メルマガ再録 (2006年8月14日) 第23号
改善ストーリーとは、提起された課題(問題)に対し、一連の流れでその対策・解決策を考えようという取り組みの手順/方法です。パターンを覚えれば、全ての課題へのアプローチが可能になります。
< 改善ストーリー >
1.改善ストーリーとは?
改善ストーリーとは、提起された課題(問題)に対し、一連の流れでその対策・解決策を考えようという取り組みの手順/方法(メソッド)です。
断片的な思考法ではなく、いろいろな手法を駆使して、トータルに答えを求めようとする問題解決技法です。
改善手法の基本パターンを知り、自分のスキルにすると、社内コンサルタントとしても活躍できます。
このスキルは、どんな場面でも適応できるので、この基本ストーリーを知ることにより、安心して問題解決に取り組むことが出来ます。
第7回のワークデザイン的アプローチや第13回のファシリテーション等で習った手法などを前提としますので、思い起こしつつ読んで下さい。
2.5W1Hの弊害
皆さん良くご存知の5W1Hについて、15年ほど前に考えたことがありました。
「5W1Hの中に、目的を聞く言葉が無い!」「Why(なぜ)はあるのに、Want(どうしたい)というキーワードが抜けている!」
この時は、自分では世紀の大発見!と、自画自賛しました。
それは、今考えると、アドラー心理学で言うところの原因論(Why)ではなく、目的論(Want)をキーワードにすべきであるということに他なりません。
~~したいから人間は自発的に動く、自分の考えたイメージがあるから目的に向かい進むという真理は曲げようが無いものだと思います。
目的を決める時の参考にして頂ければ嬉しいです。
3.改善ストーリーの全容
基本は「PDCA/PLAN~DO~CHECK~ACTION」ですが、私が重視しているのは、次のストーリーです。
A.対策・改善計画立案(KAIZEN PLAN)
・目的=合意形成された対策の立案
・目的確認~課題明確化~データ分析~改善(対策)案立案~評価~実行案確立~概略取組み日程
B.実行計画(DO PLAN)
・目的=対策、実行計画、フォロー計画の共有
・概略実行計画~詳細実行計画~日常のフォロー&チェック計画~結果発表(共有)計画
C.実行&フォロー(CHECK&ACTION)
・目的=実行結果はチェック&記録によってのみ明らかになる。OJTによる教育推進。
・実行者~実行内容~実行時期~実行報告~チェック支援体制~修正アクション
D.結果の共有(SHARE<シェア>)
・目的=対策~行動結果の発表会等による結果の確認と共有
・実行経過報告書(対策前後&目標比較)~プレゼンテーション
E.進化テーマの設定(NEXT STAGE)
・目的=さらなるレベルアップを目指して次のテーマを選択する。
・そして、「A.対策・改善計画立案」に戻る
上記で特に重要な項目は「B.実行計画」と「D.結果の共有」だと思っています。その理由は後ほど。
ではまず、「A.対策・改善計画立案」から説明します。
4.「A.対策・改善計画の立案」のポイント
「A.対策・改善計画の立案」は、次の11項目から成り立ちます。
1)要望まとめ
・「何をしたいのか」に焦点を絞る。
2)キーワード化
・要望を、意見が展開し易い様な上手いキーワードにまとめる。
3)特性要因図作成
・特性要因図やイメージMAPなどで要因をリストアップ。
4)検討一覧表作成
・特性要因図、イメージMAPの全項目を一覧表にリストして、「大項目/小項目/ヒント/どう
いう状態なら満足があるのか/そのためには何をどうすればよいか」のタイトルを記入して一覧表を作成。
5)理想型作成
・「どういう状態が理想か?満足があるのか?」を検討~記入。
・現状にとらわれず出来るだけ理想型を書く。
6)問題発見
・理想に対し、現状はどうかを検討する。(否定形の表現)
7)課題発見
・そのためには何を課題にすれば良いかを検討
・検討一覧表の「どういう状態なら満足があるのか」を受けて、現状を描きながら、問題点をクリアーにする。
・課題化するには、問題点の表現を逆転する。(肯定形の表現)
(例)似合っていない←→似合っていればよい
8)工夫・改善・対策案立案
・課題を達成するためのアイデアを絞り出す。
・コンセプトシンキング、アナロジカルシンキング、ワークデザイン的思考法等を駆使する。
9)評価する
・本当に使えるアイデアは何かを見極める。
A.費用もかからず、すぐに出来るもの
B.費用が掛かったり、周りの調整や会社の許可が必要等の条件があり可能だが時期を要するもの
C.アイデアとしては良いが実行に対し長期的な検討が必要なもの
10)実行案を作成する
・上記で評価され、実行計画に値する案のみを列挙して、しっかりした実行案に叩き上げる。
・実行計画で大切なのはA→D変換と担当者&チェック者の決定
11)概略取り組み日程作成
・行動項目/概略日程を示すガントチャートを作成し、実行案を時系列で記入する。
(マスタープラン)
5.「B.実行計画」のポイント
一般的に言って改善案までは頑張って考えますが、実行計画が弱いです。
改善案が出来たら実行出来たくらいに思っている節があります。
現場では必ずと言っていいほど、実行の過程で思わぬことが起こるものです。その不測の事態に備えての計画が出来ていません。
だから、そうなった時の対応体制をしっかり決めておく必要があります。
さらに、目標達成のためには実行計画に対する日常の地味なフォローが大切です。その方法についても併記します。
6.「C.実行&フォロー」のポイント
実行に関して、最大のポイントは「あきらめないこと」です。
必ず答えはあります。注意深く観察し、目的意識をしっかり持って事に当たれば、必ず良い結果が得られます。観察眼を養いましょう。
実行者とフォロー者が役割を分担して、きっちり任務を遂行すれば必ず結果は出ます。
修正アクションが必要な場合はすぐに対処します。
実行したという結果はチェックと記録によってのみ明らかになります。実行しっぱなしでは無く、必ず記録(エビデンス)が必要です。
結果の共有をするために必ず実行記録を事前に細かく積上げておかないと後で困ります。経過を作る事は出来ません
だから、記録を残すということを意識しながら進行することが必要です。
7.「D.結果の共有」のポイント
あくまでも、こう取り組んでこうなったという報告が共有化されていないと、次の進歩がありません。
だから、初めから発表報告するということを前提に、取り組み前から考えておくということが必須です。
そうすると、ノウハウがどんどん積り、数年で他のサロンを追い抜くことが出来るでしょう。
恥ずかしがらずに、発表の機会を頻繁に作ることが成長の近道です。
オーナー自身が恥ずかしいからといっていては話になりません。
こういう環境を与え続ければ、そうすることが当たり前になり、習慣化されて立派な人材が近道で育ちます。
OJTスタッフ教育を併用した効果と言えるでしょう。
8.「E.進化テーマの設定」
ここまで来れば1レベル向上です。
次に新しい課題を設定します。
世の中の動き、業界の動き、近隣の動き、スタッフのレベルと意見、幹部の想い、今回のテーマの仕上がり等々を加味して、次のWantを決めます。
後は、「A.対策・改善計画の立案」からの繰り返しです。
テーマによってサイクルが長いものと、短いものがあります。
長いものはフォローが甘くなりがちです。しっかり支援体制を守って、目標達成に向かいましょう。
9.改善ストーリーの例
(シーン)「待合の改善」、(サブタイトル)『時間が気にならない楽しい待合作り』をテーマに、一例を挙げてみましょう。
A.対策・改善計画立案(KAIZEN PLAN)
1.大場面の設定
・「受付」
2.小場面の設定
・「待合中」
3.定義(どういう状態が理想的か?)
・「待ち時間が楽しい」
4.現状の状態
・「ほったらかし」
5.問題点(その差は何か?)
・「楽しめることを提供できていない」
6.課題(どうすれば出来るか?)
・「楽しいことを考えて提供する」
7.対策案(何をするか、いろいろな案を列挙する)
・「各種案列挙」
8.絞込み(対策案の中から、直ぐ出来て効果的と思われるものをまず選ぶ)
・「クイズを出して、正解ならチョコレートをプレゼントする」
B.実行計画(DO PLAN)
9.実行案(いつまでにするか?誰がするか?)
・「来週火曜日からスタート。担当者は山田。」
10.フォロー案(いつフォローするか?フォロー者は誰か?)
・「再来週チェック。チェックフォローは吉村。」
11.実行(実行案を実行する)
・「景品を購入し、実行に備える」
・「実行スタート」
C.実行&フォロー(CHECK&ACTION)
12.フォロー(フォロー者が実行者に計画通り実行したかを聞く)
・「吉村=計画通りに出来ましたか?」
・「山田=出来ました。」
13.評価チェック(出来栄えはどうだったか?狙い通りだったか? 感想も聞く)
・「吉村=出来栄えはどうでしたか?」
・「山田=正解の時は良かったのですが、不正解の場合に寂しそうなのが気になりました。」
14.修正アクション(修正・追加アクションを考え、狙いの効果が出るまで繰り返す)
・「不正解の場合に寂しそうということで、不正解者にも何かプレゼントする。」
・「アメに決定」
D.結果の共有(SHARE<シェア>)
15.情報共有(皆で状況を把握する)
・全体ミーティングで、「途中~~という困った問題も起きましたが山田さんの気転の効いたアイデアで上手く行きました。」
・一同拍手!
E.進化テーマの設定(NEXT STAGE)
16.次のテーマの設定(よりレベルの高いテーマにチャレンジ)
・「次は、顧客感動をテーマに何か自分達のレベルで出来ることを考えてやってみましょう!」
10.最後に
過去のメルマガのノウハウ総動員という感じの内容になりましたね。
そうなんです。
確かに、ノウハウというものは、単独では意味をなしません。連なっているから、次から次への展開に対応できるわけです。
会社の運営会議、開発会議、プロジェクト会議、クレーム処理会議、スタッフミーティング、どれをとってもテーマ・内容は日々変わっています。
しかし、この「改善ストーリー」はどんな課題にも対処できるの万能の手法です。
集大成としての改善ストーリーを本当に使えるものにし、自分のツール、スキルとしてフル活用して下さい。
11.次回案内
では、次回の案内です。
次回は、「組織論」について説明します。難しそうなタイトルですが、組織とは何か、何を大切にすべきかを考えてみたいと思います。
次回もまたお役に立てるメルマガを目指して、作文します。
応援よろしくです。
ではまた次回もお会いしましょう!
メルマガ再録 (2006年7月24日) 第22号
メンターとは、相手が自発的に自らの能力と可能性を最大限に発揮できるように支援できる人です。相手をやる気にさせる究極のリーダーといえるでしょう。
< メンター(支援者) >
1.メンターとは?
前回の前文で紹介した、次回感動セミナーにご登壇頂く福島先生の著書から、メンターとは何かについての文章を抜粋します。
「メンターとは、相手が自発的に自らの能力と可能性を最大限に発揮する自立型人財に育成することが出来る人。他人をやる気にさせる究極のリーダーです。『見本』『信頼』『支援』という3つの行動基準こそが、メンターとしてのノウハウの全てです。」と書いておられます。
今まで、メンターという言葉は知らなかったですが、私もコンサルタントとして15年やってきた中で、少なからずメンターという面も自分にはあるなあと思い、それを考えてみる良いチャンスとして、今回このテーマに取り組みました。
今回は上記の文章から「見本」「信頼」「支援」という3つのキーワードを取り上げ、あくまでも私流にメンターについて考察してみたいと思います。
ちなみに、今回参考にさせていただいた文献は以下の2冊です。興味のある方は、是非読んでみて下さい。
①「メンタリング・マネジメント」福島正伸著、ダイヤモンド社
②「会社の元気はメンターがつくる」福島正伸著、ダイヤモンド社
メンター、コーチ、トレーナーの立ち位置を少し整理しておきましょう。
○メンター ・・・自発性を持たせる人、やる気にさせる人
○コーチ ・・・本人の能力・特性を引き出す人。
○トレーナー・・・訓練により特性を伸ばす人。
メンターは、より心寄り、トレーナーはより技術寄り、コーチはその中間ってな感じですかね。
要するに、メンターは「メンターから支援を受ける人(メンティーまたはプロテギーという)の自発性に訴え、自分から動くという姿勢に気付かせる人」と言うことになるわけですね。
2.「見本」
まずメンターの第1要素としての「見本」について考えてみます。
見本になるということは、簡単に言えば、「相手を○○したければ、まず自分が○○する」と、サンプルになることです。
○○の部分にいろいろな言葉を入れてみてください。
「やる気」「本気」「感動」「夢を持たす」「不平不満を言わない」「プラス思考」・・・
相手は自分を映す鏡です。相手が動かないのは自分が動けていないからです。相手を見れば自分が分かります。いわゆるミラー現象です。
だから「人の振り見て我振り直せ」ということわざがあるのです。
自分を客観的に、冷静に見ることが出来れば、意外と「もっとこうしたら良いのに!」とか、「それは駄目でしょ!」とかが分かりやすいかも知れませんね。
「見本」という意味には、「相手を見本とする」ということと、「自分が見本になる」という二つの意味があると思います。
だから、自分の生き方は、自然と見本になっているのです。
自分の背中を見せて育てるということです。自分の行動は周りから見られています
だから、自分の生き方そのものを見せるという意識を持ってやっていくことが非常に大切な要素となるわけです。
ある先生に、これからのリーダーは、私生活までオープン出来るくらいの者でないと付いてこないよと言われました。
「矢は自分に向いている」という意識が自分を育て、同時に相手にもそれが伝わり、教育となるわけですね。
3.「信頼」
「信頼とは、要求したことを確実に実行してくれると信じて、安心して任せる、あるいは依頼することです」と、㈱武蔵野の小山社長は書いておられます。
相手を信頼出来ないと相手はどうなるでしょう。
相手の期待に応えるどころか、自分の殻に閉じこもり、どっちでもいいやっという投げやりな気持ちになるでしょう。
では、信頼するとどうですか?
開放感を持ち、可能性を最大限に発揮し、期待に応えようとします。
この様に、相手を信頼するということは、その本人のパワーを引き出す力になるということです。
なぜでしょう?
多分、信頼=安心=人間が本来持っている潜在意識に訴えかける=潜在パワーが発揮される、という図式になるのではないでしょうか。
信頼関係を構築するには、自分の都合よりも、相手の都合を優先するということが大切です。
3年ほど前に、北九州市の美容室バグジーの久保先生に会いに行ったことがあります。
先生は、初対面の私達のために午後2時から夜中の1時まで、ずっと付き合って下さいました。あの忙しい先生が、私達2人だけのために11時間を一緒して下さったのです。何よりも先生の、人に対する姿勢にもの凄く感動しました。きっちり正面を向いて話するという先生の姿勢は、私に絶大な信頼感を与えました。
つい忙しいと半分くらい仕事に意識が行ってしまい、正対しているその人を軽くあしらってしまう人っていますよね。あの人種、私、駄目です。その人の底が見えてしまいます。
だから、絶対、今話をしている相手を最重視するという姿勢・習慣が必要です。そうするとミラーの法則で、相手も真剣になってくる。そこに信頼関係が自然と生まれる。
私は、FISHでもそのことを学びました。
フィッシュ哲学は、次の4項目からなっています。
①仕事を楽しむ
②お客様を楽しませる
③お客様に向き合う
④自分で態度を選ぶ
この「③お客様に向き合う」が、相手に正対するという内容です。
FISHは、魚市場の若者達の話ですが、考え方、姿勢によってどんな仕事も楽しく出来るというお話です。
他のお客様も周りにはおられるが、一度目が合えば、その本人と二人きりのように話をする。それにより、真剣さ、信頼を感じさせるという内容です。
やってみると、これがなかなか出来ない。
しかし、意識してこれが出来るようになると、相手とのコミュニケーションは飛躍的によくなります。
私も、このことについては常に心して久保先生とFISHを見習って実践しています。
信頼関係は、相手をやる気にさせる魔法の力を持っているのです。
4.「支援」
「相手の成果が出ないからと言って、途中でやめることは支援ではありません。支援の目的は相手をやる気にさせることであり、その活動としては相手に尽くすことです。支援において大切なことは、相手を思いやる気持ちです。」と福島先生の本にあります。
本人の力を信じて、援助し続けることが大切です・・・これがなかなか出来ないんですね。どうしても何で出来ないのか?と注意をしたり、すぐ教えたり、管理をしたくなりますね。それは、支援し続けるということにはならないのです。相手の自発性を促すことがポイントなので、管理してしまってはメンターにはなれないのです。
私は、それぞれの人はそれぞれ顔・形が違うように、違う個性、特性、能力を与えられてこの世に送り出されたという視点からものを考えています。
こう考えると、画一的に指導・教育するのはおかしいと思います。個人個人に適した支援の方法があるように思います。
メンターは、ある時はサポーターとして、ある時はバックアッパーとして、またある時はコーチとして、その本人に対し、無償の支援をし続けることが最も重要な要素です。
だから、まず何よりもメンターが本気になって支援するという構えが大切です。
支援された本人は、そこまでしてもらって申し訳ないという感動を受け、最後には本気に火が付くというプロセスになっていくわけです。
支援のプロセス/テクニックには次の15項目があります。
1)聞く「あなたの話を聞くだけで学ぶことが多くあります」
2)相談に乗る、一緒に考える「一緒にこの問題を解決しましょうね」
3)述べる「私ならこう考えます。私ならこうします。」
4)助言する、提案する「この様な考え方もあります。」
5)教える、指導する「例えればこの様なものです。」
6)語る「私もこんな体験をしました。」
7)励ます「私はあなたがどんな状況になったとしても応援し続けます。」
8)誉める「まさか、ここまで出来るとは思いませんでした。」
9)感謝する、感動する「ありがとうございます。感動しました。」
10)委任する「失敗しても構いません。失敗から学ぶことがたくさんあります。それから学んでいけばいいのですから。」
11)促す「やらずに後悔するよりも、やってみましょう。」
12)導く、体験させる「私がここまでやります。その後で、あなたはここまでやってみてください。」
13)出番を作る「私は今日からあなたが成功するまで、毎日励ましの手紙を書き続けます。」
14)提供する「必要な物があれば言って下さい。(最小限)」
15)そばにいる「大丈夫ですよ、ずっとそばにいますから。」
要するに、相手を本気にさせることです。
本気モードに突入したら、後はそれをキープするように支援していけばいいのです。
相手をその気にさせることって、とっても難しいことです。
そのためには、自分がまず本気になること。
それはそうですよね、相手だけその気にさせて自分はしらけているなんてあり得ないですよね。
これも、結局は自分磨きのテーマですね。
5.最後に
今回は、メンターという新しい領域にチャレンジしたので消化不良気味ですがお許し頂きたいと思います。
自分がやっているそのものなのですが、文字にするのは大変難しいテーマです。
福島先生の受け売りになってしまった感があるのは申し訳ないですが、少しでも、メンターの役割って大切なことだなぁと感じ取って頂ければそれで今回のテーマは良しとしましょう。
メンターが出来るようになれば、自主活性型サロンの構築、エンパワーメントされた組織は、グッと近づきそうですね。
今後、サロンにおけるメンターの育成は欠かせないでしょう。
今回のこのメルマガがそのきっかけになれば幸いです。
最後に、そんな話をして頂ける福島先生に9月25日のCKEN感動セミナー最終回にご登壇頂きますので、是非足を運んで下さい。
6.次回案内
では、次回の案内です。
次回は、「改善ストーリー」について説明します。
改善のステップを細かく解説します。
お楽しみに!
ではまた次回もお会いしましょう!
メルマガ再録 (2006年7月10日) 第21号
責任と自覚の上において権限を相手に与えることです。権限と環境を得た本人は持っているパワーを全力で発揮するようになり、組織はますます活性化します。
< エンパワーメント(権限委譲) >
1.エンパワーメントとは?
「エンパワーメントとは人にパワーを与えることではありません。人には本来、知識や意欲と言う形のみなぎるパワーが備わっていて、最高の仕事をしようとするものなのです。エンパワーメントとは、このパワーを引き出すことです。」―――『1分間エンパワーメント』より
辞書でエンパワー(empower)を引くと、「・・・に権限を与える、権力を委任する、~~に~~する能力を与える」となっています。
つまり、権限を持たせることにより、もともと人間が持っている能力をより発揮できるように環境を作ることがエンパワーメントに求められる基本要素なのですね。
組織において、一人一人のパワーを活用・発揮させようとするならば、このエンパワーメントという考え方は必須の項目です。
自主活性型サロン作りも、コーチングも、メンタリングマネジメントも同じ方向を向いています。
心の時代の経営が問われている今、大切なことは個々の特性を最大限に生かした人材の活用と組織作りです。
それにマッチしたこのエンパワーメントというノウハウを是非習得し、お役に立てて頂きたいと思います。
2.問題点
では、いきなりエンパワーメントするぞって言ってそれを始めるとどうなるでしょう?
見え見えですね。大混乱でしょうね。
何も整備できていない状態で、自分には権限が与えられていると思い込んでいるスタッフが勝手に何かを購入したり、お客様のためになるということで勝手なメニューを作ったりということをしだすと、どうなるでしょう? それは単に勝手な行動であり、サロンとしてはバラバラになってしまうことは見え見えですね。
ということは、エンパワーメントをうまく実現させるための準備をしっかりして、それを理解させた上で、段階的に浸透させていく必要があるということです。
3.全体像
導入~定着のための全体像を把握してみましょう。
ステップ1 エンパワーメントの取り組みを研究する
ステップ2 取り組み宣言をする
ステップ3 人財を育成する
ステップ4 情報を開示する(共有する)
ステップ5 職務分掌と権限を整理する
ステップ6 支援型組織を作る
ステップ7 フィードバックシステムを運用する
導入~定着のためには、この様なステップが必要と思われます。
では個々のステップを詳しく見ていきましょう。
4.各ステップの詳細
ステップ1「エンパワーメントの取り組みを研究する」
全員の理解がないとエンパワーメントは上手く行くはずはありません。
まず、幹部またはプロジェクトをつくり、「エンパワーメントとは何か、どうすれば上手く行くか」等の勉強を行い、スムーズに行く方法を研究することから始めなければなりません。
書籍や実際に上手く行っている事例を研究し、自店なりの導入方法を導き出します。
ステップ2「取り組み宣言をする」
全員の前で、エンパワーメントについて取り組むことを宣言します。
「宣言」、これが非常に重要な要素です。
上司の熱い言葉が人を動かします。絶対に成功させるという火の様な想いをぶつけます。
ただし、この時点ではまだどうしたら良いのか分からないので、アウトラインと方向性を説明します。
「全体としてはどうするのか」「それをするとどうなるのか」「何がメリットで何がデメリットなのか」「どこに問題点が考えられるのか」「各自は何をテーマとすれば良いのか」などについて予め用意しておくことが必要です。
スタッフには、信頼関係の上に成り立った経営システムを構築していく想いをきっちり把握してもらうことが大切です。
ステップ3「人財を育成する」
エンパワーメントを実現するために人財の育成は欠かせません。
理解力、ホスピタリティマインド、優しさ、アイデア、誠実さ、ウイット、気転力、応用力、注意力、機敏性、楽しむ力、協調性、チームワーク力、常識、行動力・・・この様な項目に対するパワーと想いのレベルが相当高くないと、エンパワーメントの意味が理解できません。
また理解出来ても、それが行動に移せません。
だから、次のステップ以降の具体化のケースにおいても、併行してこの人財育成のループは回し続けなければなりません。
人が全ての資源の源であると考えた場合、育成は永遠のテーマです。
人財教育を介し、信頼関係の糸をどんどん太く、しっかりとしたものに作り上げていくことがすなわち、エンパワーメントの基盤作りになるわけで、これは次のステップでお話しする、情報開示などについて大変重要な要素となってきます。
ステップ4「情報を開示する(共有する)」
いよいよ、本題です。
情報を開示するという意味は、新人スタッフまで全員に、経営内容を含む全ての情報を知らせるということです。
ここで言う情報とは、今後の方針・戦略、人事、給与、経理状況まで、今まで社内秘としてきた情報の全てを言います。当然、TOP会の情報も、末端のスタッフが知っているという状況になります。
えっ?とおどろくでしょう!
そうなんです。そこまで徹底的に公開するのです。
一つ間違えば、えらいことになります。
会社の情報が外にもれたら困るという懸念がある内は踏み切れません。
だから、ステップ3の人財を育成するということが優先になってくるわけで、双方の信頼関係なくしてこのシステムは成立しないのです。
しかし、この情報開示がきっちり出来て、全てのことを共通認識しているスタッフは、それこそ全員がオーナー感覚になりますね。
そこが狙いなわけです。
現実的には、100歩譲って、TOPと新人では理解の深さが違うので、そのレベルに合った情報を最大限公開するという姿勢があれば、私はOKだと思います。
この項目でもっとも重要なのは、情報開示による信頼関係の構築ですので、そこのところを良く理解して進めて下さい。
データ公開で信頼関係を構築するというストーリーですが、危険も伴いますが、いったんはまれば凄いパワーが出ることは予想が付きますよね。
ステップ5「職務分掌と権限を整理する」
次は、「自主管理領域の創設」です。
つまり各組織単位の仕事の領域を定め、領域内の仕事は信頼の上で「全て」任せてしまおうというものです。
仕事の領域(職務分掌ともいいます)を定める要素としては、事業の目的や価値観、組織の未来像、目標、役割、組織の構造とシステムなどがあります。
要するに、そのポジションで自分は何をすることが仕事なのかを明確に整理し、それが他部署との関連において整合性(調整)が取れたら、その部分についてのその仕事の権限はそこに任せるということです。
この整理が出来ていない状態でエンパワーメントをスタートさせると、大変な混乱を招きます。
他部署のスタッフからもお客様からも「勝手なことをして!」「それは越権行為(行き過ぎたこと)である」とクレームになります。
だから、先に自主管理領域を明確にし、それぞれが責任を持って自主管理できる内容を整理することがまず望まれるわけです。
ステップ6「支援型組織を作る」
従来のビジネスモデルは、正ピラミッド型の組織が普通でした。
これはお客様に対して、会社のTOPが責任をもって対応し、そこで発生する仕事を下のものがこなすというような感じの位置付けと仕事の割り振りになっていました。
この従来のシステムでは、スタッフはどうしても「やらされている感」がつきまとい、自発性が欠如する感じがありました。
しかし、近年、この正ピラミッド型の組織が逆転し、逆ピラミッド型、つまり上下が逆転したビジネスモデルが紹介されてから、一挙に世の中の組織に対する考え方がスタッフ重視の方向に流れ出しました。
では、この逆ピラミッド型システムについて少し説明します。
つまり、お客様に一番近いのは現場の人間である、上役はそれを支援する体制にあるのが望ましいと
いう考え方です。
こういう規範の逆転を世間ではパラダイムシフトと言います。
この流れが定着しつつある今日に置いては、スタッフ個々の対応が凄く重視されることになってきました。
お客様との接点であるスタッフが会社を代表している、スタッフは会社の顔だということになるのですから、スタッフに権限を与え、その範囲で出来ることは自由采配権を持たせるということが当然の様になってくるわけです。
お分かり頂けましたか?
つまり、従来の階層型組織を排除して、チーム型組織により店内を活性化するというのが、このステップのまとめです。
ステップ7「フィードバックシステムを運用する」
この様な考え方の実施と定着は、日本人にはなかなか難しいのではないかと思います。
従来、日本は階層を重んじる社会性があり、上の人間がバックアップに回るという発想はなかったのではないでしょうか?
だから、余計にこのシステムを定着させるには、発想の転換と、いろいろな微調整が必要になってきます。
実績を重ね、修正点をメンテしつつ、より良いシステムを作っていくというフィードバックの流れを作らないと、折角スタートしたシステムがすぐに悪循環に戻ってしまいます。
しかし、一旦天使のサイクルになると、これは加速度的にやる気モードのサロンが出来上がります。
ザ・リッツカールトンホテルやレストランCASITAに見られるエンパワーメントの究極は、ミスティーク(神秘性)まで行き着きます。
単にES(従業員満足)という形に終わるのではなく、本当にスタッフを信頼した経営を展開されることを望みたいと思います。
5.最後に
いかがでしたか?
自主活性型サロン作りのポイントはこのエンパワーメントを実現させるということにフォーカス(着目)してもらい、各自のサロンで取り組んでみられたらどうでしょう。
今回は、難しかったですか?
しかし、私の中では今回のメルマガは大変重要な要素を含んでいて、今後のサロン作りを示唆した内容になっているんではないかと自負しています。(自己満足?)
事例などありましたら、連絡下さい。
私の中でフィードバックを掛けて、より内容を濃くしていきたいと思いますのでよろしくです。
6.次回案内
では、次回の案内です。
次回は、「メンター(やる気にさせる人)」について考察します。
このテーマは、次回CKEN感動セミナーの講師/福島正伸先生がメンターなので、私も勉強して皆さんに少しでも事前にノウハウを提供できればいいなあとの思いで、このテーマを選びました。
皆様も、このテーマについて予習しておいて下さいね。
では、次回もお楽しみに!
ではまた次回お会いしましょう!
メルマガ再録 (2006年6月26日) 第20号
人脈は仕事の上でも、プライベートでも大変重要な要素です。そんな人脈を広げるコツは、自分の姿勢を正し、相手にとって有効な人材であると認識してもらうことです。
< NQ (人脈作り能力) >
1.NQとは?
聞きなれない言葉ですよね。
NはNetwork(ネットワーク)のNです。
QはQuotient(クォーティエント)のQです。
ネットワークとは、網状組織・関連性を意味します。クォーティエントは、能力の意味です。
NQは人脈を作る能力という意味で私は使いますが、共存指数という言い方もあるようです。
IQ(知能指数)、EQ(感情指数)などは聞き慣れていますが、このNQ(共存指数)という言葉は、まだ一般的にはなっていないようですね。
しかし、これからはこのNQの能力が問われる時代になってきています。
前回の前文で中村文昭さんのことを書きましたが、彼に見るNQの能力は桁外れなわけですね。誰とでも近づきになる、仲良くなる、ということを垣根なしに出来る人で、それで縁が縁を生んでどんどんつながって行く。中村さんのそういう人柄に吸い寄せられて人気が爆発しているんですね。
ところで、谷口さんも人脈広いですよねって言って頂けます。
実は、これって、技があるんですよね。
では、この私の人脈技を中心に今回は話を進めていきましょう。
2.はじめに
一人で成し遂げられることって知れてますよね。
やっぱり、みんなからの情報や、協力を得ながらやっていくというのが仕事の基本であり、それなくして結果が得られるわけがありません。
もし、一人でやっているという人があれば、それは単なる思い上がりできっといつか挫折することになります。
外面的な、つまり会社の肩書きで付き合っている関係って、なんかつまらないですよね。私はかなり苦手です。いわゆる本音が通じない人と仕事をするのはメチャ大変です。
良い仕事って、やっぱり人間関係がしっかり出来て、チームワークばっちりの時にパワーが出るものですよね。
だから、どうしてもその人の仮面を剥ぎたくなるんですよね。(そんなことしなくてもいいのに!って声が聞こえてきそうですが.....)
そのためには、自分が本音で迫るということをするわけです。
「はじめからそんなこと出来ないよ」って声が聞こえますが、セミナーや講演会で名刺交換した時、是非またこの人に連絡したい、会いたいと思ったら、その場で何としても次につなぐことを考えないといけません。それっきりになるということは、全くもったいないことです!
だから、その初対面の短時間に相手の心をキャッチするテクニックが必要です。その技について次に説明します。
3.谷口式会話術&NQテクニック
長年培ってきた谷口式会話術&NQテクニックをリストしてみましょう。
谷口さんだから出来るんでしょう!といわず、出来ることはやってみましょう。
1)2分間の間に印象付ける
・何か得意技をもっておく。手品などが出来れば最高ですが、それはみんな難しいでしょうから、会話で特徴を出せばいいのです。
・私なんか、自己紹介で「だじゃれおじさんで~~す」とか、「社長さん兼小使いさんで~~す」と
か、「大阪の谷口でおまんねやわ!」なとど吉本興行のマネをやったり、サンマ流な大阪弁を駆使したりします。
・郷土なまりで挨拶するのも良い感じですよね。きっと会話がつながりますよね。
・要するに、相手の警戒心を無くす~緩める~フリーになる~本音になる、という回路がパッと出来上がって、気を許すということになるのでしょう。
・そして、会話の最後は良い雰囲気で終わっておくことです。
・何か良い感じだなあと思わせて、また話したいという余韻を残すことです。
・剣道で使用する「残心」という言葉の意味が勉強になります。
・「武道における心構え。一つの動作が終わってもなお 緊張を解かないこと。剣道では打ち込んだあとの相手の反撃に備える心の構え、弓道では矢を射たあとその到達点を見極める心の構えをいう。」
・どうです? 勉強になるでしょう?
・それから、会えない間は、心で念じておく、光を送るをします。
・今は会えないが、次に会うまで「幸あれ、福あれ、光あれ」と念じておきます。
・その波動が伝わったか伝わっていないに関係なく、自分の心は晴れやかに続いているのが良いのでしょう。
2)一度あることは二度ある
・例えばです。「半年くらい前に一度、モデル会社の人と名刺交換しました。そして店内で雑誌掲載用の撮影をすることになりました。」
・あなたはどうですか?
・名刺がきっちり残っていますか?
・その名刺の人の顔が浮かびますか?
・相手は自分のことを覚えてくれていると思いますか?
・電話で「半年前に名刺交換した○○です」と言って、思い出してもらえるでしょうか?
・思い出してもらえれば合格、出してもらえない不合格ですね。
・何が違うかと言うと、思い出してもらえれば初対面ではないので話がスムースに運びます。
・極端な話、思い出してもらえれば身内価格がOKになります。そうでない場合は定価です。この
差は大きい!
・実際にあったんですが、私の場合、そのモデル会社の人に初対面でおにぎりを差し入れして完璧に友達感覚になっていたので、超安値のモデルさんを紹介してもらったことがあり、サロンさんに喜んで頂けたということがありましたよ。
3)記録する
・一度あることは二度あると考えると、記録は必須です。
・まず、名刺の整理、そして、電話帳の記入。
・私は、電話帳は住所が書けるものを使用しています。
・そこにちょっとしたメモも書いておけば、後で利用価値は倍増です。
4)DM/メールでの連絡
・初対面の後の連絡は手書きDMを勧められているみたいですが、私は軽くメールでしています。
・その代わり、ちょっとした情報を添付したりして発信するようにしています。(CKENレポート等)
・それが後から効いてくるんだなぁ。
・DMは勝負の時しか書かないですね。(書いた方がいいんでしょうが、私はスピード重視ですね。)
・しかし、何か物を送る時などは筆で送付状を書くようにしています。
・年賀状は自前の写真を配し、スペースを空けておいてそこに2~3行のミニ文章を筆書きで添えるようにしています。
5)何かあったらプロとして相談する
・少しでも関係があれば、その人に問い合わせてみることです。
・聞かれると悪い気はしませんよね。
・自分だって、自分の得意な分野のことで問い合わせがあれば、どんどん教えてしまいますからね。そのコツを押さえて、下手に出て、いろいろ聞くわけです。
・これって、教えてもらえるわ、人脈は深まるわで、凄く良いことなんですよね。
6)事前・事中・事後の報連相は150%する
・これは、Vol.017で書いたことですが、これをきっちりすることで信用は100%になります。
・「電話しておいてくれる?」って頼まれたら、「電話しておきました」と報告する。
・入金があったら「入金がありました。ありがとうございました。」とメールを入れる。
・フォローに力を入れることにより、より深い関係が出来上がります。
・また、日頃からちょっとはみ出して、余計なことをしてみる。
・そうすると、何か違うものが見えてくる。それが新鮮な関係をまた構築していくんです。
・これって、微妙ですよ。「いらんことしい」(余計なことをする人)とは似て非なるものですからね。
4.きっかけ作りのパターン
私がよくやるきっかけ作りのパターンの例です。
・「アンケートなどにも一言添える」
・「通販メーカーへのメールアンケートにきっちり答えてその担当の人と仲良くなる」
・「美味しいお菓子があればメーカーに感謝状を送る」
・「初対面の会社に行く時に植木を持っていく」
・「スタッフミーティングの時にお菓子を持参する」
・「二次会の時に自分の資料を持って行き無料で配布する」
などなど、普通ではないことをするアイデアは一杯です。なぜそうするか?・・・一線を超えるのです。
中村文昭さんだって、小銭を落としたり、足を踏んだりしてきっかけを作ったと言っておられましたよね。
つまり、その一線を超えることがきっかけ作りなわけです。
それが無い限り、皆と同じ人になってしまい、印象が無い人になってしまうからです。
このきっかけ作りの根底にあるものは、サービス精神と言うか、ホスピタリティマインドというか、そういう姿勢、仲良くなりたい、深く知りたいという自分なりのメッセージを形で表現したものと言うわけです。
5.NQの向こう側
NQ(人脈作り)に目覚め、それを実践していくと、一気に視野が広がります。
人が人を呼ぶのです。
私は、今家でホームパーティーをリクエストされて(と言うより、やりたくてかな?)、開催しています。
別にしなくたって、断ったっていいんです。
しかし、人の輪(和)というか、ネットワークというものにはエネルギーがあり、どんどん自発的に大きくなっていくのを感じます。
要は考え方です。
なりたい、したいと思うだけではなく、ひたすら何かに集中し、継続するということが、自然とそうなっていくエネルギーの源泉ではないでしょうか?
NQの向こう側には、何があるのでしょう?
きっと、明るい明日があるのでしょうね。
6.最後に
いかがでしたか?
今回は、私の体験を元にして、人脈作り~共存というテーマを取り上げました。
結局、自分のネットワークを構築するということは、外に向かっての努力も去ることながら、自分の姿勢がどれだけ整っているかと言うことの確認作業に近いですね。
人脈は一朝一夕に出来るものではありません。
皆さんも、しっかりしたポリシーと地道な活動で、どんどん人脈を広げ、人間の幅を広げ、体験を積むことによって、皆から期待され、信頼される人になられることを願っています。
7.次回案内
では、次回の案内です。
次回は、いよいよ「エンパワーメント(権限委譲)」です。
このテーマはずっと自分としても、研究したかったテーマです。
まだ、はっきりとは固まっていないのですが、自主活性型サロン作りには欠かせないテーマですので、今からさらに勉強します。
皆様も、このテーマについて考察しておいて下さい。
では、次回もお楽しみに!
ではまた次回お会いしましょう!
メルマガ再録 (2006年6月12日) 第19号
考えたことを企画書にしてまとめる作業をすることにより、しっかりした構成力と提案力が身に付きます。これを継続実践することで自主活性型の人財を作ることが出来ます。
< 企画開発技法 >
1.はじめに
企画開発技法は、次の2つの効果を狙いとしたものです。
1)新企画を文書にして考えることにより、より実現可能になるので成果が見える。
2)新企画を考える習慣をスタッフに身に付けさせることにより、店内の活性が向上し、サロンが前進
する。
企画を文書にして考える習慣は、一般企業では当たり前のことですが、サロンのスタッフとしてはあまり馴染みがありません。なぜなら、彼らがマスターすべき優先事項は「技術」だからです。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
もし、技術のみを優先させると、そのスタッフはどうなるでしょう?
以前、3ヶ月で技術者になれるという触れ込みで、そんなスクールを開催したケースがありました。結果はひどいものでした。接客が出来ないのです。お客様との会話が出来ない、気遣いが出来ない、スタッフとのコミュニケーションが出来ないという技術者を作ってしまったのです。
技術と接客は両輪だといわれますが、全くその通りです。
現在においてさらに必要なのは、「人間力」と「企画力」です。
「人間力」は、全ての根源である「優しさ」と言い替えることが出来ると思います。その次は「企画力」です。これが身についていないと、スタイリスト・アーティストとしての想像力・創造力が発揮できないのです。
顧問先のサロンで、「経験したことは何とか出来るが、これからのことを考えるのは苦手」というスタッフを見掛けます。
この問題を何とかしないと、行き詰るのは目に見えています。
ということで、企画の出来るスタッフ、クリエイティブなスタッフを作るためのテクニックを今回は説明します。
2.企画の教育的側面について
企画は、いわば0(ゼロ)から1(イチ)を生み出すことです。
大抵、人は、提出された資料に対して「ああでもない、こうでもない」と問題点を列挙したり、ケチを付けるのは得意です。人間の思考は、基本的には保守なので新しいものは拒否するという考え方が身についているので、そうなってしまうのです。
しかし、それだけで良いのでしょうか?思い切って出してきた企画に対し、それ(ケチ付け)をやってしまうと意気消沈して、企画を二度と出さなくなります。
反対に、「それええやん!」とそのアイデアをほめて実現して上げると、その本人は、「やった!また考えるぞ!」と前向き思考になるのは当然ですよね。これを上手く利用して、「企画で人を育てる」ということをしていけるのです。
3.企画の基本ステップ
それでは、その企画の方法について書きます。
まずは、全体の流れです。
ステップ1「実現したい事が発生した」
・自分で考えたり、企画を依頼されたなどの理由で、案をまとめる必要が生じることです。
ステップ2「起案書を作成する」
・本格的企画書を書く前に、こんな感じで企画してもいいですかと問い合わせる簡単な書面が起案書です。
・このステップは簡単な企画なら飛ばしても良いですが、少し大きな企画になると、この事前検討が必要になってきます。
ステップ3「内定・承認を得る」
・企画の方向性を確認しておかなければ、せっかく企画した案が没になるのはもったいないのと、時間の無駄です。
・これを無くすために幹部の承認を得ておきます。この企画の採用、不採用の正式判断はステップ6で行います。
・ここで、幹部は担当者が何のために企画をしているのかを周知徹底し、この企画に対する協力を全員に求めることが必要です。
・特に外部の人に協力を得る場合、必ずその人も紹介し、何のために来て頂いているかを徹底しな
いと、内部の協力は得られないので注意です。
ステップ4「本格的に企画を練る」
・起案書の承認を得て、本格的に企画書を作成するネタ・情報を探し、まとめます。
・この時、次項「4.企画するためのテクニック」を参考にして下さい。
ステップ5「企画書を作成する」
・企画の項目はその企画内容によっても異なりますが、大体以下の項目が入っていればいいでしょう。
・「テーマ名」「企画作成者」「提出日付」「企画の意図するところ(目的)」「投資内容と金額」
「予想メリット/デメリット」「導入スケジュール」「特記事項」
・例)新店販商品の導入
「商品の特徴」「予想リスク」「導入準備日程と内容」「PR方法」「導入スケジュール」 「キャンペーン内容」「キャンペーン中の売上目標と原価および利益」
・幹部が判断できる材料としての、読み手の側に立った視点で企画書を書き上げます。
・ポイントは、幹部に見て欲しい情報と答えが書いてあることです。
ステップ6「決定を得る」
・上記で作成した企画書を、幹部の前で説明します。
・説明にはプレゼンテーション力が必要です。
・気迫と熱意を持って説明して下さい。
・企画の採用・不採用・延期・保留などの答えを頂きます。
ステップ7「行動計画を作成する」
・企画書には導入スケジュールはありますが、本当に行動に移すには不十分なものでしょうから、再度現場サイドで本当の行動計画を立案し、徹底します。
ステップ8「行動に移る」
・そして、この詳細行動スケジュールに沿って行動を開始します。
・中間時点ではこの企画のドキュメント(記録)を付けて、幹部会での途中経過報告のために紙面で情報提供すると良いでしょう。
・もちろんスタッフにも経過報告することは必要です。
・このイベントが終了次第、最終報告も必ずしましょう。
4.企画するためのテクニック
今までこのメルマガで取り上げてきた技法、テクニック、考え方、まとめ方などを利用して、企画を進めます。
ここでは、ガイドラインだけにとどめます。各項目の詳細は、過去のメルマガを参照して下さい。
1)本質を捕える
・インタビュー技術(相手の意図を聞き出す)
・コアとフレーム(目的と手段、原因と現象<結果>の区別)
・クリスタライズ(余分な物を取り除いてクリヤーにする)
2)問題解決技法を知る
・拡散手法の応用(問題点の発見、アイデアの展開)
・ブレーンストーミング、特性要因図、アイデア出し
・集約手法の応用(問題点の絞り込み、アイデアの絞り込み)
・GT、マトリックス図、各種評価法
3)アイデアの出る工夫を知る
・息の合ったもの同士でHighになって話し合う。
・組み合せる。(AとBを組み合わせればどうか)
・MIXする。(AとBを混ぜればどうか)
・便乗する。 (それなら、これもよいのでは...)
・強制連想する(関係のないAとBの共通点を見つけ出す)
4)起案書/企画書の書き方を知る。
・先を読む力(仮定力)を身に付ける。
・日頃からの観察力、ドキュメント力が必要。
・シミュレーション力を備える。
・そのことがなし得る効果とそのプロセス等について想定出来る力を身に付ける。
・文章力を身に付ける。
・読み手側の立場で内容を整える。
・5W1Hを備える。(Who,What,Why,When,Where,How)
5.最後に
この企画開発技法は、ワークショップによって実践的に学ぶことが出来ます。
例えば、まず4~5名のグループに分け、テーマを決めさせて企画書を1時間くらいで書かせ、グループごとに発表させるということを2~3回繰り返すと、すぐ見よう見真似で書き出すことが出来ます。
後は、その企画をどう評価して採用していくかという方が課題ですね。
だけど、有り余るやる気を引き出すことは出来ますので、是非あなたのサロンでもやってみて下さい。
6.次回案内
では、次回の案内です。
次回は、「NQ(ネットワーク・クォーティエント、人脈作り)」です。
人脈つくりのポイントを教えます。
では、次回もお楽しみに!
ではまた次回お会いしましょう!