることに注目点があります。
 顧客ではなく、「個客」と言う字を当てはめますが、まさに現在のサービスはそのレベルまで高まってきているのです。
 お客様の信頼を得る最大のポイントは、「今まで行ったサロンの中で一番自分のことを分かってくれた。そしてそのことに対して又来たいと言うレベルの技術・接客をしてくれた」ということに他なりません。
 要するに、お客様の期待を超えるサービス、これがポイントです。
 もう一つ肝心なことは、サロンが発信するサロンコンセプトです。
 これが新規の方にアピールする信頼性の表現ですから、それを工夫してきっちりお知らせすることが大切でしょう。そして、そのコンセプト戦略によりブランドイメージを確立し、信頼性を確固たるものにしていく作業が必須でしょう。

7.サロン&美容業界

 美容業界に対する信頼度の向上は、何かを発信し続けているということでしょう。
 新作スタイルであったり、各種コンテストへの出場、フォトコンテストへの挑戦、雑誌媒体への投稿、講師活動などなど、いわゆる美容業界に対するアピールの方法はいろいろあるでしょう。
 これらに関しては、そのイベントに強いメーカー、ディーラーなどがあるので、付き合いは良く考えて行うことが大事です。
 例えば、美容雑誌への掲載を定期的に続けていれば、それを見る美容学生へのアピールが高まり、採用活動に有利であるという実績があります。
 合同就職案内などの時のギャザリングなどでも、学生さんに対する信頼度の見せ方は工夫が必要です。そういうことも考えて、資料作りします。

8.サロン&美容関係者

 次は、美容ディーラーとの関係です。
 ディーラーとの関係は上記にもありますが、何でも相談する事がポイントです。
 ディーラーは、サロンのお役に立ち、売上を伸ばして取引量を多くしたいという目的を持っています。これは当然のことです。
 だから、こういう動きを活用して、何でも相談する事です
 良ければ、ミーティングにも入ってもらい、いろいろ助けて頂けることはお願いすればよいのです。
 一方、ディーラーは口ばっかりとか、他言するからというイメージを持っていると、いつまでもうまくいきません。
 お互い信頼して対等に取引することでギブ&テイクの関係が成立します。

9.サロン&出入り業者

 メーカー、ディーラーの他に、出入り業者にはこんな方達がいます。
 はさみ屋さん、内装業者さん、郵便屋さん、宅配業者、電気工事屋さん、花屋さん、ガス屋さん等々、いろんな方がサロンには出入りしています。
 この方達を大切にします。
 「バグジーでは年末にはこの人たちに感謝状を贈っています。そうすると、あの店は親切だということで家族の方に話が回り、奥さんや家族の方が来店されるんですよ」と久保先生は言っておられます。
 誰だってそんなことをしてもらったら悪い気はしませんよね。
 そうできる心の余裕が信頼を生んでいるのでしょう。

10.サロン&地域社会

 店の前の掃除や、町内会への協力はサロンとして当然出来ることです。
 それをしていないサロンが多いようです。
 店はその地域のお蔭で営業させて頂けているのです。
 それを忘れて慢心してはいけません。
 地域に貢献してこそ、認められるのです。地域との信頼の輪作りに精を出してください。
 一度良い循環が始まると、凄く楽しくなります。
 きっと、その良い循環にお客様も誘われて、来店されることでしょう。

11.最後に

 今回は、信頼の経営ということで信頼の構築の仕方を多方面から考察しました。
 最後に、何より本音で話せるサロン作りをして欲しいですね。
 建前は少しは必要な部分もありますが、本音で話しが出来て、同じベクトルの同じトーンのスタッフ全員でサロンが運営出来れば、毎日サロンに行くのが楽しくて仕方ないでしょうね。
 そんなサロン作りを目指して、信頼の経営を展開して下さい。

12.次回案内

 では、次回の案内です。
 次回は、「ポリシーとスタイル」です。
 ポリシーを貫くとひとつのスタイルが出来上がるというテーマです。
 あなたは、自分なりのスタイルをお持ちですか?

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